« サザエさん論アンソロジー | Main | 「刺繍」とは何でしょか »

September 11, 2006

安野モヨコ「よみよま」

 太田出版から、「スーパーバイザー松尾スズキ」と記された「hon・nin 本人 vol. 00」という雑誌(マンガ誌じゃありません)が発売されてまして、これを立ち読みしてました。と、この巻頭に、安野モヨコ「よみよま 黄泉夜間」という8ページの短編マンガが掲載されておりました。

 不覚にも、書店の店頭で目頭が熱くなってしまった。

 主人公は、安野モヨコの分身と思われるマンガ家。「あたしは1人の女の子を養っている」というモノローグで始まります。

 この少女は、主人公の幼なじみで親友で、今は心の病で病院に入院しているけど、20歳までに傑作マンガをたくさん描いたらしい。

 主人公は、彼女が復活するのを祈りながらマンガを描く。

「早く早く描かないと」「遠くで眠る本当の天才が目覚める前に」「描かないと」

 主人公の耳に聞こえるのは、「こんなものを読まされるのはもう沢山だ」「つまんねーから早く終わってくれ」などという読者の声。それでも主人公はマンガを描き続けます。

 どうしても思い浮かぶのは、岡崎京子のことです。これはわたしの的外れな連想なのかもしれません。この作品はまったく別のものを語っているのかもしれない。それでもわたしにはこれ以外に考えられなくなってしまいました。

 こういうのをツボにはまると言うのかな。泣けた。

|

« サザエさん論アンソロジー | Main | 「刺繍」とは何でしょか »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 安野モヨコ「よみよま」:

« サザエさん論アンソロジー | Main | 「刺繍」とは何でしょか »