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August 06, 2008

現代の鉄腕アトム『ロボット小雪』

 業田良家の新刊が三冊、ほぼ同時発売されているわけですが。

●独裁君(2008年小学館、1143円+税、amazonbk1
●川柳虎の皮 オシャレ編(2008年小学館、1143円+税、amazonbk1

 

 なんつってもいちばんのオススメはコレ↓。

●新・自虐の詩 ロボット小雪(2008年竹書房、952円+税、amazonbk1

 名作『自虐の詩』の名を冠した新作ですから、どうしても期待して読んでしまいますが、タイトルに負けない力作でした。

 近未来日本。人間とロボットが同居する世界。この世界では個人が、セックスの相手をする人間型ロボットを所有しています。高校生・拓郎が所有しているのは、すでに旧型となってしまった小雪。

 小雪はすぐに電池が切れるし、防水型でもないし、失敗ばかり。とまあゆるゆるのロボットギャグが四コママンガで展開されます。このあたりは脱力しながら読んでてください。

 ところが、物語半ば、拓郎の友人一家が破産して、川向こうの閉鎖地区に収容されてからが急展開。

 実はこの世界、現代以上の格差社会となっていて、貧富の差が極端。この矛盾に満ちた現実に直面し、ロボット小雪がついにめざめることになります。

 ここで描かれる小雪はあきらかに現代の鉄腕アトムです。現代といっても、アトムはもともと21世紀生まれですなのですが、それは1950年代から1960年代に描かれた21世紀なわけで、ってああややこしい。

 現代社会において、すでに正義の味方やヒーローはずいぶん存在しづらくなっています。『ロボット小雪』は、バラ色の未来をあきらめてしまった21世紀の現代、ここに正義の味方アトムが復活すればどういう行動をとるだろう、と考えて描かれたマンガです。

 人間に奉仕するために、人類の最大多数の最大幸福のために、現代のアトムは何をするのか。そして人間社会はそのアトムをどう受け入れるのか。本書は業田良家の描く『プルートゥ』なのです。

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Comments

漫棚さんの記事を読んで早速買って読みました。
業田さん相変わらず凄い。私は自虐の詩は殆ど読んでないのですが
どちらかというと「新・世直し源さん」のほうがしっくりきます。

Posted by: ぐりぞう | August 07, 2008 10:55 PM

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