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January 09, 2007

松本かつぢのカワイイ

 最近買った本のなかで、これはいい本だなあとつくづく思ったのが、弥生美術館 内田静枝編「松本かつぢ 昭和の可愛い!をつくったイラストレーター」であります。

 松本かつぢ(1904~1986)は、昭和初期から少女雑誌の挿絵画家として活躍。のちに少女マンガの先駆的作品「くるくるクルミちゃん」でも知られるようになります。日本の叙情画、少女画といえば、竹久夢二、高畠華宵、蕗谷虹児、中原淳一、加藤まさを、あたりが挙げられますが、松本かつぢもその代表的作家のひとり。

 この本は、昨年、弥生美術館で開催された企画展をきっかけに発行されたものです。松本自身のエッセイや弟子にあたる上田トシコらの文章もあり、資料性も高く読んでおもしろい本でもありますが、なんといっても図版が美しい。

 八頭身の少女たちを描いた叙情画は、同時代の他の作家に比べてモダン、ポップでとても明るい。自身のサインを含めたレタリングがまたすばらしい。さらに、マンガタッチの子どもの絵が、まさにこの本のタイトルにもあるように「可愛い!」のであります。

 この本の表紙カバーに描かれている絵が、「くるくるクルミちゃん」です(ええーい、アマゾンの画像にリンクしちゃえ)。これは昭和10年代に描かれたもの。広い額、ぱっちりした目は頭部の上下二等分線よりさらに下にあり、思いっきり左右に離れて描かれます。眉は目よりかなり上にあり、鼻は一本の線。手足は先端になるほど太く、アトムやウランみたいですね。この絵の子羊の目はパイカットで、ディズニーの影響なのでしょう。

 彼の絵はまさに日本のカワイイの原点。のちの東映動画のキャラクターがこんな感じ。一時期の高野文子もこういう絵を描いてたっけ。

 わたしの松本かつぢ体験は、「講談社の絵本」やグッズに描かれたキャラクターだったと思いますが、「松本かつぢ的なもの」は、あちこちで見かけていたように思います。

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