図書館にて
●図書館に行って先月号の「本の雑誌」(2007年10月号ですな)を読んでおりましたら、北原尚彦「君は名探偵なんせすを知っているか!」という記事が載っておりまして、おお、あのわけわからんマンガ、沼礼一『名探偵なんせす』(2006年サニー出版、650円+税、amazon、bk1)について書かれてるじゃないですかっ。
どういうマンガかといいますと、ナンセンスミステリの短編集でして、絵が圧倒的にへなへな。書影に描かれてる女性は、別にダッチワイフじゃありません、彼女は探偵助手のワープちゃん。だれかの推理を聞くと、彼女が「ワープ」と叫んでヌードになる(←彼女の驚きのポーズなのか?)のがくり返され、読者としましては脱力するか怒り出すかのどっちか、という怪作です。
わたしにとっても謎のマンガ、謎のマンガ家だったのですが、「本の雑誌」の記事では、ついに作家の正体が明らかに! 興味あるかた(←ほとんどいないかもしれませんが)は当該記事をお読みください。このマンガ、かつて光文社の雑誌「ポップコーン」にも掲載されてたそうです。ほー。
この雑誌、吾妻ひでお『ななこSOS』が連載されてたので有名。右開きで日本マンガ、左開きでアメコミが掲載されてるという変わった雑誌でしたが、ごめんなさい、沼礼一の名前は覚えてなかったです。
●あと、おもしろそうだったので借りてきたのがこの本。山田正紀/恩田陸『読書会』(2007年徳間書店、1500円+税、amazon、bk1)。
山田正紀と恩田陸が中心になって、ある作品、作家についての読書会を催す、という企画の本。取り上げられてるのは半村良『石の血脈』とかアシモフ『鋼鉄都市』とかSF系なのですが、なかに一冊だけ、マンガとして萩尾望都『バルバラ異界』が混じってます。
『バルバラ異界』の回は、山田正紀、恩田陸に牧眞司が加わり、さらに編集者もよくしゃべってるから四人の座談会ですね。で、この座談会がなかなかに楽しいんですよ。みんなマンガにくわしくてねー。マンガ夜話と同じような感じ。しかも作家ですから創作側から見た話も多くて。
みんなが指摘してるのが、萩尾望都のストーリーテリングの見事さ。うーん、『銀の三角』や『バルバラ異界』を含めた萩尾SFは、きっちり読み直さなきゃいけないなあ。
さらに恩田陸×萩尾望都の対談がオマケにくっついているおりますので、たいへんケッコウでお得な一冊でした。
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