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April 29, 2007

おかえりなさいませ

 いやあ、出た出た。吉田秋生『海街diary 1 蝉時雨のやむ頃』(2007年小学館、505円+税、amazonbk1)であります。

 そりゃね、吉田秋生のアクションもの、『BANANA FISH』も『YASHA夜叉』『イヴの眠り』も、一応読んでましたよ。人気があったし世評が高かったのも知ってます。でもねー、実をいうとそれほど感心してたわけじゃありません。ああいうのはほかにも描くひとがいるだろうし、だいたいがわたしゃ男ですからね。非日常的な美少年が主人公だからといって、うれしいわけでもなんでもないし。

 吉田秋生作品は、なんつっても和物につきます。男といわず女といわず、ひとの心の微妙なゆれの表現こそ、いいんだよすごいんだよ読みたいんだよ。

 やーっと『BANANA FISH』が終わって、おー『ラヴァーズ・キス』だと思ってたら、すぐ『YASHA夜叉』とか始めちゃうし、ちぇっちぇっ。これがもう10年前のことであります。

 で、10年ぶりの和物が今回発売されました。鎌倉の一軒家に住む20代三姉妹のところに、腹ちがいの妹、中学生が同居し始めるお話。展開されるエピソードは重いものばかりですが、基本的にコメディ・タッチ。おちゃらけとシリアスの緩急が名人クラスですな。

 登場人物はみんな本心を見せません。そうそう、おとなも子どもも、みんな何かしら心に秘めて生きているのですよ。でもそれはなんとなくにじみ出てしまうもの。それをすくいとるのがストーリーであり、表現です。吉田秋生は、ここがあいかわらずうまいっ。

 以前から絵柄がころころ変わるひとですが、今回、ずいぶん眼が大きくなってみんな丸顔、今風になりました。『ラヴァーズ・キス』読み直してたら、これ誰やねん、というくらい顔長の登場人物ばっかりで、これも10年前は今風だったのかな。

 いずれにしても、この路線で、どうかひとつ描き続けていただきたい。おかえりなさいであります。

 ひとつだけ。長女のさち姉、ベテランの看護師さんで寝言でも後輩を叱っておりますが、救急処置でアシクロビルの静注はしませんので、そんなにせかしちゃいけませんよ。

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Comments

今日、買ってすぐ喫茶店で最初の1篇を読みました。
会話が相変わらずうまい!
地味な設定ですが、結構複雑な問題も含んでいる。

でも姉妹のやりとりのかで酔っ払いギャグ。
そして58ページのサイレント場面!

引っ越してくる<妹>。
心やさしい3人と、なかなか読ませてくれます。
ベテランの味。さすがでした。

鎌倉の風景を愛し、忘れられなかったダメな父というのもにくい。

Posted by: 長谷邦夫 | May 01, 2007 09:57 PM

『佐助の狐』の中の<大吟醸熊うっちゃり>には
思わず吹き出しました。

Posted by: 長谷邦夫 | May 02, 2007 06:39 PM

>熊うっちゃり
ホントに倉敷の焼酎にあるそうです。焼酎ですから「大吟醸」じゃないのがオシイ。
http://www.cadbox.co.jp/sekiya/kuramoto2/okayama-suigun-syuzo.asp?

↑とか書いてたら、米焼酎なら大吟醸というのもあり得るそうです。ほんとにこれなのかしら。

Posted by: 漫棚通信 | May 02, 2007 08:19 PM

おやおや、では秋生さん本当に飲んでるのかも!

Posted by: 長谷邦夫 | May 03, 2007 01:14 AM

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