ジャバウォッキーとは
ジャバウォッキーは「Jabberwocky」と書きます。キャロルが『鏡の国のアリス』に書いた詩と、テニエルの描いた竜のようなジャバウォックはコチラ。
何が何やらわからない英語ですが、マーチン・ガードナー注釈『鏡の国のアリス』(1980年東京図書、高山宏訳)によりますと、「英国ノンセンス詩の白眉」であり、ジャバウォック=邪馬魚鬼と訳されてます。この詩はキャロルが作ったデタラメ英語からできていますのでわからなくて当然。さらにこの詩、鏡文字で印刷されてましたから、ますますわからない。
この名を冠されたマンガ、久正人『ジャバウォッキー』1巻(amazon、bk1)2巻(amazon、bk1)(2007年講談社、各552円+税)が二巻同時発売。
恐竜好きのかたがたによりますと、直立恐竜モノというジャンルが存在するそうです。時代は19世紀末(?)、恐竜の子孫である直立恐竜と人間が同居する世界。ハードボイルドなヒト型直立恐竜と、イギリス人女性スパイが正義と世界平和のために戦うお話。
絵はブラックアンドホワイトのコントラストをきかせた、フランク・ミラーのようなタッチ。というより、異形のヒーローが活躍することから考えると、マイク・ミニョーラそのものですね。19世紀のヨーロッパを舞台にした伝奇的ストーリーとウンチクは、アラン・ムーア/ケビン・オニール『リーグ・オブ・エクストラ・オーディナリー・ジェントルメン』を思わせます。小説でいうなら、キム・ニューマン『ドラキュラ紀元』シリーズか。
『リーグ・オブ・エクストラ・オーディナリー・ジェントルメン』の黒幕はマイクロフト・ホームズとジェームズ・ボンドのおじいちゃんでしたが、『ジャバウォッキー』の秘密結社のボスは、モンテ・クリスト伯三世。なかなかにかっこいい設定です。
日本マンガは海外作品から多くの影響を受けてきましたが、最近の作品でここまでモロなのはひさしぶり。でも、換骨奪胎はできているかな。西太后が赤ん坊のころの毛沢東を、翼竜を使う暗殺部隊に襲わせるストーリーは、けっこうわくわくします。こういうのはアチラの人では思い浮かぶまい。
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