マンガと映画『300 スリーハンドレッド』
最近テレビでも映画『300 スリーハンドレッド』の予告編が流れるようになりましたが、その原作マンガ、フランク・ミラー/リン・ヴァーリイ/関川哲夫訳『300 スリーハンドレッド』(2007年小学館プロダクション、2800円+税、amazon、bk1)が発売されてます。
舞台は紀元前480年のペルシア戦争。スパルタ軍とペルシア軍の戦いが描かれます。箱入りハードカバー、横長の造本。もともと1998年に五分冊で発行されたときは全ページ見開きで描かれていたものを、一巻本にするとき見開き2ページを1ページとして構成し直したものです。
フランク・ミラーが『シン・シティ』でモノクロの絵を多く描いてたころの作品なので、ベタが多いです。すべてのコマの絵が、ひたすらかっこよくきまってます。リン・ヴァーリイはカラリングとENDPAPER ARTというのを担当。色も渋くてすばらしい。
ただし。実はペルシア戦争というのがわたしにはピンときませんで。ギリシアが西洋文明の祖だとはわかってるんですが、このあたりの歴史に無知なもので題材そのものにふーんと思うだけで、すみません、あんまり興味が持てませんでした。日本人なら古代中国の戦争のほうがなじみ深いですね。
映画『300』のほうは、この原作マンガそっくりにつくられてるらしいので、映画『シン・シティ』と似た感じなのかしら。スタイリッシュな映像かつ残虐アクションが売りのようです。ただしハリウッド資本のビッグ・バジェット映画だからということもあって、イランが強く反発してます。
IRIB(Islamic Republic of Iran Broadcasting)の映画『300』に対する声明(日本語)がコチラ。現在イランとアメリカはきわめて悪い関係にありますから、こういう反応も出てくるでしょう。
確かにフランク・ミラーによるペルシャ王クセルクセスのデザインは、スキンヘッドで半裸、アフリカ系に見える風貌です。全身にキンキラのアクセサリーをつけて、顔中のあちこちにピアスいれまくり。「映画秘宝」2007年7月号によると「その物腰はどう見てもオカマ」と書かれてますから、まあ2500年前のこととはいいながら、怒る人がいるのもごもっともかもしれません。ペルシア軍の服はちょっとヘンだし、ペルシア王親衛隊「不死部隊」はまるでニンジャのよう。
ただ原作マンガのほうだけ見ると、そないにまで言わんでも、という感じではあります。むちゃくちゃ残虐の限りを尽くしてるのはスパルタ軍のほうですし、ちんちんほりだして歩いてるスパルタ人よりペルシア人のほうが賢そうに見えてしまいます。これはわたしが日本人だからかな。ま、このあたりは映画見てみないと何とも言えませんが。
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