ディズニーのマンガ
タイトルが「ディズニーのアニメ」じゃないところに、ご注意。
1999年、エグモントジャパン/河出書房新社から「ミッキーマウスコミック」という雑誌が創刊されました。ところが創刊号が1999年5月号、10号の2000年2月号であっというまに休刊。1年続かなかったわけで、日本ではいかにディズニーマンガに人気がないか、わかっていただけるかと。
日本では、ディズニーといえばこれはもうアニメーション以外の何者でもなく、次に思い浮かぶのがディズニーランドのキャラクターでしょう(最近はこのふたつ逆かな)。日本人ならディズニーと言われてマンガを思い浮かべることはまずありませんが、海外じゃ違うのじゃないかな。ディズニーマンガは世界じゅうで発行されています。でも日本で人気を得るのはなかなかむずかしいみたいですね。
「Disney Comics Worldwide」というサイトによりますと、現在90か国でディズニーのマンガが発売されているようです。日本ではディズニーの本といえば、ディズニーランドの本であったりミッキーの人形の本であったり、せいぜいディズニーアニメの絵本であったりするのですが、世界各国ではマンガがあたりまえ。ディズニーのマンガ本がほとんどない日本が例外的な存在のようです。(ただし日本以外でも、韓国版ディズニーマンガが存在しないというのは、ちょっと驚きでありました。隣国のディズニー事情はどうなってるんでしょうね)
日本にディズニーがはいってきたのはもちろん戦前です。アニメーションが輸入され、そのキャラクター、ミッキーマウスが人気となりました。ミッキーを主人公にしたマンガも発行されましたが、さてこれ、おそらくはほとんどパチモンで日本で描かれたもの。本家ディズニーマンガを日本語訳にしたものはなかったのじゃないでしょうか。
本国のミッキーマウスの新聞連載は1930年に開始。最初はアブ・アイワークスによって描かれましたが、すぐフロイド・ゴットフレッドソンにバトンタッチ。彼はパイカット目や白黒目のミッキーを1970年代まで描き続けました。現在復刻され読むことのできるミッキーマンガ古典の多くは、彼の手によるものですが、彼の作品が戦前の日本で翻訳されたのかどうかは知りません。
さて戦後。小野耕世「ドナルド・ダックの世界像」によりますと、1947年ごろには、「ドナルド・ダックのてんやわんや」「ミッキー・マウスのアメリカ旅行」「ドナルド・ダックの南米旅行」などのマンガが邦訳出版されていたそうです。
1960年、リーダースダイジェスト社が雑誌「ディズニーの国」を創刊しました。これはディズニーマンガを多く収録したもので、日本人作家の童話なども掲載されていました。しかし1964年にはリーダースダイジェスト社はディズニーから撤退し、講談社が雑誌「ディズニーランド」を創刊。講談社の初期「ディズニーランド」の記憶がもうひとつなのですが、「ディズニーの国」に比べてかなり幼少の読者向け、マンガ雑誌というより絵本に近くなっていたような気がします。
日本ではディズニーキャラクターにこそ人気はあっても、彼らが登場人物として活躍するマンガになかなか人気にはなりませんでした。おそらく日本の母親たちは、ディズニーの絵本は子どもに買い与えても、マンガは買おうとしなかった。そして子どもたちも、ディズニーじゃなくて刺激にあふれた日本マンガを選びました。ま、わたしもかつて、レコード屋でばあちゃんに好きなもの買ってやると言われて、ディズニーアニメの物語レコード(←そんなのがあったんですよ)よりもサイボーグ009のソノシート(←そんなのもあったんですよ)を選んだクチですからねー。
1976年から1977年にかけて、講談社が対訳の「英語コミック文庫」というシリーズを発売。ポパイなどもありましたが、主力はミッキーとドナルドでした。なぜか北杜夫・編。「ファイトでいこうミッキーマウス」とか「ドナルドダックの優雅な生活」など、十数冊が発売されてます。おそらくこれがディズニーマンガの日本へのまとまった紹介として、量的にはいちばんでしょう。
その後、先述した1999年の雑誌「ミッキーマウスコミック」に先立つ1998年、河出書房新社がエグモント・ジャパン編「ミッキーマウス名作漫画集(Ⅰ・Ⅱ)」という税別3800円のお高い本を発売しました。今調べてみるとなんと発売後8年たった今でもふつうに現役で買えます。売れてるのかしら。
エグモントというのはヨーロッパのマンガ出版社で、ディズニーマンガのアーチストを多数抱えているらしい。この本も、本家アメリカのマンガと、イタリア版ディズニーマンガ両方が収録されています。内容があんまりおもしろくないのが残念。もっといい作品があるのじゃないかなあ、小野耕世が絶賛する、カール・バークスの描くドナルドマンガをもっと載せるとか。でもミッキーが主役の本だから無理か。
現在日本でのディズニーは、単品のマンガとしては日本読者には受け入れられないと考えたのか、あるいは日本側からそのキャラクターを欲したのか、ディズニーキャラクターが日本マンガに登場する形のコラボレーションが主流になってるようです。「なかよし増刊ラブリー」の「Disney's きらら☆プリンセス」(ウチの小学生によると、あまりにおもしろくないので「なかよし」本誌から増刊にトバされたらしい)と「小さな妖精プティの日記 from Disney Fairies」、ゲームと組んだ「少年ガンガン」の「キングダムハーツ2」などが最近のものです。
というわけで、日本でディズニーマンガを読もうと思ったら、どうしても洋書を買うことになります。
このあいだ発売されてからしばらく、買おうかどうしようか、迷いに迷ったすえ買った本がありまして、なんせ49.95ドルとたいへんお高い、「Disney Comics: The Classic Collection」という洋書。中身を見ずにアマゾンで注文するのは度胸がいるなあ。
ミッキーやドナルドのマンガじゃなくて、アニメをマンガ化したものを集めた本です。「白雪姫」(1944年)、「バンビ」(1942年)、「ダンボ」(1941年)、「ふしぎの国のアリス」(1951年)、「ピーター・パン」(1953年)。マンガオリジナルのものとして「七人のこびととダンボ」(1944年)なんつー珍品もはいってます。
ふつうの本というより、復刻版のコレクターズアイテムです。デザインやストーリーはアニメと同じですから、画家の力量が作品のデキを左右します。もっともダメダメなのが「ダンボ」で、あの泣ける名作がどうにもこうにも。「白雪姫」は、あの単純な線画に斜線でばっちり影を描いちゃったものだから、けっこう不気味な雰囲気になってますが、これはこれでおもしろい。
もっともすばらしいのが「ピーター・パン」。絵がアニメ以上にむっちゃうまい。アクションシーンもばっちり。実はこの作品、「ディズニーの国」1963年8月号で日本語に訳されてまして、わたし大好きだったのです。いずれ名のあるひとが描いたのであろうと、今回この本で画家の名前がわかるかと思ってたのですが、やっぱディズニーマンガでは画家の名前は秘されているのでありました。











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