ゾンビな週末
週末は、ひたすら荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』を読み直すつもりでした。ユリイカで荒木飛呂彦の特集を出すというので、それの予習ですな。
今回できれば第三部終了までは読み進めようと思っておったのですが、二日かかっても三部の初めあたりまでしか到達できませんでした。というのも、いろいろ寄り道してたから。
ジョジョには吸血鬼が登場しますが、TVで映画「バイオハザードⅡ アポカリプス」をやってたのでこれも見ちゃいました。こっちはゾンビ映画。
TVにはミラ・ジョボビッチが出演して映画の紹介をしてました。今やってる「バイオハザードⅢ」の宣伝です。ところが彼女、ニコニコと愛想がよいのはケッコウなんですが、お顔がまるまるというかぱんぱんで、ずいぶん福々しくなられてました。こんな感じね。で、こっちが映画の中の彼女。
最近出産されたそうでして、このころ臨月じゃないですか。めでたいことではありますが、映画でのイメージとのギャップがスゴくて。これ宣伝になってんのかしら。
「バイオハザードⅡ」は別にどうということもない作品でしたが、今、ゾンビ映画は流行してるみたいです。
モダン・ゾンビ映画は、1968年、ジョージ・A・ロメロ監督『ザ・ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』、そして世界じゅうでヒットした1978年の『ゾンビ』に始まりますが、その源流が、リチャード・マシスンの小説『地球最後の男』(I Am Legend、1954年)です。で、これもぱらぱらと読み直し。
この小説では、(1)人間より吸血鬼のほうが多くなった状況設定と、(2)吸血鬼化=細菌による感染という現代的アイデアが導入されました。とくに(1)はスティーヴィン・キング『呪われた町』(1975年)やキム・ニューマン『ドラキュラ紀元』シリーズ(1992年~)でも踏襲されてます。
じゃあマンガではどうなのかといいますと、1970年から1971年、週刊少年ジャンプに連載された、小室孝太郎『ワースト』があります。
異常気象で世界じゅうが大雨となり、その雨にあたった人間は、死亡したあとゾンビとしてよみがえります。生き残った人間たちが協力してゾンビ=ワーストマンと戦うというお話。
まだ映画『ゾンビ』も存在しない時代に、『ワースト』は、のちのゾンビ映画のフォーマットの多くを先取りしていました。
(1)人間よりゾンビが多くなった世界
(2)ゾンビによる人肉食
(3)咬まれることで人間がゾンビ化
(4)ゾンビ化=ウイルスによる感染
ロメロ映画との違いは、ワーストマンは生前の姿をしていないことと、あのゾンビ歩きがない、ということぐらい。これも読み直してみましたが、じつに先進的な作品であったことをあらためて感じました。
Comments
>「地球最後の男」のラスト
タイトルの意味がラストでわかるという、とてもテクニカルなものでありながら、SF的に価値観を相対化させるということをやってますね。
>余り怖くないのだ
いや実はわたしゾンビ怖いんですよ。(1)ひとりひとりはにぶいのに大勢にかこまれる、(2)血を吸われるのならともかく、食われる、(3)友人や恋人が死んだあとゾンビとなって襲ってくる。とくに(3)はもう、ダメです。
>デスハンター
そうでした、これがありました。長くなったので別エントリにしました。
Posted by: 漫棚通信 | November 07, 2007 05:42 PM
ゾンビ漫画と言えば、ちょっと毛色はちがうんですが、平井原作、桑田作画の「デスハンター」が69年にありました。
まあ、これはゾンビものというよりは、(ちょっとダークな)ヒーローものの色彩が強かったですが。
平井和正の小説版はそのものズバリのタイトルでした。
Posted by: N | November 07, 2007 01:05 AM
ゾンビ映画に共通するおかしさ。
人間よりゾンビが多くなり、そのモブシーンも大抵夜という設定。そうなると、遠目には薄汚れた爺さんがよろよろ歩いているようにしか見えず、余り怖くないのだ。
「宇宙バンパイア」の最後の方なんて、栄養失調のホームレスの群れにしか見えなんだ。
1対1だと物凄く怖いのにね。
Posted by: 藤岡真 | November 06, 2007 12:25 PM
「地最後の男」は名作ですよね。あの作品は大好きです。
で、この作品の特徴をあげられてますが、あともう一つラストでのオチを特徴としてあげてもいいと思います。オチなので詳しく書けませんが、ああいう肯定というか役割を受け入れるラストって、非常に珍しくないでしょうか?
ウィル・スミス主演で再映画化されるそうですが、はたしてどういうラストになるのか。
Posted by: StockFlow | November 05, 2007 11:39 PM