ウサギ男の呪い
クレイ・アニメーション映画「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」を見てきました。チーズ好きの発明家・ウォレスと、なんでもできる飼い犬・グルミットのシリーズ最新作です。今回の原題は「Wallace & Gromit The Curse of the Were-Rabbit」でして、「Werewolf」ならぬ「Were-Rabbit」の呪い。狼男じゃなくてウサギ男ね。
「The Curse of the Werewolf」のほうは、日本語タイトル「吸血狼男」、テレンス・フィッシャー監督、オリヴァー・リードが狼男を演じたイギリス映画(1961年)。狼男映画の古典名作ですから、監督ニック・パークは当然これを意識してるはず。きっとどこかにオマージュとして引用されたシーンがあるんじゃないかな。わかりませんけど。
キングコングかオペラ座の怪人っぽいシーンはありました。あと、グルミットの後方の壁に映る大きなウサギ男の影!と思ったら、実はグルミット自身の影でした!と思ったら、グルミットが去っても影は残っててやっぱりウサギ男!などという、わかりにくいギャグもあり。ダイエットのために野菜ばっかり食ってるとウサギ男になっちゃうぞ、という教訓をこめた作品です(←ウソです)。
実は映画としてどうこうじゃなくて、わたしは単なる「ウォレスとグルミット」ファンなので(ケータイストラップとか、ソニー・マガジンズが出した「チーズ・ホリデー」のくっだらない絵本とかも持ってます)、展開はどうあれ楽しめるのですが、ただしラスト、ウサギ男がいかにして元に戻るかのアイデアについては、これはどうかと思いましたけど。ジブリ関係者は、ハウルはこんなのに負けたのかー、と泣いてるかも。
家に帰ってからビデオでシリーズ過去3作を見直しましたが、第一作「チーズ・ホリデー」時代のいかにも粘土粘土した質感から進歩して、ウォレスもグルミットもずいぶんつるりんとした感じになったものですねえ。今回の長編では、これまでにも増して画面のスミズミまでいろんな楽しいお遊びを詰め込んであります。
この作品がアカデミー賞を受賞したのは、CG全盛時代にクレイ・アニメーションの長編を作ったことに対しての意味もあるのでしょう。
あとひとつだけ。イギリスの家庭料理にウェルシュ・ラビット(Welsh Rarebit あるいは Welsh Rabbit)という、チーズとトーストを使った料理があります。ウェールズ人はこんがり焼けたチーズが大好きだそうで、「キツネ色に焼けたチーズと聖ピーター」という伝説もあるらしい。チーズ+ウサギ→「Welsh Rabbit」→「Were-Rabbit」だったりして。発音も似てるような気がするし。
Comments