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October 08, 2007

『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』加筆部分

 というわけで、新井英樹『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』の5巻(2006年エンターブレイン、1280円+税、amazonbk1)だけを買ってきました。

 資料として、『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』での加筆修正部分を書き出しておきます(でもこづかいの問題もありますので5巻だけね)。以下、小学館ヤングサンデーコミックス版をYS版、エンターブレイン版をEB版と表記します。またページ数は『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』5巻のものです。当然ながらネタバレしますので、気にされないかただけどうぞ。

 加筆修正は、ストーリーの根幹にかかわるような変更はなく、セリフやキャプションもほぼ同じ。YS版でキャプションだけで表現されていたところに対し、数コマの絵が追加されるかたちの修正が多いようです。


●EB版では、基本的にフキダシ内のセリフはYS版のものを流用しています。フキダシに囲まれないキャプションや各回のタイトルがEB版では打ち直されてますので、文字の位置や大きさ、行換えの位置などが変化しています。

 小学館の決まりとして、セリフやキャプションの最後に句点をつけるのが標準になっているようですが、絶対というわけではなさそうです。

 逆にエンターブレインでは句点をつけないのが標準みたい。ですから、EB版ではセリフは句点あり、キャプションは句点なし、というかたちが多くなってます。

●セリフの変更

133回5ページ目左下:YS版「失くしたトカレフ マガジンに弾丸8発やろ、プラスチック爆弾もない」→EB版「ほなら 残りはトカレフ1丁、マガジンに弾丸8発のみ。プラスチック爆弾はゼロや。」
140回、141回:菅原警部補の一人称、YS版「ジブン」をEB版「自分」に変更

●キャプションの変更

142回:“神室山、山麓”→“神室山山麓”
151回:“3週間後 彼らは富山県へ。”→“富山県藤子港”
152回:“8月富山へ−ロシア船入港”→“8月富山県高岡市藤子港 ロシア船入港”
158回:“ヨーロッパの国々までもが沈黙し始めた「…使え。」”→“ヨーロッパの国々までもが沈黙し始めた”
158回:“世界の宗教は事態好転を神に祈り、言葉を飲み込んだ「核兵器」。”→“世界の宗教は事態好転を神に祈り、言葉を飲み込んだ”

●加筆修正部分

○135回8ページ目最下段:塩見警部補の口もとアップを加筆。
○139回17ページ目より:警察庁のふたり、塩見警部補、菅原本部長、四人の会談。YS版では半ページ分を、2ページ以上の描写に延長。

 ま、このあたりまではともかく、やっぱ終盤になるにつれて加筆が多くなってきます。

○152回冒頭より:3ページ加筆。一兆万本の消化器爆弾と破壊される世界のイメージ。
○152回12ページ目より:2ページ加筆。街をさまようトシ。
○152回18ページ目より:2ページ加筆。トシに拳銃を向けるモン。見開き1コマ。
○154回9ページ目下段より:約3ページ加筆。坂本とシャンプティエ博士との会話。YS版では1ページ分を、3ページの描写に延長。
○155回17ページ目より:2ページ加筆。東京での同時多発テロから首都機能マヒまで。YS版ではヒトコマのキャプションで処理していたのを2ページちょっとの描写に延長。
○155回21ページ目より:7ページ加筆。トシが殺害されるシーン。

 ページ数で最も多い加筆が、トシの死のシーンです。描かないという選択をしたのがYS版ではありましたが、EB版ではトシの最後の言葉として「神さまっ!!」が付け加えられることになりました。

 そして、モンの少年時代も加筆が多くなってます↓。

○160回8ページ目より:2ページ加筆。少年モンがいじめられるシーン。
○160回18ページ目より:2ページとヒトコマ加筆。線路を歩く少年モンと足先のアップ。
○161回7ページ目より:2ページとヒトコマ加筆。海辺をさまよう少年モン。
○161回18ページ目より:2ページ加筆。出産シーンと少年モンのアップ。
○161回21ページ目より:YS版1ページ分を5ページに延長。

 さらに最終回は、当然ながら加筆されてます↓。

○163回(最終回)18ページ目より:加筆2ページ。雲海と爆発の閃光。
○163回22ページ目より:加筆2ページ。爆発の閃光。
○163回25ページ目より:加筆2ページ。星雲と、「未知の星」の風景。
○163回28ページ目より:ラストシーン。YS版1ページを3ページに延長。

 ラストシーンについて。「町山智浩のアメリカ映画特電」というポッドキャストで『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』について語られています(リンク先第10回)。前回エントリのコメント欄で教えていただきました。ありがとうございます。

 町山氏は『ザ・ワールド・イズ・マイン』と映画「2001年宇宙の旅」との類似を指摘されてます。なるほど。わたしはずっと、このラスト、手塚治虫『火の鳥 未来編』だよなー、と思ってましたが、確かに赤ん坊とか猿人が出てくるんだから、火の鳥より2001年ぽいですね。

●ちょっと残念なところ。EB版はYS版に比べて印刷がうすく、細い線がトンでしまっています。とくに大きなコマやキメのコマでこれがめだってて、マリアの死のシーンなんか、EB版ではマリアの目のあたりやアゴの下の斜線がまったく消えてしまって、YS版とずいぶん印象の違った絵になってます。これはYS版の方が良かった。

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Comments

真説版しか読んだ事ないので参考になりました。けっこう細かいところ加筆修正されてるんですね。

Posted by: library | October 14, 2007 12:56 AM

町山です。いつも拝読しています。
「火の鳥」のこともオビの推薦文に書いてますよ。
「ワールド・イズ・マイン」が一番近いのはハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」だと思います。

Posted by: 町山 | October 14, 2007 02:10 PM

コメントありがとうございます。エリスンのセカチュー、再読しました。愛を叫ぶ大量殺人者、その彫像、ラストは第四次世界大戦の勃発ですから、たしかにザワールドイズマインそのままですね。わたし二度は読んでるはずなんですが、まったく内容覚えてませんでした。

Posted by: 漫棚通信 | October 15, 2007 08:38 PM

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Tracked on October 14, 2007 12:45 AM

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