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November 07, 2007

デスハンター/ゾンビー・ハンター/死霊狩り

 ゾンビを題材にしたマンガの先駆からもうひとつ。桑田次郎(現・二郎)/平井和正『デスハンター』は、1969年~1970年「週刊ぼくらマガジン」に創刊号から連載されました。

 
(↑今はマンガショップから発売されてます)

 講談社のマンガ月刊誌「ぼくら」は、1969年10月号で休刊。その後継誌として「週刊ぼくらマガジン」が創刊されました。講談社は少年向けマンガ週刊誌を「マガジン」と「ぼくらマガジン」のふたつ持つことになりましたが、戦略としては、「マガジン」読者を高校生以上に設定し、低年齢層には「ぼくらマガジン」を読んでもらおうと。

 ただし、当時の少年向けマンガ週刊誌は激戦区で、すでにサンデーとキングがあり、1968年創刊のジャンプは一年たって週刊化されたところ。さらに1969年にチャンピオンが創刊され、これも一年後に週刊化されます。これに対して「週刊ぼくらマガジン」はまる二年もたずに、1971年に休刊となりました。

 「ぼくらマガジン」は「マガジン」編集長の内田勝が編集長を兼任し、その特徴は変身ヒーローをそろえたことでした。超人ハルク、仮面ライダー、魔王ダンテ、バロム・1、タイガー・マスクなど。

 この中に『デスハンター』もあったわけです。『デスハンター』終了後に「週刊ぼくらマガジン」で始まったのも、坂口尚/平井和正『ウルフガイ』という変身ヒーローマンガでした。

 で、『デスハンター』ですが、これが幼い子ども向け作品かといいますと、決してそんなことはありません。

 ストーリーは、もとレーサーの青年が秘密組織にスカウトされ、無人島のジャングルで生き残るという過酷なテストを受けることになります。秘密組織の目的は、宇宙からの侵略者“デス”を暗殺すること。

 デスは緑色をした不定形の地球外生物。人間の体内に侵入するとその人間の意識を支配します。それだけじゃなくて、憑依された人間は超人的な怪力とスピードを持ち、頭を撃たれても死なない不死身の体を手に入れます。

 マンガとしての描写がすごくて、銃でアタマが撃たれる、腕はちぎれる、ひとは燃える、二つに折られる。さらに女性をムチ打ったり顔の皮をはぐような拷問も。これがクールでシャープな桑田次郎の絵で描かれるわけで、おそらく桑田次郎にとってもベストワークではないかと。

 この時期の平井和正は「人類ダメ小説」をテーマにしていましたから、『デスハンター』のラストでは、どんでん返しが待っています。価値観がひっくり返るという意味で、マシスン『地球最後の男』のラストにちょっと似てますね。

 『デスハンター』は、連載終了後比較的早く、1971年に朝日ソノラマサンコミックスで全四巻の単行本になりました。また平井和正の手で小説化され、『ゾンビー・ハンター 死霊狩り』として1972年ハヤカワSF文庫から出版されました。


(↑今はハルキ文庫)

 平井和正は当初からタイトルとして“デス”じゃなくて“ゾンビー”を考えていたそうです。ただしこの時期の“ゾンビー”は、映画でのモダン・ゾンビじゃなくて、西インド諸島のブードゥー教に伝わる「生ける死者」としてのゾンビです。ですからまだ、吸血鬼のイメージは合わさってなくて、人肉食もしませんし、咬まれることで感染もしません。

 小説版『ゾンビー・ハンター 死霊狩り』の続編は角川書店「野性時代」掲載されたあと、1976年と1978年、角川文庫から発行され全三巻で完結しています。

 『デスハンター』と小説版『ゾンビー・ハンター』の大きな違いは、そのラスト。小説ではゾンビー・ハンターの秘密基地が爆破されて終わりますが、マンガはその後日談まで語られています。

 その部分には正義の組織として「宇宙救済協会」という宗教(?)団体が登場してます。平井和正のそっち方面好きはすでにこのころからだったのですね。でも当時の読者のわたしは、まだ気づいてなかったなあ。

 1998年、『デスハンター』はマンガとして復活します。梁慶一の手により『死霊狩り ZOMBIE HUNTER』のタイトルで「月刊コミックビーム」に連載が始まりました。

 ただし、連載前半は原作どおりの展開だったのですが、後半になると平井和正の別作品を原作にしたマンガに。そして、梁慶一が「サンデーGX」に移籍して 『新暗行御史』を始めちゃったので、『死霊狩り』は未刊のままになってしまいました。単行本は4巻まで出てます。

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Comments

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つ、使えんよ、こりゃあ。困った困った。

Posted by: トロ~ロ | November 08, 2007 12:46 AM

> 『デスハンター』のラストでは、どんでん返しが待っています。価値観がひっくり返るという意味で、マシスン『地球最後の男』のラストにちょっと似てますね。

ああ、そういえばそうでしたか。「ゾンビーハンター」は全巻読んでましたが、「デスハンター」は古本屋でちょっと立ち読みした事があっただけだったので、忘れてました。しかし、やっぱり昔の平井和正の作品はかっこいいですねぇ。

Posted by: Stock&Flow | November 09, 2007 01:19 AM

30年前、『ゾンビー・ハンター 死霊狩り』の大ファンだった一人です。
当時、朝日ソノラマ版『デスハンター』が先行する作品と知ったときにはいろんな意味で衝撃でした。

その頃(25年ほど前でしょうか)『ゾンビー・ハンター 死霊狩り』の一巻目を
漫画化した作品が大人系漫画週刊誌?に掲載されていました(一挙掲載か上下2回掲載)。
平野仁氏系?の劇画で詳しい事は失念しておりますが、切り抜いて実家に保存してあります。
今度実家に戻ったときに確認してきます。

Posted by: 丁稚くん | November 09, 2007 02:59 PM

調べてみますと、神谷忠成作画の「死霊狩り」が1977年プレイコミックに掲載されてるようです。

Posted by: 漫棚通信 | November 09, 2007 05:49 PM

>神谷忠成作画の「死霊狩り」が1977年プレイコミックに掲載
おそらくこれで間違いないと思います。
1977年というと私が15才のときでプレイコミックを購入するのに
若干敷居が高かったのを覚えております。
記憶があいまいで失礼いたしました。

Posted by: 丁稚くん | November 09, 2007 10:59 PM


はじめまして。

最近になって急に『死霊狩り』にハマった新参者です。

『デスハンター』はずいぶん昔に読んだ記憶があるんですが。

とにかく古本屋で偶然目に止まった梁慶一版の魅力にやられました。

ライラの可愛らしさや林の飄々ぶりとか。

それだけに「犬養くんの災難」が中断になったのが実に惜しいというか。

「魔女の標的」パターンの大ファンなだけに。

Posted by: JIN | September 19, 2009 12:09 AM

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