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January 13, 2007

物語の終わらせかた

 物語といってもノンフィクションまで含めてしまうとそれこそ無限に存在するのでしょうが、これまで紙媒体に記録された創作に限っても、世界じゅうで何千万という物語があったはず。

 それらの物語を人間の一生になぞらえてみると、幸せな一生を送ったものもあれば、誰にも顧みられずに不幸な転帰となったものもあるでしょう。物語の終わりかたは、こんな感じに分類できます。


(1)お話がきっちり終わって、もう書かれなくなる。「あしたのジョー」とか「アキラ」とか。
(2)きっちり終わってないけど、書かれなくなる。「幻魔大戦」ってどうなったんだっけ。「カムイ伝」第三部はほんとに書かれるのか。
(3)きっちり終わったけど、続編やら番外編やらが書かれていく。「巨人の星」とか「子連れ狼」とか。
(4)いつまでも終わらない、あるいは完結させるつもりがない。「ゴルゴ」とか「こち亀」とか。


 多くのお話が(1)に属します。短編のほとんどはこれでしょう。

 ジャンプの打ち切り作品とかは(2)になりますか。「戦いはまだまだ続く」 死屍累々ですな。

 (3)になるのは大ヒット作品です。お話は終わってたはずなのに、続編などが書かれてしまう。物語よりもキャラクターの人気を再利用するわけです。

 シリーズキャラクターが活躍する作品は(4)ですね。ホームズ、ルパン、007。

 とくに(3)(4)はキャラクターが人気にならなきゃありえないのですから、幸せな物語やキャラクターであるといえます。選ばれたほんの一握りの作品。作者以外のファンが二次創作に参加しやすいのも(3)(4)じゃないかしら。

 人気のあるキャラクターは作者より長生きしたりします。ドイルやルブランが死んでも、ホームズやルパンは別人の手で繰り返しパロディになったりパスティーシュになったりして新作が出現します。著作権保護期間をこえて作者より長生きするようなキャラクターは、すでに作者のものじゃなくて、堂々とみんなのものでしょう。人類の共有財産と言ってもいい。

 で、作者は亡くなってるけど、著作権保護期間がまだ残ってる作品やキャラクター。ここが微妙でして、著作権管理者が新作を別人に依頼して書かせる、なんてことがときどきあります。「風と共に去りぬ」の続編とか、「ピーター・パン」の続編とか。公式の許可を得た続編のデキがよいかどうかはまた別の話です。アングラでも「ドラえもん最終回」みたいな傑作もありますし。

 石ノ森章太郎/小野寺丈「2012 009 conclusion GOD’S WAR サイボーグ009完結編 I first」という本が発売されてます。石ノ森章太郎が残した構想をもとに、実子の小野寺丈が小説化した作品です。全三巻になる予定だそうです。

 009は基本的にはシリーズキャラクターなので上記(4)ですが、「天使編」「神々との闘い編」という未完作品をかかえてましたから、(2)でもあります。今回の作品は内容よりもその創作の経緯が興味深い。

 作品のもとになっているのは、小野寺丈が石ノ森章太郎から聞いたあらすじ、石ノ森が一部小説の形で完成させていた部分、書きためた膨大なメモ。これを解読して父の未完作品を息子が補完して完成させる。これはめずらしい。

 病室で「俺に何かあったら、完成させてくれよ」と息子に伝える石ノ森のエピソードは感動的ですが、なんせ小説を書くのが初めての著者。読み始める前に期待より不安が先に立ちます。怖いもの見たさ、みたいな感じで読んでみましたが、この巻ではまだまだ物語の本筋は現れてきていません。

 おそるべしなのは、おそらく意識的にしているのだと思いますが、とくに00ナンバーたちについて、人物の外見描写が「まったく」ありません。すべて読者にまかせっきり。マンガを頭に思い浮かべるように、ということなのでしょう。その意味では小説として単独で成立している作品ではありません。映画やマンガのノヴェライズにうといのですが、こういうものなんですか?

 あと、こんな描写も。

 神皇とやらも驚き、あせったのか、慌てて両手を上げ、鈎爪状に指先を折ると、その先の爪が発行し、イナズマを放った。
 神の武器!(略)俺の足の下で、ギザギザの光の帯が走っていた。

 この部分の第一稿は石ノ森によるものだそうですが、「ギザギザの光の帯」とは、なんとマンガ的であることよ。

 さて、今回の小説で、009は大団円を迎えるのでしょうか。それとも単にいちエピソードをかたづけるだけなのか。不安を感じながら完結を待ってみます。

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Comments

009の小説は、1、2巻が、各人のエピソードで、3巻が、本編なので(予定)、とても天使編や神々との闘い編が完結するとは思えません。石ノ森は、未完で完結の永井豪&ダイナミックプロの師匠なのだから、ムリに終わらせなくてもいいと思うが。また、丈氏の筆力にも?1巻を読んだ限りでは、009を完結に持って行くだけの能力はないと思いました。石ノ森の原案を、だれかSF作家に頼めばよかったのではないかな。

Posted by: momotarou | January 15, 2007 03:04 PM

「日本沈没第二部」もちょっとアレでした。オフィシャルな続編よりアングラで書かれる続編のほうがいいものができたりして。ゴジラやスーパーマンみたいに、ここからここまでの続編はなかったことにする、という奥の手もあることですし。

Posted by: 漫棚通信 | January 15, 2007 09:41 PM

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