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July 09, 2008

田中圭一の新境地

 田中圭一の新作ふたつがほぼ同時発売。

●『プリンセス破天荒』(2008年アスキー・メディアワークス/角川グループパブリッシング、950円+税、amazonbk1
●『サラリーマン田中K一がゆく!』(2008年角川書店/角川グループパブリッシング、980円+税、amazonbk1

 

 ともに角川系からの発売です。偶然なのか(?)二作に関連性がありまして、前者はゲーム業界を舞台にしたサラリーマンマンガ、「電撃マ王」連載。後者はおもちゃ業界を舞台にしたサラリーマンマンガ、「コミックチャージ」連載。ともに田中圭一の経歴を生かした作品です。

 『プリンセス破天荒』は、零細ゲーム開発会社の三人組が、おばかなゲームをつぎつぎとプランニングするお話。

 ゲームのアイデアが勝負の作品です。彼らの企画はエロいものだったりエロいものだったりエロいものだったり。宇宙人とかも登場しますので、基本的にいつもの田中圭一作品。そのあたりにほったらかしておいて家族に見られると、ちょとまずいです。

 手塚治虫キャラと本宮ひろ志キャラが登場するのはいつものことですが、今回、福本伸行・西原理恵子・松本零士キャラなんかも登場してにぎやかなこと。

 で、『サラリーマン田中K一がゆく!』。こっちには驚いた。

 オモチャ会社「ヨイコトーイ」の新入社員、田中K一くんの営業マンとしての日々を描いたもの。まわりにいる先輩、同僚は変人ばかりですが、なんと(田中作品としては)エロがすっごく控えめで、ポジティブなビジネスマン成長物語になってます。

 著者あとがきによりますと、「総務部総務課山口六平太」みたいな作品を求められて描いた、「新境地」の作品であると。

 これが意外と、と言ってはなんですが、すごくいいデキです。

 サラリーマン仕事のネガティブな面の描写は最小限。仕事を一所懸命すること、仲間を信頼して目標を達成すること、それによる成功の喜び。なんせラストのモノローグが、「ヨイコトーイがあってみんながいる ……だからボクがいる!! これは確かなことだから」ですから。

 田中圭一がエロを描かないで、しかもそれがおもしろいとは。

 著者が意識的に自身の絵柄を変更したことは知られていますが、今回の脱エロ、ストーリー重視も、将来を見据えた戦略的なものだそうです。いやー、クリエイターでありかつプロデューサなんだなあ、と感心。

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Comments

すでにご存知かもしれませんが,『セクシィ古文!』という本がメディアファクトリーから刊行されています(2008年 5月31日初版第1刷).田中圭一氏と田中貴子氏との共著です.「あとがき」で,田中貴子氏は

手塚治虫風のタッチとエロの相性がこんなによいとは驚きであった。

と記されています.ちょっとお知らせまで.

Posted by: ひでかず | July 09, 2008 08:53 PM

『セクシィ古文!』も楽しく読みましたが、ありゃやっぱ田中貴子氏の作品で、田中圭一マンガはサブだったですね。ただし対談部分は大爆笑。

Posted by: 漫棚通信 | July 09, 2008 09:40 PM

『サラリーマン田中K一がゆく!』って
『ヤング田中圭一』(2005年)とは違った
ネタで展開しているんですか?
こちらの本にもタカラ(?)に勤めていた時代の
話がいろいろありますが…

Posted by: タイヤキ | July 10, 2008 10:06 AM

『~K一が行く』、今日、半分ほど読んだところです。
実話!の面白さということもありますが、
「視点」がいいんですよね。

マンガ学会では、氏の帰りがけに
ちょっとだけお話ししました。
ゲストに来ていただいたお礼が
きちんとできないぼくでしたが。
新刊の拙著をすでにお持ちのようでした。

Posted by: 長谷邦夫 | July 12, 2008 06:52 PM

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Tracked on July 10, 2008 10:55 PM

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