読書感想文はむずかしい
このブログを読んでくださってるかたは気づいてるかもしれませんが、わたし、読書感想文がおもいっきり苦手です。
マンガレビューのまねごとをすることもあるのですが、自分がおもしろいと感じて、そのとおり「おもしろい」と書いてしまったら、あとはどうすりゃいいんでしょ。ああ悩ましい。
わたしの考える正しい読書感想文とは、
(1)作品のどこがおもしろいのかを分析して
(2)それが自分のどの部分に響いたのかを書き
(3)さらにその作品-読者関係のポイントが自分だけじゃなくて、世間一般にも通じる普遍的なものであることを論考する
ものであります。
でも毎度毎度、そんなめんどうなことできるわけないじゃないかよー。世間にはこれを軽々とやってのける文章の名人もたくさんいらっしゃるのですが、自分で書くと、たいてい(1)だけとか、(2)だけで終わってしまいます。あるいはそこまでも行き着かなかったり。でも、ひとこと「よかった」だけというのもねえ。
というわけで、こんな正しい書き方はめったにできませんから、実際のところ何を書いているのかといいますと。
(4)ストーリーの要約
これは便利。プロでもやってます。というか文庫本の解説のほとんどがこれです。さらにところどころに引用文をいれておくと、すごく字数が稼げます。
(5)絵について
マンガが対象の場合は絵にも言及しておくことを忘れてはいけません。とはいえ、絵を文章で表現するのには限界があることはみなさん、お互いわかってらっしゃるでしょうから、「うまい」とか「気品がある」とか「あらあらしい」とかいうありふれた形容でも、なま暖かい目で許してあげてください。
(6)作品の構成を語る
プロットやストーリー、あるいはコマ構成を解剖して作品を語り直す。たまにやりますが、すごく時間がかかるのが難点。作品を評価することとは別のことをしてますから、気分的には楽でおもしろい作業です。ただし、要は作品の深読みをしてるわけで、まったくのマチガイを書いてるかもしれないという覚悟が必要。
(7)著者の過去の作品
著者略歴でもいいですし、著者がベテランならその作品名を並べるだけでも長い文章になります。著者の過去の作品と比較することで、文章がふくらんでくれる可能もあります。ただ、本気でこまごまと始めると膨大な作家論になってしまうかもしれませんので要注意。
(8)世間の評判を書く
自分以外のヒトの評価を引用するのは、あまり考えずにすむのでラクです。最後に「わたしもそう思う」と書いておけばいいし。身近な家族、友人の意見を書く手もあります。
(9)限りなく自分に近づけて書く
感想文を書くと言うよりも、ただただ自分およびその周辺を語る方法。わたしは恥ずかしがりなのでめったにしませんが、これはうまく書きますと感動的な文章になる可能性があります。ただしその逆になる危険性も大なので、上級者向けと心得ておくべきでしょうか。
(10)ウンチクを語る
べつにウンチクのネタはなんでもよくて、作品内にコーヒーが登場すれば、「ブルーマウンテンといえばジャマイカでいちばん高い山」てなことを書いておきます。わたしがよく使うのがこのスタイル。というか、こればっか。
(11)けなしてしまう
奥の手がこれです。どんなものでも誉めるのはむずかしくて、ケナすのは楽。人間、誉めるときは一行しか書けなくても、悪口なら長々と書けちゃうものです。ただし、いつもいつもけなしっぱなしというのもアレですので、けなしたいっ、という悪の欲望がめらめらと燃え上がって、どうしても抑えきれなくなったときだけにしておいたほうがよろしいようです。
※今回のエントリは、紙屋研究所のこの記事にインスパイヤされて書いたものです。
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