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December 21, 2007

フライシャーのスーパーマン

 1978年、ツルモトルームから旧「スターログ」誌が創刊されました。SF/ファンタジー系の映画、アニメーション、マンガ、小説、イラストなど、当時もりあがっていたSFのビジュアルを前面に押し出した雑誌。わたし、創刊から1987年の休刊までずっと愛読しておりました。日本マンガ関連では、いわゆる「ニューウェーブ」と親和性が高かったですね。

 旧「スターログ」誌では、雑誌で紹介されたグッズの多くを通販で購入することができました。ダースベイダーのマスクとか。いやそれはさすがに買おうとは思いませんでしたけど、そのなかでずいぶん欲しかったのが、フライシャー制作のアニメーション「スーパーマン」。ただし8mmフィルムでの販売です。

 マックスとデイブ・フライシャー兄弟によるアニメーション「スーパーマン」は、1941年から1942年にかけてパラマウント/フライシャー・スタジオで、9作品が制作されました。

 フライシャー兄弟が長編映画「バッタくん町へ行く」の興行不振によりコンビを解消したため、「スーパーマン」は、「ベティ・ブープ」「ポパイ」を創造したふたりが協力した最後の作品となりました。

 彼らが手を引いたあともパラマウントはスーパーマンを作り続け、1943年までにフェイマス・スタジオにより8作品が制作されています。

 フライシャーの「スーパーマン」は名のみ高い幻の作品でした。だからみんな見たがってましたね。映画「スーパーマン」の1979年日本公開に合わせて、「第1回スターログシネマテーク」と題して、「巨匠フライシャーのスーパーマンアニメ」を上映する会が、全国四か所で開催されたこともありました。

 当時は家庭用ビデオレコーダーの黎明期。1975年、ソニーがベータ方式の家庭用ビデオレコーダーを22万円で発売。翌1976年をビデオ元年であると宣言しました。1976年にはビクターがVHS方式のビデオレコーダーを発売、1977年には松下もVHSを発売しました。実際にわたしが最初のビデオレコーダーを買ったのが、1978年です。

 しかし、レンタルビデオ屋さんなんてものはまだ存在しません。当時、ビデオは「買う」ものではなく、「撮る」ためものでした。ですから映像の販売は、ビデオじゃなくて8mmフィルムね。

 スターログで売ってた8mm版「スーパーマン」は、一作品が8分から9分の200フィートのフィルムで、12000円から15700円(!)。とてもじゃないけど買えるものじゃありませんでした。

 ビデオ時代になっても、映像を記録したビデオはほとんどが一万円以上の高価なもの。1987年の旧スターログ最終号にはさすがに8mmじゃなくてビデオの広告が載ってますが、このお値段が9800円から14800円です。

 この時代、ビデオは「借りる」ものになってましたが、しだいに安価なビデオが販売されるようになります。代表的なのが大陸書房の書店売りビデオ。これが始まったのが1987年で、ピラミッド名作アニメシリーズと題して、「バッグス・バニー」「ポパイ」「ベティ・ブープ」などといっしょに全三巻の「スーパーマン」を発売したのは1989年のことです。

 一巻に三作品が収録され1980円。フライシャー・スタジオの作品だけじゃなくて、フェイマス・スタジオ作品も混じってました。でもこれはうれしかった。やっと、フライシャーの流麗な動き、重さを感じるアクション、すてきな色彩のスーパーマンを見ることができるようになったわけです。

 TVアニメ「ルパン三世」第二期、宮崎駿演出の「さらば愛しきルパンよ」の放映が1980年。劇場版アニメ「天空の城ラピュタ」の公開が1986年。これらに登場したロボットのモトネタが、フライシャー版「スーパーマン」の“The Mechanical Monsters ”のロボットである、ということはすでに知られていましたから、ほうほうなるほど、という興味もありました。

 1992年の大陸書房の倒産後は、ソフトオンデマンドが同じビデオを980円で売ってた時期もありました。

 時は流れて21世紀。100円ショップのダイソーが、フライシャー版「スーパーマン」のビデオを発売しました。一巻に二作品がはいってて、もちろん100円+税。全三巻で発売されていて、今でも手に入ります。おそらく著作権切れにともなう発売なのでしょう。いやもう安いというか何というか。

 そして先日、ダイソーの100円ショップに行って見つけたのが、DVDであります。

 「スーパーマン:弾よりもはやく」というタイトルで、フライシャー・スタジオの7作品が収録されて200円+税。DVDですから二カ国語版になってます。日本語タイトルは大陸書房版やダイソービデオ版とは違う訳になってますし、収録作も微妙にずれてます。ダイソービデオNo.15収録の「偽スーパーマン」とNo.17収録の「テロリストは誰だ」はフェイマス・スタジオ作品で、DVDには収録されてません。

 しかしまあ、ここまで安くなりましたか。興味あるかたは、どうぞダイソーの100円ショップで探してみてください。

 最後に原題と日本語タイトル一覧を。

 現在、フライシャーの「スーパーマン」全作品はネット上で見ることができますのでリンクしておきます。リンク先は「Internet Archive」ですがYouTubeにもあります。

Superman (The Mad Scientist) (1941) 恐怖の殺人光線、スーパーマン
The Mechanical Monsters (1941) 謎の現金強奪ロボット、ロボットモンスター
Billion Dollar Limited (1942) 金塊輸送車を守れ、限られた10億ドル
The Arctic Giant (1942) 氷河の古代怪獣、北極巨人
The Bulleteers (1942) 弾よりはやく
The Magnetic Telescope (1942) 磁気望遠鏡
Electric Earthquake (1942) 電気地震
Volcano (1942) 火山島危機一髪
Terror on the Midway (1942)

 上記がフライシャー・スタジオ。下記がフェイマス・スタジオ作品です。

 見ていただけばわかりますが、フライシャーのスーパーマンの敵が怪ロボットや怪獣だったのに比べ、後半のフェイマス・スタジオ作品の敵には、戦争中らしく、メガネに出っ歯の日本人スパイや日本軍が登場するのが時代ですなあ。

Japoteurs (1942) ≪タイトルはジャパニーズとサボタージュを合体させた造語です≫
Showdown (1942) 偽スーパーマン現わる!
Eleventh Hour (1942) ≪中国で日本軍と戦う横浜で破壊活動をするスーパーマン≫
Destruction Inc. (1942) テロリストは誰だ ≪軍需工場をねらうスパイのお話≫
The Mummy Strikes (1943)
Jungle Drums (1943) ジャングルの秘密 ≪アフリカ(?)のジャングルでナチと戦うスーパーマン≫
The Underground World (1943)
Secret Agent (1943) 暗黒組織をつぶせ!

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Comments

 ここで紹介されている「スーパーマン」のアニメの多くが、以下のサイトで見られます。

 http://www.archive.org/search.php?query=superman%20animation%20AND%20mediatype%3Amovies

 superman と animation で検索した結果です。ほかにもたくさんのアニメや映画があります。

Posted by: すがやみつる | December 21, 2007 11:57 PM

> Eleventh Hour (1942) ≪中国で日本軍と戦うスーパーマン≫
とありますが、これ日本でスーパーマンが破壊活動する話だと思いますよ。
冒頭にYOKOHAMAって字が出ますし。
しかし戦時中にどうやって日本に潜入したのかクラーク・ケント。ロイスも捕まっちゃうし。謎です。

昔見たビデオでの邦題は「亥の刻の襲撃」でした。

Posted by: かくた | December 22, 2007 01:15 AM

> Eleventh Hour (1942)
あ、ほんとだ。オープニングにでかでかとYokohamaと出てましたー。修正しました。

Posted by: 漫棚通信 | December 22, 2007 08:49 AM

>すがや先生
古い短編アニメの多くはリンク先の「Internet Archive」で見られますね。ベティ・ブープ全作品とか。ネット上の映像アーカイブの充実ぶりはスゴイ!

Posted by: 漫棚通信 | December 22, 2007 08:58 AM

たしか、ロイスが日本で取材をするって話は、日中戦争当時で、まだ対米戦は始まっていない頃の話では。
それにしても、昔のスーパーマンって、空飛べないんですね。高くジャンプするだけで。「高いビルディングもひとっ飛び」ってのはジャンプでビルも飛び越えられるって意味だったんですね。

Posted by: N | December 22, 2007 11:27 PM

宮崎駿演出の「さらば愛しきルパンよ」は、マックス・フライシャーへのオマージュとして、「The Mechanical Monsters」と駒割まですっかり同じに造られていると言う薀蓄を聞いていたので、見てみたのですが…。肝心のルパンの方が手元にないのですが、確かに冒頭、和光(確か)が襲われるあたりの描写は記憶があるものの。実際のところはどうなんでしょうねえ。

Posted by: 藤岡真 | December 23, 2007 11:32 PM

ロボットのデザイン、襲撃する宝石店のデザイン、悪人の基地の色調は似てますが、さすがにカット割はまったくの別物です。日本版wikipediaなどにある「カット割もほぼ同じ」というのは伝説ですね。

Posted by: 漫棚通信 | December 24, 2007 02:46 PM

やっぱりそうですか。わたしはあの「と学会」の帽子じゃない某氏の本で読んだのですが、あれもまたガセだったのか。

Posted by: 藤岡真 | December 24, 2007 06:29 PM

>藤岡さま
YouTubeにありましたのでご覧になってみては。
http://www.youtube.com/watch?v=6mgkcWBQvwA

Posted by: かくた | December 27, 2007 09:46 PM

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