「あんなの」と「単なる」
「あんなのSFじゃない」
SFっぽいマンガ・アニメ・ラノベをさして、軽蔑的に言うことば。このフレーズをつかう人は、ジャンルとしてのSFを厳密にせまく考え、しかもSF、えらい! という気持ちを心の底に持っている。実はわたしもちょっとそう。
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「あんなのミステリじゃない」
このことばは最近ほとんど聞いたことがないですね。かつては言ってたのかしら。ミステリというのはすでに浸透と拡散がいきわたってて、恋愛小説だろうが時代小説だろうが、ミステリ風味を持っててあたりまえになっちゃってますから。
でも、「あんなの本格じゃない」は、今もふつうに使用されてます。
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「あんなのオタクじゃない」
いわゆる「ウスい」オタクをさして、ちょっと軽蔑的に言うことば。「濃い」オタクから発せられることがほとんど。
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「あんなのロックじゃない」
わたしそっち方面にはくわしくないのですが、今もこのことば、使われてますか?
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「あんなのラノベじゃない」
今はまだ使用されていないことば。将来出現するかどうかもわかりません。
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「あんなの漫画じゃない」
これもほとんど聞いたことないですねえ。「漫画」ということばをメディアじゃなくて、マンガ内のいちジャンルとして考えるならば(たとえば古典的おとなマンガや子どもマンガの意味で使うのなら)、ありうる言いかたかもしれません。
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「単なるSFじゃない」
「単なるミステリじゃない」
「単なるオタクじゃない」
「単なるロックじゃない」
「単なるラノベじゃない」
「単なる漫画じゃない」
作品や作家に対する誉めことば。
ただし、これを使ってるひとは誉めてるつもりなのに、そのジャンルやメディアのファンはこれを聞いてぷんぷん怒りだすことがあるので、使用には要注意。
Comments
SF至上主義な人は、大半の読者がSFであるとは認識していない、あるいはSFであることが主題ではなく、ただの大道具でしかない作品にまで首を突っ込み「素晴らしいSF作品だ」と空気読まず持ち上げたり、「いいセンまで行っているがSFとは言えない」などと評論始めて戸惑わせたり、「こんなものはSFではない」と罵倒して、ファンを怖がらせたり怒らせたり…申し訳ないですけど、余り言い印象は無いですね。いえ、漫棚さんがそうだと思っているわけではありません。
Posted by: モトラ | October 31, 2007 01:14 AM
「たかが(しょせん)」と「されど」について、ぜひご高察を…
Posted by: manga-do | October 24, 2007 02:15 PM