« 五周年 | Main | 高校生限定オススメ『マンガ物理に強くなる』 »

August 20, 2008

色がない

 こういう本が出てまして。

●けらえいこ『ためしてあたしンち』(2008年メディアファクトリー、380円+税、amazonbk1

 これまで発行されてる『あたしンち』の単行本から作品をセレクトした本。これを読んでみましたところ、あらら、色がない。

 『あたしンち』はフルカラーで描かれてるんですが、この本、全ページモノクロ。この形式で読んでみると、驚いたことにおもしろさ50%減という感じです。

 色があってこそ、という表現をしてるマンガをモノクロにしてしまうと、これほど魅力がなくなるとは。でも廉価版だからしょうがない、というところではあります。

 もいっこ。

 「今日マチ子のセンネン画報」というブログがあります。

 1ページのマンガやイラストがほぼ毎日アップされており、現在では膨大な量が読めるようになってます。どんなマンガかは、リンク先をのぞいてみてください。

 長くやってるのでいろんなタイプの作品があります。オチがある短編マンガに近いものもあり、ヒトコママンガのような印象を持つものもあり、マンガで描いた俳句や短歌みないなのもあり。

 そのうち、とくに男女高校生が登場するシリーズが集められて書籍化されています。

●今日マチ子『センネン画報』(2008年太田出版、1200円+税、amazonbk1

 ハードカバーのオシャレな本で、わたし喜んで買ったのですが、これがまた色のついたページは少しだけ。ほとんどのページがモノクロでした。

 Web 連載ですから、当然モニタ上では色がついた作品が読めます。これが書籍になってモノクロなんですよ。書籍のほうが1ページ1作品で落ち着いて読めるのに、カラーじゃない不完全版。なんとも残念です。

*****

 マンガ単行本から色がなくなったのはいつごろでしょうか。

 かつてマンガ単行本がハードカバーだったころ、四色ページや二色ページが存在するのがあたりまえでした。

 その後、B5判、100ページほどの薄い雑誌型単行本(光文社のカッパコミクスや東邦図書出版社のホームランブックスなどですね)が発売されるようになっても、四色ページや二色ページがありました。

 ところが1966年新書判単行本が発売されるようになり、その後マンガ単行本からはほとんど色が消えました。

 雑誌にはカラーページがあっても、後世に残るのは単色の単行本です。新書判単行本以後、多量のマンガが流通するようになりましたが、そのかわりマンガ単行本は色を切り捨ててきました。

 だいたい、エルジェの『タンタン』やアメコミが邦訳されたときですら、カラーページは少しだけ、ほとんどモノクロで読むことになってたのですからねー。モノクロのタンタンやスーパーマン、ファンタスティック・フォーというのも、ちょっとねえ。

 青年マンガが、新書判じゃなくてそれよりひとまわり大きいB6判単行本(双葉社ACTION COMICS や小学館BIG COMICS )を出すようになったのは1972年ごろですが、当初はカラー口絵と二色ページがある仕様になってました。この習慣も最近はすたれてしまいましたね。カラー口絵も作品によって、あったりなかったり。

 ウチにある『美味しんぼ』で調べてみると、1993年発行の40巻以後は二色ページが消えて、同年発行の42巻以後はカラー口絵も消えてしまいました。

 最近は、新書判でカラーページを見かけることも多くなりました。日本マンガも薄利多売の時代でもなくなってきてるようです。Web では色があるのがあたりまえなのですし、そろそろマンガ単行本に色が復活するのを期待してもいいのじゃないかしら。

|

« 五周年 | Main | 高校生限定オススメ『マンガ物理に強くなる』 »

Comments

たびたびすいません。私事ですが楽しみにしていた室井大資の
初コミックスが出ていたのでさっそく購入。
Web上で掲載しているコマ漫画のコミックス化ですが
やっぱりカラーがモノクロだったのでがっかり。↓

http://4koma.livedoor.com/creator/profile/c00043.html

ゆるめのナンセンスギャグ漫画なので、面白さには変わりないけど。
Webでほとんど読んでいたけど、一コマづつクリックするのが
面倒で、書籍になるのを楽しみにしていたのに。(^^;)

Posted by: とらうま | August 22, 2008 06:08 AM

良い面というか、色がないからこそ雑誌もしくはその切抜きを取っておく、はては「完全版」なる二次的出版物が流行る文化に昇華していく。逆にそういった理由から今の「完全版」期待は、雑誌が売れない一因となっているとも思えます。というのも私は「寄生獣」カラー頁の切抜きを全て大事にとっていたのですが、「完全版」の登場で、嬉しい反面なんだか変な寂寥感が漂いましたw

この「元原稿に忠実」という話は、とても難しい話で、今回の小学館クリエイティブ発行物(白土作品など)のようにコアな市場を生み出しますが、初めから完全な高価な書籍で作品を発表しても一般に知れ渡ることは少ないですしね。

まあこれはどっちかっていうとマニアな話ですよ。

Posted by: くもり | August 21, 2008 07:18 PM

ああ、これで色がないのは味が無いのと一緒ですねえ。
魅力が半減どころではないです。

Posted by: とらうま | August 21, 2008 01:42 PM

『センネン画報』って小恋ですか。

Posted by: misao | August 20, 2008 03:48 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 色がない:

« 五周年 | Main | 高校生限定オススメ『マンガ物理に強くなる』 »