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November 08, 2006

日常雑記

■白土三平「カムイ伝全集」第二部12巻が刊行されてたのに気づくのが遅れ、書店を数軒めぐってみたのですが、第二部12巻だけ、ないっ。

 ゴールデンコミックス版「カムイ伝第二部」は2000年に22巻が発売されましたが、最終刊となるべき23巻は発売されずじまい。残りの雑誌連載分が単行本にまとまるのは今回の全集版が初めてとなります。だもんで、みんなわたしと同じように、この巻だけねらってたのかなあ。というわけで、アマゾンに注文。

■講談社の新少女マンガ誌「Beth」を買ってきて読んでみたところ、巻頭カラーの小川彌生作品が、なんと脱力系ギャグ。創刊号だよー。巻頭だよー。そういう雑誌なのか。あと幸村誠インタビューで、「ヴィンランド・サガ」のルーツが、アニメ「小さなバイキング ビッケ」だった、というのがちょっといい話。

■遅ればせながら、映画「シン・シティ」をレンタルで借りてきて見ました。評判どおりまるっきりフランク・ミラーの原作マンガと同じ。構図とかそのまんまです。わたしは楽しみましたが、ちょっとグロい描写があるので同居人には不評。マンガと映画の大きな違いは、映画ではヌードのお姉さんが歩くとき、オッパイがゆれるのね。さすがにこの微妙な表現はマンガじゃ無理だわ。

 ジャイブが原作マンガの日本語版を出版したとき、第一作の「ハード・グッドバイ」を出版したあと、主要登場人物が勢ぞろいする第二作の「A DAME TO KILL FOR」じゃなくて、その次の第三作「ビッグ・ファット・キル」を邦訳したのは、映画のエピソードに合わせてだったのかー。

■永山薫「エロマンガ・スタディーズ」を読み進めています。まだ途中ですが、後半の各論になると知らない作家ばっかりで、いやー勉強になります。ただ前半の歴史編では、現在主流となっている「美少女系エロ漫画」に至るまでのミーム(=文化遺伝子)を念頭に書かれているので、残念ながらあえて無視されちゃってる作家もあります。

 ひとりはモンキー・パンチ。劇画とは異なる絵で積極的に性的描写を取り入れてきたひとですが、彼のタイプの絵を描く後継者は現在日本にはまったく存在しません。もうひとりは棚下照生。出自は子どもマンガですが、おとなマンガふうの絵で劇画型のストーリーを展開していました。代表作は「めくらのお市物語」。このスタイルは劇画隆盛の直前にかなり流行しエロチックな作品も多かったのですが、短期間で絶滅しました。とくに棚下のほうは、あれほど一世を風靡したのに、ふつうのマンガ史でもあまり語られない傾向にあるようですね。

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Comments

わ、びっくりした。コメントありがとうございます。エロマンガはあまりにディープな世界で好きな作家をつまみ読みするだけなので、このような全体像を見渡す著書はたいへんうれしいです。きちんと読ませていただきます。

Posted by: 漫棚通信 | November 12, 2006 10:08 AM

棚下照生ですか、ご指摘の通り視野に入りにくい作家ですね。位置づけも難しい。土肥けんすけの女座頭市もの「盲目市子物語」(桜桃書房)にミームが漂着していると言ってみたいが…無理でしょうな。モンキー・パンチも独立峰ですね。オリジナルのルパン3世を読んだことのある人がどれだけいるのだろうか? あと、入れたかったけど、こぼれてしまったのが桑田次郎の「アンドロイド・ピニ」や松本零士の「セクサロイド」などのお色気SFです。このあたりは高校一年生頃に読んだので思い出としては強いんですが今回の拙著の構成上、パスしました。

Posted by: 永山薫 | November 11, 2006 11:29 PM

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