泣けました「大阪ハムレット」
書籍や映画の広告で「泣けた」とかいうのを読むと、まずは、ナーニヲイッテルンダロウネ、と思ってしまうほうです。昨日も、アカデミー脚本賞受賞の泣ける映画! というのをレンタルビデオで借りて見てましたが、どこが? てな感想でありました。
ですからそういう惹句はまったく信用していないのですが、森下裕美「大阪ハムレット」1巻、いや、これが泣けるんですよー。どこが? と言われちゃうかもしれませんが。
大阪を舞台にした、人情話の短篇連作です。今回は四コマ作品ではありません。
なんといっても、人物の顔がいい。森下裕美はなんでも描けるひとなので、ひさうちみちおふう、江口寿史ふう、安西水丸ふう、高橋留美子ふう、と迷走したあと、やっと「ここだけのふたり!!」「少年アシベ」で、カワイイ系の絵柄を確立したと思われてました。
ところが「スーパーまるでん」では、そのあたりのおっちゃんやおばちゃんをどんどん描くようになり、「大阪ハムレット」では、ついにかつてのカワイイ系を封印して、キタナイ系というかミモフタモナイ系の顔ばかりに。ただしそれは以前より洗練に向かっています。
お話のほうは、世間の常識に対抗して強く生きようとするひとびとと、それを支える家族の物語。息子をあたたかく見守るパパが、デブでヒゲ、握り箸をするいかついおっちゃんに描かれたりします。ストーリーと絵の相乗効果がすばらしい。
大阪のおっちゃんおばちゃん、みんな顔はアレだが心は錦だよっ、という、お話にぴったりの人物ばかりが登場。これが森下裕美の絵の完成形か。
Comments
おおっと、ココログのコメント欄がひと手間よけいにかかるようになってる。
コメントありがとうございます。そうなんですよ山科けいすけ。お互いに手伝ってるかどうかは知りませんが、なーんか似てきてますよね。
Posted by: 漫棚通信 | May 23, 2006 10:02 PM
早速買って読みました。読み始めたのが夜中で眠たかったんですが一気読みしてしまいました。森下裕美さんのマンガを全部読んだわけではありませんが、最高傑作かも。ただ「ミモフタモナイ系の顔」が山科けいすけ・C級サラリーマン講座のキャラクターにかぶって困った。しかし、とにかく2巻が待たれます。こんなことがあるからマンガ読みは止められない。
Posted by: osunupapa | May 22, 2006 03:16 PM