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December 30, 2006

ことしも一年

 いろいろありましたがもうすぐ終わり。毎年12月は他の月よりマンガが多く出版されてるような気がするのですが、これって気のせい?

 本年最後のお買い物は、これまで買いのがしてたのも含めて、こんな感じ。

■みなもと太郎「風雲児たち 幕末編」10巻
 着実に年2回刊ペース。

■小山ゆう「あずみ」40巻
 買うのやめるかどうしようか、迷いながらもう40巻。

■赤星たみこ「美女の壷」
■石塚真一「岳」3巻
■ 阿部川 キネコ「辣韮の皮 萌えろ!杜の宮高校漫画研究部」5巻
■古谷実「わにとかげぎす」2巻
■「私の結婚式!」

■コミックSPA!EXTRA
 西原理恵子の「ハチクロ」ならぬ「パチクロ」掲載。

■鈴木マサカズ「無頼侍」3巻
 完結したらしいです。これから読みます。

■松森正/ひじかた憂峰「湯けむりスナイパー」13巻
 なんでまた今ごろこんな中途半端な巻を買ってるかといいますと、数か月に一冊ずつ、ぽつりぽつりと買いそろえてるからであります。のんびり読むマンガ。

■水木しげる「河童の三平 貸本版」下巻
 昨年は平田弘史の年でしたが、今年は水木しげるの年でした。というか、ここ数年、水木先生はずっと快進撃中です。

■「ユリイカ」2007年1月号 特集・松本大洋
 松本大洋×高野文子の対談、マイケル・アリアス×五十嵐大介の対談あります。


 今年もみなさまにいろいろとおもしろいマンガを教えていただきました。ありがとうございます。よいお年を。

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December 27, 2006

のだめドラマフランス編を妄想する

 クリスマスの次はお正月。ツリーをしまってお正月のお飾りに取りかえ。しめ飾りに稲穂のついたタイプを選びますと、正月がくる前にスズメに全部食べられてしまいますのでご注意。

 成功裏に終わったテレビドラマ版「のだめ」ですが、かなり盛り上がりましたね。ウチの中学生はまだピアノ習ってますけど、先生がのだめに相当ハマってるそうです。今たどたどしく練習してるのがベトベンのピアノソナタ「悲愴」の第三楽章。のだめが演奏してたのが第二楽章で、コッチのほうが有名らしい。

 のだめドラマの続編、フランス編はあるかしら? 問題がフランスロケかなあ。実現したら豪華ですけど、それなりにお金かかるでしょうし、もし作るとするなら、テレビかな映画かな。

 日本語、フランス語、英語が乱れ飛ぶ作品ですから、脚本がちょっとむずかしい。むかしの日本映画みたいに、登場人物のことばを全部日本語にフキカエってのもどうかと思うし、字幕が必要か。こう考えると、外国を舞台にするなら、マンガのほうが断然有利ですね。

 最大の問題は、シュトレーゼマン役の竹中直人。あのつけ鼻のオッサンが、西洋人の登場人物が日本人より多い作品内で、ドイツ人に見えるかどうか。いくらつけ鼻が日本の赤毛物の伝統とはいえ、現代でこれはちょっとなあ。でもそこをムリヤリやってくれるとかなり笑えるモノができるかもしれませんが、外国人が見たら怒るかもしんない。

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December 24, 2006

メリー・クリスマス

 本日は年賀状を書いたり、同居人がクリスマスケーキを作るのをながめてたり、ぼーっとしておったのですが、こないだからわが家でウケておるのが、PICTAPSというサイト。自分の描いたキャラが踊る!  AdobeがやってるMotion Awardの、本年度グランプリ。

 わたしの描いた某キャラクターがこれ↓。ブログにもはれますが、大きな画面で。

http://roxik.com/pictaps/?pid=a35762

 ちなみにン十年ぶりにこのキャラ描きましたけど、けっこうソラで描けるものです。

 制作者の城戸雅行がつくられている、コチラの「TOY1. MISSING LINK」というものおもしろいです。奇妙でちょっと残酷なゲームかと思ってたら、ちゃんとストーリーがありました。

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December 21, 2006

男のクリスマス

 NHKの15分番組「あの歌がきこえる」というのがありまして、視聴者からナツメロにまつわるエピソードを募集して、それを原作にプロのマンガ家がカラーでマンガを描く。これをカメラで撮影して、音楽、ナレーション、セリフをかぶせて、物語として構成するという(ヘンな)番組。これを相変わらずときどき見ておるのですが、昨日のはこれまでのうち最高傑作、島本和彦「瞳はダイアモンド」でありました。

 ときは1983年。ブサイクな男子大学生と美人の彼女。

「クリスマスには‥ふたりっきりでレストラン……そう…海の見えるレストランで食事がしたいな」
「!!」「か…考えとくね」

 でも彼はそんなレストランに心当たりがない。そこへ先輩からの情報がっ。

「それならザヨコのスカイラウンジの窓ぎわだ!!」
「ザヨコって何すか先輩!?」
「ホテル・ザ・ヨコハマだ!」
「すぐに電話します!」

 彼はさっそく電話に走ります。

「スカイラウンジ ザヨコ!」「ザヨコ!」「スカイラウンジ窓ぎわ!」
「ザヨコですか!?」「スカイラウンジの窓ぎわを!」
「ひとつ空いてる!?」

 しかし重要な問題が。彼の顔色は(物理的に)青くなる。

「そんな値段…」
「い いや‥はい 全然大丈夫ですっ!」「予約をお願いします」

 命がけの値段に彼はバイトにはげみます。彼のバイト先は。

「零下という極寒の倉庫!」「その中で輸送されてくる新巻鮭の重さを量る!!」
「ああ」「まつげが凍る!」「鼻水も凍る!」「手はかじかみ」「足先の感覚はなくなる!」
「しかし全然辛くないぞ」「何だ…この盛り上がる気持ちは?」
「むしろ心があたたかい!」「俺は命がけで 今 彼女の一瞬の笑顔のためにこの過酷な状況に身をおいているのだ!!」

 ああ、燃える。ところがある日、彼は彼女から一通の手紙を手渡される。

“ヒデキへ 何も言わないで別れてください。バイバイ。ヨーコ。”

 なにーっ。そして12月24日。彼はその日も冷凍倉庫でバイトをしています。

「凍傷になったって凍え死んだってかまうもんか…」「どうせ俺はもうフラれたんだ…もうやけっぱちだ!」
「いかん‥‥泣きそうになってきた!」「あんな女のために涙なんか流してたまるか!!」

 夜の11時。そこへラジオから流れる松田聖子の「瞳はダイアモンド」。

♪愛してたって言わないで……
♪映画色の街 美しい日々が 切れ切れに映る いつ過去形に変わったの?……
♪Ah 泣かないで MEMORIES 私はもっと強いはずよ
♪でもあふれて止まらぬ 涙はダイアモンド

 彼の目からは涙があふれ、それがつぎつぎと凍ってゆきます。ダイアモンドのように……

 いやー、松本隆の詞が泣ける。ウチにある松田聖子「瞳はダイアモンド」のCD(←そんなものを持っているのですね)を繰り返し聞いてしまいました。

 島本和彦ブログによりますと、島本和彦自身がエピソードを選び、構成もしているようです。実話のおもしろさ、音楽、マンガ、さらにセリフ、ナレーションとすべてがそろった奇跡の傑作でありました。再放送もしてるみたいなので、興味がおありのかたは、どうぞ。

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December 20, 2006

「竹光侍」の絵

 ひとりで描くとドライに行っちゃいそうになる松本大洋が、原作つきで人間関係や感情をしっとり描いておりますところの、松本大洋/永福一成「竹光侍」1巻。これはすごい。何がすごいといって、やっぱ絵がすごい。

 手のアップだけでヒトコマもたせる画力はあいかわらずです。しかも今回、時代劇であります。

 昔の日本人の着物がちゃんとしてるのが心地よい。てなこと書くのも、最近の時代劇の衣装がね、ちょっとあまりといえばあまりだから。時代劇マンガ誌のなかでもオヤジ作家の作品は比較的安心できるのですが、一部のかた、あーたハカマが袴に見えんし、おまえらみんな七五三かっ、というような着付けも見かけます。さらにはもはや着物とは考えられないモノを着てるのもあって、これは日本じゃないどこか架空の国のファンタジーだよ。

 しかしそこはそれ、さすが松本大洋。袴を腰ではいております。登場人物はなで肩で、バランスの崩れた顔や手足をしてても、ちゃんと江戸人になっている。通常のイラストと違うのは、とんでもないアングルからの絵をかるがると描いてしまうところ。これはマンガならでは。

 今回、時代劇らしく花鳥風月や家屋を描き分けてます。アクションも、23ページ、刀を振り下ろすとき頬がぷっとふくれる描写を見よ。いいなあ。

 ただひとつ、刀の握り方がちょっと、らしくないところがあって、これは惜しかった。

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December 17, 2006

年末大掃除

 お寒うございます。きょうは久しぶりに書庫の整理をしまして、直接ゆかに積み上げてある本が何とかならんかと。ただしアッチのものをコッチに移すだけではどないもならんことは百も承知。こないだアニメのケロロでも苦心惨憺してましたが(「ケロロ ある男の戦い であります」の巻)、たとえ本棚をどれだけたくさん設置したとしても、スペースと物のバランスがくずれていてはどもならんのですよ。ケロロはいつかつくるかもしれないガンプラ。わたしはいつか読み返すかもしれない本。

 今回は、捨てる物は捨てようと。というわけで、雑誌中心に捨てることにしまして、けっこうかたづけましたよ。竹書房版スターログなんて読み返すことないだろうし。わたしSE/30以来のマックユーザーなのですが、なんでまた過去のハードとかソフトの説明書をいっぱい残してあるのか。

 ウチの書庫は10畳ありまして、壁に沿って天井に突っ張るタイプの本棚をぐるり四方に設置。部屋の中央部にも別の本棚。でも失敗したなあ。書庫をつくったときには(5年前)、背表紙を見せる収納、とか考えていたのですが、書庫に求められる最大のものは収納力。背表紙なんかどうでもよくて、前後二段の収納を基本にすべきでした。当初の作家アイウエオ順に整理、なんて計画はどこかにいってしまいましたよー。

 けっこう整理できて、今はちなみにこんな感じ(ゆかはまだ壮絶なので写しません)。Syoko002_1Syoko001_1

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December 15, 2006

ゴージャス!「マキの口笛」

 牧美也子「マキの口笛」が、小学館クリエイティブより復刻されています。ぶ厚いです、重いです、マクラのようです。手に持って読めません。

 1960年から1963年まで「りぼん」連載。これまでの単行本化は、虫コミックス版も講談社文庫版もトレスをもとにしたものだったそうですので、この有名な作品にして初のちゃんとした単行本となります。ただし、「りぼん」ですからカラーページや二色ページも多いのですが、完全復刻版とは言いながらそこはモノクロ。さすがにほとんどモノクロのこの本でさえ税別3800円です、お値段を考えるとしようがないでしょう。そのかわりカバー裏に、カラーでトビラページ一覧が掲載されてます。

 わたし、この作品初めて読んだのですが、いやー、おもしろいわ。バレエ! 白血病! 出生の秘密! とかいろいろあるのですが、いちばんびっくりしたのが、金持ち!

 1960年といえば、まだまだしょぼい時代でありまして、わたしのイメージとしてはまさに「貸本版墓場鬼太郎」の世界、青空と貧乏が同居してる感じ。

 その同時期、少女マンガの世界ではオシャレな夢いっぱいの生活が描かれていたようです。こないだ復刻された高橋真琴のマンガでも、少女の「自分の部屋」には机とベッド、ポータブルレコードプレーヤーとラジオがあるじゃないですか。「マキの口笛」ではもっとすごくて、なんせ主人公のマキ(♀、小学校高学年)は日本一の女優の娘にして由緒正しい旧家の孫。ただし本人はそれを知らないという設定です。

 広く美しい庭を持つ一軒家に、姉とふたりだけで住むマキの食事は洋食ばっか。お箸を使うことはありません。朝もパンとかサンドイッチと紅茶。なんつっても、誕生日ごとに真珠を一個買ってもらってるてのがスゴイ。テレビは洋室にあったり和室にあったりしてますから、2台以上は持ってるらしい。皇太子ご成婚で急速にテレビ普及が進んだのは1959年です。

 彼女は将来のプリマですから、当然バレエの練習に通ってます。でまたマキの毎日着てる普段着が、小学生のくせにちゃんとオシャレなんだよ。革靴なんか履いちゃってるし。

 友人は銀行支店長の娘で、その家には暖炉があって猟銃が壁に掛けてある。レジャーは友達をさそってスキー。マキの母親は自宅にバレエの個人用練習場を持っていて、マキに個人レッスンをしてくれる。そこで音楽を流すために使ってるのが、おお、オープンリールのテープレコーダー!

 国立科学博物館のサイトで調べてみると、ソニーのでっかい「G型テープコーダGT-3」が1950年。トランジスタ使用でコンパクトな「テープレコーダーTC-777」の発売が1961年で85000円。ちなみにマキのお姉さんが銀行でもらってる月給が13000円(牧美也子もかつて銀行で働いていたそうです)。

 だいたいがマキのパパはパリで事故死してるし、金髪のいとこがフランスからやってくるし、マキのお姉さんは結婚してドイツからニューヨーク行っちゃうし、ママもローマの映画祭に行ってるし、まだ海外渡航が制限されていた時代にして、絢爛豪華、華麗な生活であります。よくぞここまで貧乏を完全に拒絶したものです。どう考えても、すべての読者の上を行く生活レベル。

 実を言いますと、当時のマンガは、ビンボと切っても切れぬ関係、上流階級を描いてもビンボがにじみ出るものと思っておりました。少女マンガでも、とくに男性作家作品はそういうにおいを持ってたし。これが解消されたのは、1974年の一条ゆかり「デザイナー」あたりかな、と考えておったのですが、いやいやそんなことはなくて、水野英子や牧美也子は、とっくに貧乏とおさらばしてたのね。日本がまだ貧しかった時代、みんなの夢を一手に引き受けていたのです。とくに「マキの口笛」は舞台が日本。金持ち生活描写が楽しゅうございました。

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December 13, 2006

「少年忍者部隊月光」のチーム編成

 以前にヒーロー・チームの編成について書いたとき()、わたしは良いチームの条件を以下のように考えていました。

1)人数があまり多くなくて、それぞれのキャラが立っている。
2)女性を含む。
3)子どもを含む。
4)チーム内に対立がある。

 これを満たす理想のチームと考えられるのが「科学忍者隊ガッチャマン」。5人編成で、(1)主人公、(2)ライバル、(3)女性、(4)力持ち、(5)子ども、がそろっています。この原型となったのが、テレビドラマ版「忍者部隊月光」(1964年〜1966年)でした。

 そのさらに原型となる原作版マンガ、吉田竜夫「少年忍者部隊月光」が、マンガショップから全4巻で復刻されています。これはうれしい。これでやっと、マンガ版「月光」の全貌を知ることができましたよ。

 「少年忍者部隊月光」は「週刊少年キング」1963年1号から1965年10号まで連載。テレビドラマ版は現代を舞台で敵が秘密結社や国際ギャング団だったのに比べ、マンガ版は第二次大戦中のお話。少年忍者部隊は中野学校卒業生で編成された、スパイ集団であります。敵はアメリカ軍やイギリス軍、さらに中国の妖術師。舞台も太平洋からインド、中国、ドイツ、イギリス、果てはアフリカまで世界じゅう。

 ですから、テレビの設定がなにやらファンタジーめいていたのに対し(なんで現代のスパイがヘルメットに日本刀を背負って、『拳銃は最後の武器だ』なんて言うのか?)、マンガのほうは言ってみれば戦記マンガのバリエーション。忍者たちもミッドウェーやソロモン海戦に参加しています。

 忍者アクションは、先行していた白土三平作品や「伊賀の影丸」にかなり影響受けてます。でも、いちばん感心したのはこの絵。いやー、すごいわ。こんなアングルで描けるひと、めったにいないでしょ。吉田竜夫うまいなあ。

 さて、チーム編成のお話。少年忍者部隊は最初8人編成でした。

 主人公・月光、美形の月影、顔が四角くて力持ちタイプの月形。ここまでがメインの3人で、あと丸顔が3人とやせたのがひとり、それぞれの名は、名月・満月・月の輪と三日月。

 もひとり、月蝕というザンバラ髪のメンバーがいるのですが、これが最初登場してたときは汚いつくりでちょっと不気味でコワイ顔。どう考えても男性なのですが、なんと連載6回目あたりで、突然、美少女という設定に変更されてしまいました。紅一点メンバーの登場です。

「ほっほほほほ」「おっ!! へんなわらいかた…」「月蝕は少女だったんだな!!」「戦闘がつづいていたのでわすれていたよ」 こらこら。

 以後、メンバーが戦死してゆきます。キャラの立ってない連中から。まず、月の輪と満月。このふたり、連続して死んでますので、どうも整理されたっぽい。そしてしばらくしてから三日月も。このあたり、「ワイルド7」メンバーの死となにやら似てますねえ。

 三日月が死んだあとの月蝕のセリフ。「わたしのために 身がわりになって死んでいった 三日月……」「いまから…… 月蝕の名を…… 三日月にかえることにしたわ」

 この時点ですでにテレビドラマ版「忍者部隊月光」が始まっていましたが、その紅一点キャラの名は三日月。というわけで、このマンガ版三日月の死と月蝕の名前変更も、テレビと整合させるためなのでしょう。

 その後、月の輪の弟の少年忍者が新しくメンバーに加わります。彼も兄同様「月の輪」と呼ばれていましたが、しばらくすると「一人前の忍者じゃない」という理由で、「半月」というあだ名をつけられてしまいます。これも、テレビに登場する少年忍者の名が半月だからでした。

 これでマンガ版忍者部隊の編成の完成。メインの3人に、紅一点、子どもひとり。丸顔はひとりに整理されて、合計6人となりました。

 連載のはじめよりかなり進歩しましたが、やはりキャラの立ちぐあいがもうひとつなのと、チーム内対立がない。

 先行作品、手塚治虫「ナンバー7」(1961年〜1963年、「日の丸」連載)では、途中から佐々木小次郎という強烈なチーム内ライバルが登場して、さすが手塚なのですが、やっぱその他のメンバーの影が薄い。1964年からの石森章太郎「サイボーグ009」は、それぞれのキャラクターの描き込みがこれがまたすごく細かくて、キャラ立ちまくりです。でも9人は多すぎた。

 こののち、1966年の「ウルトラマン」科特隊チーム、1967年の石森章太郎/平井和正「幻魔大戦」チームを経て、1972年「科学忍者隊ガッチャマン」で、ヒーロー・チーム編成は一応の完成を見ることになります。

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December 10, 2006

ベストテンのシーズン

 年末に宝島社(かつてはJICC出版局)が出してる「このミステリーがすごい!」も、最初の1988年末の発売ぶんからずっと買ってますが(おっと、1992年版だけ買いのがしてる)、1992年版からはマンガ家が表紙を描くのが恒例になってました。

1992:泉昌之、1993:高野文子、1994:坂田靖子、1995:いしいひさいち、1996:喜国雅彦、1997:みうらじゅん、1998:佐々木倫子、1999:唐沢なをき、2000:森下裕美、2001:とり・みき、2002:細野不二彦、2003:山下和美、2004:おおひなたごう、2005:山本英夫、2006:古屋兎丸

 どれもアイデアにあふれた絵で、今年は誰かなー、と毎年楽しみにしてたのですが、2007年版はおしゃれなイラストになっちゃってて、ちょっとがっかり。アンチ週刊文春ベストテンとして始まった「このミス」も曲がり角ということでしょうか。

 で、同じく宝島社が出してる「このマンガがすごい! 2007オトコ版」と「2007オンナ版」買いました。コチラの本はもともと何かのアンチとして始まったわけではないので、方向性がもうひとつはっきりしませんが、こういう企画は知らないマンガを教えてくれるので、たいへんありがたいです。いろいろと紹介されてると、アレもコレも読んでみようと思いますものね。それにお祭り企画として楽しいですし。

 今、勘定してみると、「2007オトコ版」のトップ52作品のうち、自分が持ってるのが34作。昨年が58作品中33作だから、あんまり変わりません。オンナ版は持ってるのが少なくて、2007年は15/52作、去年が17/58作。でもねー、分類がアレですからこれくらいになってますけど、わたし純粋少女マンガには弱くて。宝島社の分類では、西原理恵子とか安彦麻理絵とかはオンナ版ですからね。去年なんか、岡野玲子「陰陽師」もマルジャン・サトラピ「ペルセポリス」もジョアン・スファール「プチバンピ」も全部オンナ版。もともと男女二分冊には無理がありますからしょうがないけど。

 マンガ作品からベストテンを選出するとき大きな問題は、日本の長編マンガってのは一年ぐらいじゃ完結しない、という点であります。オトコ版ベスト20のうち、2006年と2007年のダブり作品は5作。オンナ版ベスト20では、なんと9作ダブりです。今年もハチクロがベストワンでした。

 このあたりが一年ごとに必ず全作品が入れかわる、映画やミステリ小説のベストテンと違って悩ましいところ。この先ずっと、NANAとのだめと大奥が上位独占したらおもしろくないしね。

 さて、わたし自身の今年のベストは。うーん、こんなところでどうでしょう。

1)小畑健/大場つぐみ「DEATH NOTE」
 きれいに完結しました。
2)森下裕美「大阪ハムレット」
 著者の新生面。
3)日本橋ヨヲコ「少女ファイト」
 傑作の予感。
4)あずまきよひこ「よつばと!」
 わが家の中では誰かが読んでる率トップ。
5)浅野いにお「ソラニン」
 「虹ヶ丘ホログラフ」はあまりに複雑すぎておすすめしづらいので、こっちを。

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December 08, 2006

手塚ファン御用達

 二階堂黎人「僕らが愛した手塚治虫」読みました。著者はミステリ作家で、もと手塚治虫ファンクラブ会長。手塚コレクターによる、手塚マンガの書影を見せてウンチクをあれこれ語るエッセイです。

 図版がいっぱいでたいへん楽しい。手塚が描き直した作品のいろんなバージョンも多く掲載してくれてて、野口文雄の著書と並んで、ほーほーそうかと感心するばかり。わたしは基本的にコレクターではないのですが、それでも著者のコレクションはうらやましい。現在も小学館のPR誌「本の窓」に連載中だそうですから、いずれ続編が出るのでしょう。

 ただし著者は、手塚マンガ大好き、少女マンガ大好き、でも劇画大嫌い。ちょっと狷介なかたですから、バランスのとれたマンガ史の記述は求めてもダメ。そういう本ではありません。

 わたしは著者とそんなに年齢が違わないですし、マンガ体験や持ってる本もよく似てる。手塚マンガ大好きの人間ではありますが、手塚マンガ以外でも、劇画だろうが萌えマンガだろうがアメコミだろうが、エニシング・オッケーという立場です。当然、著者とはマンガに対する考え方も理解もかなり異なります。手塚治虫に対して感じてる、息子にとってのりこえるべき偉大な父親みたいな存在で全面肯定とはいかなくて批判もしちゃうけどやっぱたしかに大好きなんだよ、というアンビバレントな感情は、著者にはわかってもらえないかなー。

 ですから、気になる記述もいくつか。劇画台頭時、手塚がスランプにおちいってたころの著者による理解。

ほとんどの劇画は粗製濫造の稚拙なもので、後世に残るようなものは少なかった。それでも、物量による影響は相当強烈なものがあり、しだいに、「手塚治虫や手塚流漫画はもう古い」という風潮が生じていたのである。
そうした評価は、主に漫画評論家が下したものだが、子どもたちの間にも蔓延した。

 もう一か所。

作品に対する無理解な意見の他にも、「彼ら(引用者注・手塚とディズニー)のような丸っこくて優しい絵柄は流行遅れ」だと、漫画評論家たちが時流にへつらって、いい加減なことを盛んに言いふらしていたのである。そして、残念ながら、多くの読者がそれを疑いもせず、妄信してしまった。

 ううーん、手塚を古いと「盛んに言いふらし」、かつ子どもにまで影響を与えた評論家って具体的には誰なんでしょ。当時の手塚子どもマンガの主力読者のはずのわたし自身、当時、マンガ評論なんか「COM」以外では読んだこともなく、そして当然ながら虫プロ発行の「COM」に手塚批判なんか載るはずはありません。でも、劇画おもろいわ、最近手塚あかんなあ、と感じてたのがホントのところ。わたしも何かを「妄信」してたのかしら?
 
 あとこんな記述もあって、

一九六五年以降、少年雑誌がA5判の読み物主体からB5判の漫画主体になったことは大きな出来事であった。

 雑誌「少年活劇文庫」は1948年の創刊号からB5判。「少年」がA5からB5に変更されたのが1954年1月。1965年というのはどうでしょうか。

 石森章太郎の「ジュン」事件についても。

しばらくすると『ジュン』の人気にも翳りが生じてきて、連載が終わった。(略)だんだんと発行部数の落ちていた<COM>にとって、『ジュン』の人気の凋落ぶりは死活問題だったからだ。だからこそ、石森章太郎のその次の連載作品には、ヒットを確実に見込める『サイボーグ009』の<神々との闘い編>を持ってきたわけである。

 「COM」の人気連載だった石森章太郎「ジュン」は、1969年2月号を最後に突然終了してしまいました。同時に連載中だった「章太郎のまんがSHO辞典」も中断。当時「COM」には石森の旧作の再録も載ってましたし、虫プロは「石森章太郎選集」を発売中。2月号の次号予告にはちゃんと「ジュン」の予告もありました。3月号の編集後記に「石森先生のご都合により」しばらく休載するとの告知が掲載されましたが、次に石森が「COM」に登場するのは1969年10月号「サイボーグ009 神々との闘い編」でありました。

 というわけで、「ジュン」は別に人気凋落で終了したわけではありません。巷間言われているように、手塚治虫の「ジュン」批判が石森の耳にはいっての中断でありましょう。ちなみに虫プロが豪華本「ジュン」を発行したのは作品がまだ連載中の1968年6月。オビには手塚治虫の推薦文も。

ぼくは石森氏のストーリーよりも絵に魅力を感じる。『ジュン』が成功したのは、もっぱら映像だけを追求したことによると思う。

 あいかわらず手塚先生、誉めてるのか何なのか、奥歯にもののはさまったような文章ですねえ。

 大きな誤植がひとつ。アニメ「悟空の大冒険」とアニメ「ぼくの孫悟空」の写真が逆です。ああ、最近誤植チェッカーみたいになっちゃってます、いかんなあ。

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December 07, 2006

メメント・モリ「最強伝説黒沢」

 ごぶさたしてます。ココログメンテ長かったなあ。でも結局メンテ失敗だったとは……

 福本伸行「最強伝説黒沢」が11巻で完結しました。

<以下ネタバレしますので、未読のかたは要注意>

 最終10・11巻は同時発売で、最近のマンガにはめずらしい結末、と言っていいのかな、「主人公の死」でありました。

 かつてお気楽な笑いを提供していたマンガというジャンルに悲劇を持ち込んだのは、よく言われるように手塚治虫です。彼は登場人物を死亡させるだけでなく、結末で主人公までも殺してしまう。

 初期のものでも「ジャングル大帝」はレオの死で終わりますし、「ロック冒険記」は単行本化されたときラストに主人公の死が描き加えられました。アトムだってTVアニメ版は、人類のために太陽に突っ込むという、アトムの死で終わっていたのです。

 手塚にとって主人公の死は、読者を泣かせるためのテクニックでした。彼は石上三登志との対談でこう語っています。「僕には泣かせるコツが三つあるわけです。一つは、死なないだろうと思っていた主人公を、最後に殺すこと」 読者はなじみのある登場人物の死、ましてマンガではそれまでありえないと思われていた「主人公の死」に驚き、涙し、感動してしまいます。

 以後日本マンガでは、主人公の死が多く描かれるようになります。石森章太郎「サイボーグ009」少年マガジン版のラストで009と002は流れ星となって死んだはずでした。ちばてつや「紫電改のタカ」の主人公は特攻隊の一員として死んでゆく。「あしたのジョー」のラストでジョーは死んでるか生きてるかわかんないけど、まっ白に燃えつきます。永井豪「デビルマン」のラストは、あれやっぱデビルマン死んでるでしょう。

 当然、劇画では主人公、普通に死にます。台風五郎も拝一刀もラストで死にました。その後、もう読者も最後に主人公が死ぬのはアタリマエ、みたいな感覚になってしまい、いつのまにやら主人公が死んでもあんまり驚かなくなっちゃった。F1レースという危険な世界を扱いしかも主人公が特殊な血液型をしてるという、村上もとか「赤いペガサス」のラスト、主人公が死ななかったのに、逆にびっくりしたものです。

 さて、ところがっ。マンガはキャラクターが命。一度つくりあげたキャラクターを完全に捨てるのはもったいない。読者の人気もあることだし、生き返らせちゃえ。

 というわけで、アトムは堂々と生き返ってきます。というか、アトムはアニメが終わっても雑誌連載は続いてましたし、だいたいがあれ、アニメの最終回でマンガとは違うし。アニメの最終回を引き継いだエピソードでは、溶けかかった状態で宇宙をさまよっていたアトムの残骸を、宇宙人が修理した、などとされました。

 009も宇宙から流れ星になって落ちてきたけど、001のテレポーテーション能力でもって実は生きていたってことになりました。カムイは死んだけど双子の弟があとを継ぐ。「カムイ伝」の正助は第一部でまさに凄惨な死を迎えたと長らく思ってたんだけどなー。第二部で、実は生きてましたと知ってからは、もはや第一部を読み直してもあの感動はよみがえりません。マンガじゃないけど「宇宙戦艦ヤマト」のみなさまがたも、死んだと思えば生きかえり、死んだと思えば生きかえり。「聖闘士星矢」あたりになりますと、もう何が何やら。

 こうなりますと読者としましては、マンガ上で死んだと言われても、もうまったく信用してません。どうせ生き返ってくるんだろー。ストーリー展開における「主人公の死」の価値は、かなり下がってしまいました。

 さて、「最強伝説黒沢」であります。ホームレスをひきいて暴走族との戦いに勝利した黒沢が、仲間に看取られながら死んでいきます。死に際にはながながと独白があり、最後の意識の中で「あったけぇ」と、人生に満足しながらの死。この10巻・11巻だけを読みますと、思わず目頭が熱くなっちゃうんですよ。黒沢、おまえはよくやった、なんてね。かつて人望が欲しくてみんなの弁当にアジフライを押し込んでたおまえがなあ。

 でもね、たしかに黒沢は中学生や暴走族とケンカして勝ったから伝説になったのですが、自身ではそれに満足していたのではないらしい。

 黒沢が死に臨んで見た幻想の中で、彼はケンカを回想していません。彼は「オレは抗った…!」「戦ったっ……!」と言っていますが、そのシーンで回想されるのは地道に「働く」自分です。黒沢にとって、著者にとって、戦いとは、ケンカなどではなく、「働く」ことでした。

 そもそも黒沢は著者と同年齢、同じ誕生日。連載開始時期に黒沢44歳。だいたい40歳を越えたあたりから、人間、自分の死を考え始めます。知り合いが突然病気になったり、亡くなったりするのもこのころから。ラストシーンで著者の分身である黒沢の死を描くことは、著者にとって自分の死を投影して考えていたはずです。死は必ず平等に訪れるもの、ここで「理想の死」を描いておきたかったのじゃないか。

 成功は得られなくとも、最期のときに精一杯生きたことを自覚できる死。多くの友人たちに見守らながらの死。最後に笑って迎えられる死。

 全編をとおして読むと、黒沢の死は、それまでの情けない現実→ケンカの高揚感→でもやっぱり情けない現実、の繰り返しから、えらく唐突な展開を見せました。構成としてもどうかと思われ、最初の構想どおりの結末だったのかどうか。さらに現在「主人公の死」の価値は下がっています。

 それでもあえてこのラストを選んだのは、作劇テクニックの問題ではありません。死に臨んで一所懸命「仕事」したという自覚が持てるような、こういう理想の死を迎えたいという著者の希望、そして読者へのメッセージでもありましょう。

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December 02, 2006

さらにあれこれ

 さらに昨日と今日で買った本。

■芳崎せいむ「金魚屋古書店」4巻
 準レギュラー登場人物がやたらと増えてきて、もはや「美味しんぼ」状態。

■福本伸行「最強伝説黒沢」10巻・11巻
 この作品につきましては、またいずれ。

■細野不二彦「ダブル・フェイス」11巻
■萩尾ノブト/原田重光「ユリア100式」2巻
■よしながふみ「大奥」2巻
■中山昌亮「泣く侍」1巻
■山本英夫「ホムンクルス」7巻
■尾田栄一郎「ワンピース」44巻

■業田良家「男の操」上巻
 下巻は年末発売。

■楳図かずお「超!まことちゃん」2巻
 「まことちゃん」のブックデザインが1巻も2巻も、ものすごいことになっとります。

■中野晴行監修「熱狂短編マンガ傑作集 '83」
 コストパフォーマンスがたいへんよろしいおすすめ本。

 ああ、こづかいの残りが…… ここ数日の購入ペースが家庭不和のもとになっております。ええかげんにせんかーいっ。ごもっともです。

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