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August 17, 2007

祝! 『ロボット三等兵』復刻

 『ロボット三等兵』が復刻されてます。めでたいっ。

●前谷惟光『ロボット三等兵』全三巻(2007年マンガショップ/パンローリング、各1800円+税、amazonbk1

  

 第二次大戦中、日本陸軍に従軍したポンコツロボットのギャグマンガ。いや、ギャグマンガという言葉は当時存在しなかったはずですから、ゆかいまんが。いやいや、ロボット三等兵はドタバタが多いから、大爆笑まんがかな。「いやなことをいうね」というとぼけたセリフを知ってるかたもいらっしゃるでしょう。

 貸本単行本として寿書房から1955年から1957年にかけて全11巻が出版。その後「少年クラブ」1958年6月号から1962年12月休刊号まで連載されました。

 今回復刻されたのは寿書房版です。1995年にアース出版局から全三巻で復刻されたときは、寿書房版の8巻と9巻がはぶかれてたうえに、エピソードが順に収録されてなかったのですが、今回、ほぼ完全版になっています。これでやっと寿書房版『ロボット三等兵』の全貌がはっきりしました。って、そんなことを気にしてるのはわたしだけかもしれませんが。

 壽書房版のエピソードは、以下のようになっていました。それぞれ一巻90ページほど。

1巻:国内での教育隊編
2巻:南方戦線のどこか(ガダルカナルらしい)
3巻:南方戦線のどこか
4巻:中国戦線のどこか
5巻:インパール作戦編
6巻:ミイトキーナ/フーコン作戦編
7巻:終戦後も南方で戦うロボット三等兵編
8巻:アッツ/キスカ編
9巻:ミッドウェー/スタンレー山脈作戦編
10巻:アフリカ/ドイツ編
11巻:ロシア/再度インパール作戦編

 後半になると、実際の戦史を背景にした展開が主となり、ばかばかしい戦争を笑いとばす特徴がより強くなりまして、まさにロボット三等兵の本領発揮。ロボットとトッピ博士が、アフリカやドイツ、ロシアに出かけるのも、マンガならではです。この後、少年クラブに連載された版も、戦史のお勉強という側面を持っていました。

 フーコン作戦編では、敵に包囲され全滅を覚悟したロボット三等兵とヒゲ部隊は、配られた末期の酒に酔っぱらってしまい、「すととんすととんとかよわせて」「すっちょいすっちょいすっちょいな」と踊りながら、アゼンとする敵を尻目に敵陣を突破します。

 「だからお酒というものはありがたいものなのだ」というオチがついて、マンガとしてはめでたしめでたしになってますが、現実には従軍していた前谷惟光自身も、飢餓とマラリアによる衰弱のまま敗走し、九死に一生を得ています。お気楽マンガ、ロボット三等兵の背後にはこれらの悲惨な戦争体験が厳然としてあります。

 マンガショップではこのあと、『前谷惟光傑作集1 ロボット二挺拳銃』『前谷惟光傑作集2 ロボット捕物帖+め組のロボット』などの復刻も予定されてますが、これもうれしい。マンガショップさん、ここはどうか、寿書房版よりギャグや絵が洗練されててエピソードの書き込みも細かくなってる、少年クラブ版/虫コミックス版『ロボット三等兵』の復刻もしていただけないものでしょうか。

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Comments

 おおっとぉ! ぼくはこれリアルタイムで読んでましたからねえ。「いやじゃあありませんか」なんてフレーズは、自分のサイトの日記でもよく使ってますけど、もちろんこの作品の決まり文句の一つ(因みに「ヤデウデシヤ」は谷岡ヤスジ、「知らんもんね」は東海林さだお)。お気楽マンガの奥の深さはご推察通りなんでしょうが、例えば、遁走した牛の群れを連れ帰りにいった回で(少年クラブ版だったかしら)、意気揚々と引き上げてくる三等兵の後ろから牛が笑いながらついてくるカットなんか、友人と爆笑した記憶があります。牛追いと言うが如くで、そんな従順な牛なんかおりませんて。
 本日は休日。早速書店に出かけましょう。

Posted by: 藤岡真 | August 18, 2007 06:58 AM

「すごいのがきたね」「ちょいとこんなもんです」など、ロボット三等兵の言い回しはけっこう覚えてるものですね。ロボットとトッピ博士のコンビは息が長くて、1960年代末まではあちこちのマンガ雑誌で見かけましたから、広い世代の記憶に残ってると思います。

Posted by: 漫棚通信 | August 18, 2007 01:04 PM

ロボット三等兵の漫画を見た覚えは無いのに
小学校低学年のころ、プラモデルを作って
持っていた記憶があります。

Posted by: トロ~ロ | August 19, 2007 10:39 PM

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