オシャレ系おフランスマンガ
ふんとにもう、ブログのコメント欄であまりケンカをしないでいただきたい。こっちもおたおたしちゃうじゃないですか。
さて、「日本におけるタンタンの現在(その1)」に、mgkiller氏からコメントをいただきました。ありがとうございます、そうだそうだ、タンタンといえば大貫妙子だ。
1985年に大貫妙子「コパン」というアルバムが発売されました。そのトップに収録されていたのが「Les aventures de TINTIN」というタンタンをテーマにした曲であります。ほら、タイトルからしてフランス語でオシャレっぽいでしょ。
さらにその翌年の1986年、大貫妙子の子供向け楽曲を集めた「Comin' Soon」というコンピレーション・アルバムが発売されましたが、このアルバムはヒットしましたねー。名曲そろってますし。
収録されてるのが「Alice」(不思議の国じゃなくて鏡の国のほう)、「ピーターラビットとわたし」、NHKみんなの歌でやってた「メトロポリタン美術館」、「地下鉄のザジ」、そしてタイトルを日本語に変更した「タンタンの冒険」などなど。
大貫妙子でタンタンですから、オシャレ感バクハツしてます。当時、福音館書店版タンタンが大ヒットしてたという話は聞きませんので、おそらく多くの日本人は、この曲を聞いて初めてタンタンを知ったはずです(←わたしの同居人もそうらしい)。
ま、そのひとたちのほとんどはタンタンのマンガを読むわけではなく、曲と、街で見かけるタンタングッズで完結してしまいますので、タンタンをマンガとは思わず、おフランスのオシャレな何か、として認識するだけなのでしょう。やっぱ、タンタンの色づかいはすばらしいですからね。オシャレな何かで通用します。
おフランスといえば、マンガもなーんかオシャレな感じがします。ペイネやサンペはいかにもオシャレですし、メビウス、ビラルもオシャレととらえられてるのかも。
で、そのオシャレ系おフランスマンガの決定版が、ニコル・ランベールの「三つ子ちゃん」(LES TRIPLÉS)シリーズであります。
著者は女性です。10代のうちにモデルとしてデビュー、その後デザイナーとして活躍し、1983年から雑誌「マダムフィガロ」で「三つ子ちゃん」シリーズを描き始める。ああっ、なんてオシャレっぽい。
お金持ちの若いお母さんと、5歳の三つ子ちゃん。男ふたり、女ひとりのお話です。1ページ完結で1コマだったり、数コマだったり。子どもの無邪気な行動を描いた他愛のないカワイイ系のマンガですが、なんといっても色がすばらしい。アメリカ、ディズニーの原色とは違って、タンタンと同じように暖かい中間色。
三つ子はいつもおそろいの服を着てるし、お母さんは必ずシャネルの服にカルティエのアクセサリー。オシャレですねえ。パパは存在しますが、出てきません。おじいちゃん(ママのパパ)も、いつもネクタイにパイプでオシャレ。
「ママおめでとう! しってる? ママがクラスでいちばんきれいなママにえらばれたんだよ!!」
「うれしいでしょ?」
「まあ とてもうれしいわ… クラスでいちばんきれいなママですって? もっとよくきかせてちょうだい!」
「あのね… みんなじぶんのママに投票したの…」
「…でもぼくたち三つ子でしょ…」
「…それでさ ママがえらばれたんだ!」
「ママ けっこんしきのとき きれいだった?」
「すてきなしきだったの?」
「それはきれいだったし すてきなしきだったわよ!」
「でもボクたちのこと よんでくれなかったんだね!!」
こんな感じね。
日本では文化出版局発行のマダーム系雑誌「ミセス」に連載されたあと、旧中央公論社から1994年から1996年にかけて全4巻の単行本が発売されました。これがまたハードカバーでB4版をこえる大きさ。でかいっ。お値段も一冊3400円でありました。
これは原著のフランス語版の大きさを踏襲したものでしたが、売れたのかなあ。あきらかに「ミセス」の読者層をねらった出版だったのでしょうけどね。アニメが日本で放映されたこともありましたが、誰か覚えてるかしら。NHKの子ども番組の中でやってました。
中央公論社が倒産したあとは、2001年にフェリシモ出版から絵本型の「みつごちゃんとだいすきなママ」「みつごちゃんといたずら」「みつごちゃんとボンボン」「みつごちゃんとけっこんしき」「みつごちゃんとしんじだい」「みつごちゃん きょうだいどうし」「みつごちゃん がっこうで」「みつごちゃんとスーパーおじいちゃん」、計8冊が発売されました。
マンガであることは間違いなく、おそらくは、こどもをほほえましく見守るおとな向けマンガです。ただし、どう考えても、日本で「マンガ」として流通、受容、消費されているとは思えない。おフランスのオシャレな何か、なのかな。
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