これはわからん『ハタキ』
野中英次の新作『ハタキ』1巻(2008年講談社、533円+税、amazon、bk1)が発売されております。
買ったままそのあたりに放り出しておいたら、ウチの中学生が先に読んじゃって、これはおもしろいと言うわけです。次に妻が読んでみたのですが、コッチはおもしろいのかどうなのかすらわからんと。
で、わたしも読んだのですが、うーむこれはたしかにわからん。
野中作品としては話題や登場人物がアッチコッチ行かずに、めずらしくずっとヒトネタで通してます。そのネタが書影にある、「ハタキ」と呼ばれる謎の生物。
妻に養ってもらっているニートの主人公は、ある会社のモニターとしてこの「ハタキ」をペットとして飼うことになるのですが、こいつ、ブタのようでブタじゃない生物。いろんな奇妙な能力を持っていることが次第に明かされていきます。
池上キャラが登場するいつもの脱力系ギャグとして、『魁!!クロマティ高校』や『未来町内会』のつもりで読んでおりましたら(実際にいつものギャグで話はすすむのですが)、突然、ホラー風味が混じってきて、読者はあれれ? と思うことになります。
これはもしかしてホラー? でも作者が野中英次なもんだから、本気なのか冗談なのか、読者も迷うわけです。行き当たりばったりにやってんのじゃないのか、なんて疑惑もあって、これをホラーと思ってたら次回ですべてなかったことにされちゃたりするんじゃないか。信用できない作者だからなあ。
しかし、物語は着実にちょっとずつ「ギャグかつホラー」方面に向かっているようです。まだ単行本になっていない雑誌連載での展開を見ますと、いよいよ主人公のアイデンティティの崩壊が始まる、かもしれないし、そうでないかもしれない(ああ、自分でもなに書いてんだか)。
ドリフのコントで、「志村ー、うしろー」とか言ってたら、本格的にコワい展開が待ってた、みたいな感じ。と紹介文書いてても、実際にホラーになるのかどうなのか、やっぱわからん作品なのですよ。
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