マンガのお値段
西原理恵子「毎日かあさん3 背脂編」と、星野之宣「PILOTS初期画集成」をいっしょに買ったところ、レジで3505円です、と言われてげげっと驚いたわけですが、オールカラーのサイバラ本ってそんなに高かったかな、と見なおしてみるとそっちは880円。チクマ秀版社の星野本が2625円でありました。うーむ、先に値段をチェックしてからレジに持っていくように。
単行本の値段の決め方をよくは知らないのですが、当然、ページが多ければ高い、紙が良くなれば高い、カラーが多いと高い、部数が多ければ安い、ということになるのでしょう。
日本マンガ発展の原因のひとつが、(1)粗悪な紙に(2)モノクロで印刷された(3)ぶ厚い(4)安価なマンガ雑誌に求められるのはマチガイないところですが、1966年~1967年の新書版ブーム以後に発売されるようになった安価なマンガ単行本の存在も忘れることはできません。コドモのこづかいで多量のマンガ単行本を買うことが可能だったからこその、日本のマンガ文化成立であります。
ただし時代が変わって、マンガ読者が高齢化してそれなりのお金を持ってること。ちゃんとカラーページをいれるとそれなりの値段になっちゃうこと。大部数を見込めないマンガが存在すること。などがあって最近、けっこうなお値段の本が増えてきたような気がします。
売ろうとするマンガはやはり1000円までが中心みたいですから、それ以上のお値段の本が増えてきたのはそれなりにいいこと、なのかな?
カラーのマンガで日本のものなら、寺沢武一の「コブラ」。最近メディアファクトリーから出版された「マジックドール前編」は1600円。フルカラーという付加価値がついてますから、このあたりの値段設定なら、まあ普通に買えます。ただしこれ、2002年に集英社から出た本と内容まるきり同じですから、買ってから怒らないように>自分。
「PLUTO」の豪華版のほうが、1800円から1400円。普及版が550円ですから、微妙なお値段ですね。豪華版が1巻から3巻へしだいに値段が下がってきてるのも気になるところ。ま、付録にもよるのでしょうが。
2000円を越えると、けっこう考え込んでしまう。最近、文春から出た東海林さだおの「ショージ君の漫画文学全集110選」が税別2500円。
古いものではかつて1988年に北冬書房から出た湊谷夢吉「虹龍異聞」が税別2600円で高かったなあ。2000年の松永豊和「バクネヤング」も税別2500円。松本大洋「GOGOモンスター」も税別2500円。このあたりになると、買うのにかなり勇気がいります。
海外のマンガの邦訳はおおむね高価です。それだけ売れない、ということなんでしょうか。
最近発売された小学館プロダクションの「V フォー・ヴェンデッタ」が税別2400円。ムーアはジャイブからも「バットマン:キリング・ジョーク」や「リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」正続がでてますが、こっちはもっと高くて税別3200円から3400円。本国でもそうなのでしょうが、はじめからコドモ相手のお値段設定ではありません。
福音館書店のタンタンのシリーズは税別1600円で、これはまあ、絵本あつかい。コドモがこづかいで買うような本ではないでしょう。ムーランサールジャパンからは、エルジェがカラーで描き直す前の雑誌掲載モノクロ版が3800円で出版されてます(版型の小さいソフトカバー税別850円もあります)。わたし以外にこういうのを買う人がいるのかしら。
岩波が出したアート・スピーゲルマンの「消えたタワーの影のなかで」も税別3800円でしたがページ数は38ページしかありませんでした。おそるべし。
日本作家なら長谷邦夫「パロディ漫画大全」が税別4000円。こっちはなんと915ページもあります。1999年に出版された「横山光輝まんが集」も870ページあって税別4200円。ほとんど枕です。
でもやっぱ復刻のほうがお高くて、小学館クリエイティブの楳図かずお復刻が税別3600円から2400円。松本零士のが2400円から2200円。赤塚不二夫が3600円。どんどんサイフが軽くなる。
マンガショップからたくさん出てるのは一律税別1800円で、なかなかそろえるのがきびしい値段です。
三一書房の「スピード太郎」が税別4500円。「手塚治虫のディズニー漫画:バンビ/ピノキオ」が税別3800円、「リボンの騎士:少女クラブカラー完全版」が税別5000円。こういうのを買ってると家庭争議になります。
読むというよりコレクターズ・アイテムになると「少年」昭和37年4月号の復刻BOXが5500円。「鉄腕アトム:HAPPY BIRTHDAY BOX」なら15000円で、もう書籍じゃないですね。ただしこのBOXの古書価格、チェックするたびに安くなってますので、買いのがした人はそろそろ買いどきかと。
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Comments
>手が…
ぼくにも手が出ません。も、もらいましたが。(汗・笑)
なにしろ、ここの社長、大学生のとき、ぼくのファン
だった。詩の同人誌のために、インタビューに来たり
していたのです。
Posted by: 長谷邦夫 | May 11, 2006 10:25 PM
さ、さんまんえん!? 限定80部ですか。スミマセン、手が出ませんです。マンガ以外だと、東京創元社が出した江戸川乱歩の『貼雑(はりまぜ)年譜』30万円が有名ですねー。
Posted by: 漫棚通信 | May 09, 2006 04:59 PM
>大全
ぼくの本、水声社という大変地味な本を出している小社でして
営業の力が有りません。ソノ上、ぼくという、あまり売れない
マンガ家ということで部数も少なく、高くなりました。
ソノ上、カラー原画1葉綴じ込み、布張り箱入りの
特製本、30000円~なる本まで(社長の趣味)で
出してしまいました。何部売れたのか、恐ろしくて
聞けません。きっと残部が………(笑)(汗)
安い本を出したいんですが…もう、遅い年齢です。
Posted by: 長谷邦夫 | May 08, 2006 11:03 PM