切ったり貼ったり「手塚治虫 原画の秘密」
新潮社とんぼの本シリーズで、手塚プロダクション編「手塚治虫 原画の秘密」という本が発行されました。手塚治虫のマンガ原画を写真撮影したものでして、これがおもしろいったらない。
手塚治虫の場合、原画が切ったり貼ったり、分解され再編集されるてるのがよくわかります。紙を貼っての描き直しも多く、この本では透過光撮影でもとの絵を見せてくれます。ブラック・ジャックの下にはヒョウタンツギがいたり、ブッダの頭の形がくりかえし描き直されてたり。
手塚治虫は雑誌掲載のトビラページ原画の人物をまるまる切り抜いて、文庫用トビラページに流用したりもしてます。原画に対する考え方は、以前はみんな素材としか考えてなかったのでしょうが、手塚治虫の場合、また極端ですね。これはもう、切り貼りしたり修正したりするのが、好きで好きでたまらないとしか思えません。
雑誌原稿の完成までにも、すでにくりかえし修正されてるのですが、その後の単行本発行のときにさらに修正される。彼にとって作品の完成という言葉は存在しないのかもしれません。ただし、手塚ほどの作家が、昔の絵と今の絵というまったくタッチの違うものの混在を許したのは、やっぱ謎ですね。今読めるジャングル大帝は、どう考えても珍妙なものです。
しかしこの本、貴重なものを見せていただきまして、眼福でございました。ありがたやありがたや。
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