ふたりでマンガ夜話やってます「あしたのジョーの方程式」
島本和彦/ササキバラ・ゴウ「あしたのジョーの方程式」読みました。
全190ページ、ひたすら「あしたのジョー」について「だけ」、島本和彦とササキバラ・ゴウが語りつくすという本でして、いや、ほんとひっさしぶりにマンガ夜話を見た気分。楽しい楽しい。
あしたのジョーの謎と言えば、
(1)ラストシーン、真っ白になったジョーはどうなったか。
がまず出てきますが、わたしにとっては、
(2)なぜ、ジョーは葉子にグラブを渡したのか。
こっちもよくわかんなかった。愛の告白? にしても何だかなあ。
さらにこの本で検証される大きな謎が、
(3)なぜ、少年マンガなのに、ジョーは力石・カーロス・ホセに負けたままなのか。
であります。言われてみるまで気づかなかったけど、確かに少年マンガとして異例の展開です。実際に勝ったり負けたりのスポーツマンガを描いている、島本和彦ならではの疑問であり、設問設定です。著者自身が、編集者に「もっとライバルを出せよ。力石みたいな奴」と言われても、力石がマンガの登場人物としていかに特殊であるかを、身をもって知っているからこそ書けた本でありましょう。
この本では、これらの謎や、(4)ジョーにとって『あした』とは何か、という大問題を、快刀乱麻を断つがごとく解き明かしてくれます。連載終了後、33年目にして。ずーっと頭の片隅で考え続けていたのですね。
なんといっても、わたしにとって衝撃だったのは、(2)に対する回答でして、おおっ、そうなのか。葉子は腹の底では、ホセとの試合を望んでいたのかっ。葉子も、ジョー、力石、カーロスらと同じ、壊れた連中の一味だったのかっ。この解釈には驚いた。全「あしたのジョー」読者、必読。
Comments
親子でジョーを読まれるのは楽しそうですね。あちこち腑に落ちまくりの本で、オススメです。
Posted by: 漫棚通信 | September 18, 2006 09:16 PM
さすが面白そうですね。今コンビニ本で刊行されているので、30年ぶりに買っています。すると息子たちが「おもしろい」ってはまっています。息子たちは島本フリークでもあるので、この本は全部読み終わらせて買わないといけないでしょうかね?
Posted by: not a second time | September 18, 2006 09:40 AM