海外マンガもいろいろ
日本で発売される海外マンガは、できるだけチェックしたいと思ってます。でも最近は日本のマンガ誌に作品を発表してる韓国とか香港の作家も多くいますし、すべては無理。そういえば、かつてタイガーブックスから韓国マンガがどっと発売されたときは、こづかいが足りなくてとても追っかけきれませんでした。
逆に情報が少ないせいで買いのがすこともあって、あとで悔やむことも多いです。海外マンガってマンガ関連以外のところに情報が流れることもありますからねえ。しかもあたりまえですが、本というものは読んでみないとアタリかハズレかわからない。
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最近なら、「本の雑誌」で紹介されてたエドワード・ソレル(EDWARD SOREL)『文豪の真実 LITERARY LIVES』(2007年マール社、藤岡啓介訳、1200円+税、amazon、bk1)というマンガがあります。
マンガといっても、著者はニューヨーカーにヒトコママンガを載せているカートゥーニスト。この本、小さなかわいらしい造本でして、縦の長さは文庫本より小さいです。内容は文豪たちの人生をつづったもの。1ページにひとつの絵とキャプション。向かいのページに対訳。絵が9枚でひとりの作家の人生を書いていきます。
日本でいうなら杉浦幸雄をちょっとブンガクテキにした感じ、かな(この比喩じゃ意味がわからないひとの方が多いか)。ゴシップネタばかりの皮肉な文章と絵です。
たとえば、マルセル・プルースト。
1905年
お母上が亡くなり、プルーストは大金持ちになります。
そして若い労働者階級諸君に途方もない贈り物を与えます。
彼ら、ホモでない若者が通えるホテルのオーナーになるのです。
投資はこれだけではありません。
ホモのための、男がお相手を勤める売春宿まで買います。
ひそかにのぞき穴を作って、
男たちのグロテスクな趣味を拝見しようという、
オーナーの特権を生かしました。
ジャン=ポール・サルトルはこんな感じ。
1945年
サルトルにとって、この戦争は「いい戦争」でした。
有名になり、金持ちになり、
そして、彼の知的な魔力に魅せられた女性たちが
群がり寄ってきたのです。
ボーヴォワールはどうしたか?
「性的には引退したおんな」として振舞うことにし、
それだけではありません。
自分の教え子であるチャーミングな娘たちを、
サルトルのハーレムに紹介していました。
もう日本にはほとんど存在しないタイプのマンガで、これはアタリでした。
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それから、もうすぐ出版されるはずなのが、ステファヌ・ウエ(Stephane Heuet) 画によるプルースト『失われた時を求めて』のマンガ化(2007年白夜書房、中条省平訳、2800円+税、amazon、bk1)。
ネットニュースでは、初版は予約で完売、と報道されてましたが、さすがにそれはほんとかしら。フランスでは10年くらい前から刊行が始まり今は4巻まで発売、まだ完結してないそうです。評判がいい本らしいので楽しみ。
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日本で読める海外作品というのは、たくさんある作品の中からセレクトして邦訳されるはずなので、ハズレは少ないはず。なのですが、思いっきりハズレだったのもありまして。
ジェームス・ジャーヴィス/ラッセル・ウォーターマン(JAMES JARVIS / RUSSEL WATERMAN)『ヴォーティガンズ・マシーン ラスティとウィッグスのマジカル・アドヴェンチャー VORTIGERN'S MACHINE AND THE GREAT SAGE OF WISDOM』(2007年青山出版社、シラクラミキコ訳、1800円+税、amazon、bk1)という本があります。
どうも人形デザイナーの著者が、自分のキャラクター(日本でも販売されてます)を使ってマンガを描いてみた、というものらしいです。イギリスのマンガですが、オールカラー、BDタイプのりっぱな造本です。でも絵はともかく、ストーリーは箸にも棒にも。イギリスアマゾンの紹介欄には、著者のファンなら二冊買う、なんて書いてありますが、あくまでファン向けの作品でした。うーん失敗した。しくしく。
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