ヒーローでコドモ
女優の曽我町子さんが亡くなられました。オタク方面では特撮番組の魔女などでおなじみのかたですが、有名なのはアニメ「オバケのQ太郎」のQちゃんの声。意外と、と言っては失礼ですが、あのときまだ、27歳でいらっしゃったのですね。独特のガラガラ声は、マンガのイメージどおりと言われました。ご冥福をお祈りします。
この訃報を聞いて、ぼーっと考えてたこと。
彼女の、Q太郎に続く声優の仕事が、アニメ「サイボーグ009」に登場する007の声でした。ハゲ頭で売れない役者の007とQ太郎では、ずいぶんイメージが違います。実は、このアニメが製作されたとき、007はオトナからコドモ(ハゲ頭でチビのなまいきなやつ)にキャラクター変更されたのでした。
マンガでいうなら、地下帝国ヨミ編の連載開始時、007がよくコドモに変身してたのが、このなごりです。グループ内にはすでに001という赤ん坊=コドモがいましたが、こいつは神のごとき超能力を発揮してるか寝てるかで、あんまりハジケるキャラクターじゃなかったですからね。商業的にも、もうひとりコドモが必要だったのでしょう。
ヒーローグループ内のコドモは、
(1)コメディリリーフ
(2)擬似家族における子供の役割
(3)年少の読者・視聴者に共感させるための存在
などの意味があり、そこからみちびきだされるストーリーとして、「暴走して失敗→他のメンバーに助けられる、さとされる」とか、「いつもは失敗してるのに意外にも活躍」などのパターンが考えられます。
鞍馬天狗と杉作、丹下左膳とチョビ安、あたりはちょっと違うかもしれませんが、明智小五郎と小林少年、バットマンとロビン、になるとあきらかにヒーローでコドモ。「ガッチャマン」の甚平。その原型である「忍者部隊月光」の半月。「仮面の忍者赤影」の青影。などなど。
年少者がグループ内の年長者に導かれて成長する、というパターンでした。あくまで主人公はリーダーである年長者のほう。
ところが、この未熟な年少者が、主人公になるとどうなるか。登場人物は現代の読者・視聴者にとって、より共感できる存在になりうるでしょうが、物語は果てしなく暴走しちゃう危険性をはらんでいる。
これがエヴァのシンジであり、エウレカのレントンであり、マジレンジャーの赤いの、だったのかなあ、なんてね。最近は未熟なコドモが主人公になるのがはやってるのかしら。
Comments
初期のアニメの009では、007は、原作のハゲ頭の売れない役者ではなく、ハゲ頭の子どもに設定されていたと思うのですが。曽我さんの声は、その子どもの声だったように記憶しています。間違っていたらごめんなさい。
Posted by: momotarou | May 09, 2006 05:11 PM