アメリカンマンガの実力
「英語で!アニメ・マンガ」の2007年2月19日、4月17日で紹介されてた、オリジナル・アメリカンマンガ(←日本マンガタッチで描かれたアメリカ産のコミックスのことね)が日本でも発売されました。
○アヴリル・ラヴィーン/カミラ・デルリコ/ジョシュア・ダイサート『アヴリル・ラヴィーン 5つの願いごと』1巻(2007年ゴマブックス、800円+税、amazon、 bk1)
歌手のアヴリル・ラヴィーンが参加してます。アヴリルと言えば、先日ミュージックステーションに出演して、彼女なんかふっちゃってアタシとつきあいなよ、てな歌を歌ってたおねえちゃんですな。
人気歌手を起用して、このマンガ、アメリカでヒットしたそうですから、興味しんしんで読みました。アヴリルはマンガのキャラクターとして登場してます。まえがきによるとストーリーにも参加してることになってますが、ほんとかな。
左から右へ読み進む左開きの本です。フキダシ内は横書き。中身はオールカラー。どこがアメリカン・マンガかと言いますと、まず登場人物の眼がでかい。内気な少女が主人公。そして、どうもこれ、日本が舞台(らしい)のです。
主人公がハナ、同級生がリサ、マナミ、リョウタ。服装が制服っぽくて、玄関に盆栽らしきものが飾ってあるし、ハナの部屋のゆかは畳のような何かが存在する。日本…だよね。
でも漢字やカナはまったく出てきませんし、主人公は屋内で靴はいてたりしますから、ホントに日本なのかどうか微妙なんですよね。このあたりわざとぼかしてるのか。
ストーリーはこんな感じ。ハナは学校でも家庭でも周囲から孤立している少女。想像の中のアヴリル・ラヴィーンと会話するのが唯一の救い。彼女のもとに見た目かわいいヌイグルミがやってきて、五つの願いをかなえてあげようと。しかし彼は悪魔でした。という、それはそれは古くからある古典的ホラーネタです。だからこそライターの腕が問われるところですが、1巻ではけっこううまくいってるような気がします。この巻の最後のほうでは、ずいぶんとコワくなりそうな予感もしますし。
ただし絵やコマ構成は、日本マンガに慣れた読者にはきびしいです。カラリングでずいぶん救われてます。顔のアップの連続でつなぐ展開も、これがマンガスタイルと考えられてるのかなあ。夢のシーン。「私はたくさんのモンスターに囲まれて」「彼らはグルグルと私の回りを…」というキャプションがあって、そのモンスターをちらっとしか描いてくれないんじゃ、ホラーマンガとして、どうよ。
「英語で!アニメ・マンガ」によりますと、アメリカ発のマンガだがメイン・ターゲットは日本を含むアジアの読者、だそうです。ストーリーに比べて絵がねえ、というこの弱点をアヴリル人気でクリアできるか。少なくとも日本人読者は刺激の強いホラーシーンがないと納得しないのじゃないかな。2巻はどうなるのでしょうか。
完結編2巻の発売は7月中旬。アメリカでも2巻は7月3日発売ですから(オフィシャルサイトはこちら)、ほぼ日米同時発売です。歌手の人気にたよった、ちょっと特殊な例かもしれないですが、これは新しい試みですね。
Comments
なるほど、そうでしたか。となると、アジア各国版を出版するときにキャラにそれぞれの国の名をつける、という戦略かもしれませんね。
Posted by: 漫棚通信 | May 03, 2007 05:53 AM
>どうもこれ、日本が舞台(らしい)のです。
わたしも日本語版しか読んでいないので舞台についてハッキリしたことは言えませんが、日本語版では名前が変更されています。
ブライアン→リョータ
ジェシカ→マナミ
ローズ→リサ
ミスター・ウェストン→松本さん
Posted by: ceena | May 03, 2007 04:02 AM