« マンガ雑誌の発行サイクル | Main | 永島慎二巡礼の旅 »

May 28, 2008

マンガは伝統芸能化するのか

 「月刊IKKI 」2008年7月号の、相原コージ/竹熊健太郎『サルまん2.0 』最終回読みました。これに関する「たけくまメモ」の記事はこちら

 作者ふたりが失敗と認め、中断のかたちで終了したにもかかわらず、それなりにおもしろい最終回マンガになっているのがなかなかでした。

 竹熊健太郎は、マンガの未来はメディアミックスにあり、そこにおもしろさを見いだして遊ぶ余地が残されていると考えています。いっぽうで、マンガはマンガで完結すべきという考え方もやっぱりあります。今にいたっても、原作つきマンガ、映画や小説のマンガ化を忌避するひとはいます。

 その意味では、『サルまん2.0 』は遅すぎたというより、早すぎたのかもしれません。

 さて「IKKI 」7月号で興味を引いたのが、編集長・江上英樹の巻末詞です。竹熊健太郎が京都精華大学特任教授に就任することを受けての文章。

大学・専門学校に於ける“学問としての”漫画の興隆。これは漫画の伝統芸能化なのでしょうか?

 おっと、みんなきっと腹の底では思ってる、大学でマンガぁ? というアレです。

 研究され、鑑賞されるようじゃダメ。ま、たしかに街頭紙芝居が研究されるようになったのは、それが消滅してからではあります。1997年に刊行された「コミック学のみかた。」(朝日新聞社アエラムック)でいしかわじゅんが言ったように、マンガとプロレスは差別される娯楽として似た歴史を持っていますが、「プロレス学」なんてものは存在しないわけですし。

 さらにサブカルチャーを研究する、というところまではオッケーでも、マンガ「学」とか、「大学で」となると違和感や抵抗感が出てきます。今でも日本ではマンガ「学」は受け入れられてはいないようですね。

 ただこれにはふたつの立場があって、ひとつは、マンガなんぞが学問なんて、という昔ながらの考え。もうひとつは、マンガを卑小なものとして考えない、別の立場からのもの。

 マンガは「学」になったとき、学者のたんなる研究対象に成り下がってしまうのではないか。いつまでも巨大で雲をつかむように理解できない何かであってほしいという願望。

 大学でマンガぁ? という発言にはこのふたつが混じっているようです。同一人の内部にもふたつの考えが同時に混在しているのかも。

 たしかに紙とインクとペン、というきわめてアナログな手法で描けてしまうマンガは、伝統芸能化する可能性があります。でもどうだろう、最近わたしは、ヘタであってこそマンガ、という考えかたになりつつありまして、絵がすごくヘタでも、参入できるしヒットもする、という日本マンガの特徴があれば、伝統芸能にはならないのじゃないかしら。

|

« マンガ雑誌の発行サイクル | Main | 永島慎二巡礼の旅 »

Comments

アニメーションの場合は日本の美術大学の教育に取り入れられて数年経ちますがなかなかの成果を上げているように思います。(と言っても作品に個人名が出るアートアニメが主で、商業アニメの方面での活躍は僕はよく分からないのですが。)
それを考えると、アニメよりも芸術/商業の境目が曖昧な漫画がアカデミックに学問として扱われることは、他分野から参入の可能性も広がって新しい才能の活躍に期待できるのではないかなと思ったりします。

Posted by: huba | May 28, 2008 09:57 PM

筑摩書房のPR誌「ちくま」で、森川嘉一郎・伊藤剛・竹熊で「マンガと大学教育」をめぐるリレー連載をやっていまして、現在発売中の6月号に伊藤君がまさに「学校でマンガは学べるのか?」というタイトルで論考を書いています。

今回の漫棚さんの問題提起にも通じる興味深い内容ですので、ぜひお読みになられてはいかがでしょうか。

Posted by: たけくま | May 29, 2008 12:27 AM

> 「プロレス学」なんてものは存在しないわけですし。

実はございます(笑)。
こんな本も出ております。
http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/976562/s/~6b19cf0ce
一般に認められちゃいませんし、大学で講座も持てませんが。

Posted by: かくた | May 29, 2008 03:48 AM

プロレスと漫画は似ているかもしれませんが、この話題で並べて論じるには無理があると思います。
映画あたりが学問として成立していることなんかと比較したらいいんじゃないですか。

Posted by: bo | May 30, 2008 12:38 AM

>大学でマンガは学べるか?
学べる者はは学ぶはずです。
学べない者は学べない!

あまりにも当然な考えにぼくは居ます。
「学べっこねえや~」と、内心思っていたら、
こんなに体力と時間使って、安い非常勤講師で
遠方に出かけて行きません。

500人に1人しか居ない方が
可能性大ですが、それでいいと思うんですよ。

「学問の成立」なんかは、マンガは数十年早い論議です。
失敗を重ねるしか無いと思いますね。
マンガ学の体系すら、まだはっきりとは
見えてこないんですから。

だから教えても無駄?

無駄が出来るのが「文化」だと考えます。
兵隊みたいに「教育」したらオシマイでしょうね。

Posted by: 長谷邦夫 | June 02, 2008 06:07 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference マンガは伝統芸能化するのか:

» 5月30日のニュース [ごった煮]
エロゲーを買い集めることの徒労性について ハードが対応出来なくなると言うのが一番痛いな〜 一人暮らし男性の押し入れの天袋に、見知ら... [Read More]

Tracked on May 30, 2008 02:07 PM

« マンガ雑誌の発行サイクル | Main | 永島慎二巡礼の旅 »