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February 06, 2007

初出を書けっ!

 今でこそマンガ単行本には雑誌初出の記載があるのがふつうになりましたが、これがされるには相当な時間がかかりました。

 初出の記載は書誌的記述の基本だと思うのですが、マンガはしょせん子ども向け。マンガの文化的側面なんか、出版社自身がどうでもいいと考えていたのがよくわかります。かつて新書版マンガ単行本には、例外を除いて雑誌初出の記載なんかないのがアタリマエ。雑誌の名前だけ書いてあったり、発表の年月だけ書いてあったりすればいいほうでした。

 初出がふつうに書かれるようになったのは、少女マンガのほうが早かった。集英社マーガレットコミックスは1960年代から存在しましたが、たしか最初はカバーがなかったのかな、そのころは雑誌初出の記載はありませんでした。それが1973年ごろになると、カバーソデか本文か、どちらかに初出の記載がなされるようになりました。「ベルばら」の途中ぐらいからでしょうか。

 1974年、小学館フラワー・コミックス、萩尾望都の「ポーの一族」第1巻が発売されたとき、かなりきちんと初出が記載されてました。でもこれは、「ポーの一族」が短編扱いだったから。長編の「トーマの心臓」になりますと、1巻には「週刊少女コミック昭和49年5月5日号第19号より連さい」、最終3巻でも「週刊少女コミック昭和49年5月5日号第19号より連さい」と同じことが書いてあって、こらこら、手を抜くんじゃない。

 これは最近までやられてまして、吉田秋生「BANANA FISH」最終19巻は1994年発売でしたが、これにも「1985年別冊少女コミック5月号より連載」とありまして、これじゃ何も書いてないのと同じだっ。これが修正されたのは、吉田秋生の次作「YASHA」の2巻(1997年発売)になってからであります。この巻から、やっと各話が何年何月号に載ったかが記載されるようになりました。

 でもそれまでのフラワーコミックスでも、初出があったり無かったり。森脇真末味の本とか書いてなかったよなあ、どうしてなんでしょ。樹村みのり「ポケットの中の季節」とか見ると、小学館雑誌掲載作品はちゃんと初出が書いてあるのに、それ以外は「○年度○月作品」とかね。マジメにやってくれよ。

 白泉社花とゆめコミックスに初出が記載されるようになるのは、1977年ごろで、けっこう遅いです。

 男の子マンガはかなり遅れます。小学館少年サンデーコミックスはわりと早くて、雑誌初出が書かれるようになったのは1975年です。集英社ジャンプコミックスがカバーソデに初出を書き出したのはその10年後、1985年から。少年向けの講談社コミックスがいつから初出を書き出したのか、ごめんなさい、わたしマガジン派じゃなかったものでよくわかりませんが、さらに遅かったのじゃないかな。

 青年誌はもっとダメダメでして、A5判の青年向け講談社コミックス、ヤンマガKCなどが初出を書き始めたのが1988年。小学館のA5判ビッグコミックスあたりになると、なんと1994年まで初出が書かれていませんでした。ほんとにもう。

 いちばんのあかんたれが秋田書店でして、今でも初出を書かないのデフォルトです。たのむから書いてくれよー。あとから調べるとき、いろいろとたいへんなんだよー。

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Comments

この間デスノートを纏めて読んで「いつの連載だ?」とずっと疑問に思ってましたが、今みてみたらソデに隠れるように載ってるんですね。確かに初出誌記述はあるべきです。私が時代に置いて行かれないためにも。(笑)

白土三平作品の場合作品末に脱稿日が入っているのであまり気になっていませんでした。早速、白土三平の単行本で初出誌記述のあるものを調べてみましたら普通の単行本にはやはり無し。でも1969年の現代漫画9「白土三平集」(筑摩書房)など作家全集モノ4つにはありました。1969-71年の「白土三平選集」全16巻(秋田書店)でも始めのほうに出版されたものには記述がありました。途中でやる気が無くなったのかな…。最近では1999年のビッグコミックスワイド版「カムイ伝第二部」にありましたが、その後の「カムイ伝全集」では消去みたい。。

「マガメガ」サイトの「創刊からの掲載作品一覧」みたいなのもありますが、Wikipedia的に非営利の漫画初出データベース投稿型サイトを誰かが作ってくれたら楽ですね。それが世の中に必要か否かは別として。(笑)

話が変わりますが、「遠くから遠くまで」の件で白土先生に確認された記述が「カムイ伝全集」第二部第一巻巻末に入っていますよ。

Posted by: くもり | February 07, 2007 02:25 AM

こんにちは!おっしゃるとおりです。なぜ書かないのかというとやはり雑誌は読み捨て、単行本の出る頃には売られてないのだから、何の必要がある?ということなんでしょうか。
集英社はカバーにわりとちゃんと書かれてて良いのですが、小学館は基準がわかりませんでした。
萩尾さんのでも同時収録の作品には初出がなかったり、「○年○月」って執筆時期が入ってるものがあったりいろいろです。
「少女まんがの系譜」のリストや、「現代漫画博物館」では連載作品の終了号まで載っていますが、「最終回」を調べるのはかなか大変だったようです。

Posted by: moyo | February 07, 2007 08:01 AM

初出で笑ったのは神聖モテモテ王国ですね。
最後の方は作者が壊れてしまったので、
週刊なのにかなり飛び飛びに連載されていて
5巻あたりはもの凄い表記になってます。
#6巻は諦められました

Posted by: any | February 07, 2007 09:57 AM

コメントありがとうございます。

>「カムイ伝全集」第二部第一巻
読みました読みました。文脈からは「遠くから」は映画をきっかけに流行したというふうに読めます。白土氏は、はっきりゴーギャンだと言ってますねー。

>最終回
たしかにこれはたいへんそう。最終回ごろは単行本に収録されないこともありますから。

>神聖モテモテ王国
これもどれを最終回にするかむずかしい。まだ終わってないのかな。

Posted by: 漫棚通信 | February 07, 2007 03:39 PM

『ポーの一族』が私の買ったコミック一号だったので、
そういうものかと思っていました。

小学館は割となんでも早いのでしょうか、
この間買ったサンデーコミックは
連載担当編集者、単行本担当編集者の名が
入っていましたが、これも全部統一されているのかな?
私の買ったのは『ブリザード・アクセル』です。

Posted by: ありのみ | February 07, 2007 08:53 PM

あ、ほんとだ。小学館はA5判単行本も新書版少年サンデーコミックスも新書版フラワーコミックスも、2002年4月から、連載担当、単行本編集責任、単行本編集の編集者を記載してますね。

Posted by: 漫棚通信 | February 08, 2007 09:32 PM

>神聖モテモテ王国
なんと新装の上、最終巻が出ました。
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784091216809
帯には「コミックス未収録分もすべて完全網羅」とありますし、最終ページのノドにはしっかり「完」とある。
いや、内容の方は全然終わっちゃいないんですが(笑)。

ちなみに各話初出は1本を除き記述がありません。残念。

Posted by: かくた | October 01, 2009 11:32 PM

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