男前、新條まゆ
今回のブログでの発言(「思うこと。」「その後」)で、男を上げた新條まゆ。あれは冷静な文章と真摯な態度で、ずいぶんと感心しました。
で実はわたし、あのエロいと言われてる新條まゆ作品を読んだことがなかったので、一冊読んでみようと書店に行ってみました。ただおっさんが買う本としてさすがに『快感♥フレーズ』はちょと恥ずかしい。
というわけで買ってきたのはこれ。
●新條まゆ(構成・飯塚裕之)『バカでも描けるまんが教室 BAKAMAN 新條まゆの裏まんが入門』(2007年小学館、429円+税、amazon、
bk1)
いわゆるコマ構成とか、トーンの使い方とか、背景の描き方を説明した「まんが教室」であり、かつ著者の自伝でもあります。
一読、いや男前やなあ。
女性に対して、男を上げたとか男前とか、ジェンダー的にどうかという表現ではありますが、これもまあ著者が、
ケンカっぱやいけど陰口はキライです 悩むと寝ます 次の日には忘れてます 母からは「あんたは生まれてくる時 チ○コを腹の中に忘れてきたんだ」と言われます
という性格らしいので、許していただけるかと。
九州の田舎から日本画で美大に進学しようとしていた著者が、経済的問題で果たせず、いったん就職後、マンガ家をめざして上京。以後強烈な上昇志向でねばりにねばって人気マンガ家になるまで。
少女誌でエッチマンガを描くにあたっても、「色っぽい男を描ける」ことに喜びを見いだし、同業者の陰口にもめげない。編集者との確執も、さしつかえない程度には描かれてます。
著者はあけすけで偽悪的タイプ。読んでてちょっと一条ゆかりや西原理恵子など、豪快なかたがたを思い浮かべました。
技術についても描かれてますが、経験に基づいた心の持ちようやプロ根性についての部分がおもしろい。通常のマンガ教室モノとはひと味ちがいます。
Comments
漫棚通信さま。はじめまして。
タイトルにひかれて
なんとなく、こちらのブログに来て。
なんとなく、新條さんのブログに行って。
そして発言を見て愕然としてしまいました。
正直、新條さんの書くエッチな漫画はあまり好きではなかったのですが今回の発言を読んで印象が変わりました。
こんなに素敵で気持ちの良い方だったのですね。
読んで良かったです。
それにしても、漫画家さんが自分の書きたいものを100%書かせてもらえないのは分かっていたのですが、まさかここまでとは…
腐ってますね。
名の売れた方がここまで書くのはとても勇気のいる事だと思いますし、どんな内容でも批判する人というのはいますが、
これからは自由に漫画を書いて欲しいです。
今度マンガ喫茶で彼女の新作をチェックしてみようと思います。
Posted by: 杏仁カフェ | June 15, 2008 08:18 PM
それからその雑誌の休刊の話を耳にして、そおいうことも重なってペーペーの新人にかまってる暇がなかったのかなと今では感じてます。
↑の続き
4~5月は精神疾患が重くなり通院していたので、マンガをあまり描けなかったのですが、今は回復傾向にあるのでマンガに専念しこの夏また出版社を廻る予定です。
何が言いたかったかと言うと、新條さんのブログを読み不覚にも涙してしまった私は、そのブログを知るきっかけとなった漫棚様に一言感謝を言いたかったのです。
ありがとうございました。
長々と失礼しました、それでは。
Posted by: ピータン永美 | June 12, 2008 03:04 AM
はじめまして、漫棚さま
いつも楽しく拝見させていただいてます。
私はマンガ家志望の学生ですが、今回のことに思うことあったのでコメントしてみます。
私は三月に小学館の休刊になると噂されている雑誌で月間賞の努力賞を頂き、マンガ家に一歩近づけた若輩者です。
その際なぜ某誌を選んだかというと、去年の夏に上京し出版社を巡り、唯一「あなたのマンガ好きですよ」と言ってくれた編集がいたのが某誌の編集者でした。
私はまだマンガを描き始めて日が浅く、初投稿をどこにするか非常に迷っていて(描いてるマンガのジャンルがハッキリしないと言うのが一番の理由)とりあえず色々まわってみようとしたのです。
編集者には本当にいろいろな人がいました。
さっとだけ見て、うちでは使えないね、と言わんばかりの顔をして、駄目出しをしてすぐ席を立っていってしまった人。
親身になり1コマ1コマ意見を言って頂ける人。
雑誌のカラーが違うから、うちでは無理だけど内容の話ではなく私の身の振り方(人生相談?)をしてくれたひと。
終始苦笑い気味で困りつつ意見を言ってくれた人。
様々でした。
そして賞を頂き、編集部から留守番電話にその旨が入っていたのを見たとき、私は動揺して動悸が4時間止まりませんでした。
電話をかけ直し、こまごまとした話(賞金の入金先のこと)をした後、担当につくといってもらい、詳しくは後日また電話すると言われてその日は終わりました。
そして今日の今まで、電話はかかってきていません。
かけ直せばいいじゃないか、と言ってしまわればそれまでなのですが次ぎ描くネームも出来てなかったので何か話す内容など見つけられず電話はかけれませんでした。
それからその雑誌の休刊の話を耳にして、そおいうことも重なってペーペーの新人にかまってる暇がなかったのかなと今では感じてます。
4~5月は精神疾患が重くなり通院していたので、マンガをあまり描けなかったのですが、今は回復傾向にあるのでマンガに専念しこの夏また出版社を廻る予定です。
何が言いたかったかと言うと、新條さんのブログを読み不覚にも涙してしまった私は、そのブログを知るきっかけとなった漫棚様に一言感謝を言いたかったのです。
ありがとうございました。
それでは
Posted by: ピータン永美 | June 12, 2008 03:00 AM