理系のギャグ「夜は千の眼を持つ」
ギャグに理系も文系もあるか、という気もしますが、上野顕太郎「夜は千の眼を持つ」が発売されてます。タイトルはアイリッシュ/ウールリッチの小説からとってます。そう言えば石森章太郎「千の目先生」なんてのもありましたね。
ギャグ作品をレビューしようとすると、オチを言っちゃうことになってマズイのですが、少しだけ。膨大な人数の登場人物紹介欄とか、レ・ミゼラブルをたった1ページで描いちゃうとか。こういうのが理系のギャグのような気がします。なんせあの「5万人ギャグ」の作家ですからね。
発想が理詰め、と言いましょうか、とり・みきや唐沢なをき型と言いましょうか。大爆笑はないけれと、発想の飛躍を楽しむタイプ。じゃあ、文系は誰かというと、山上たつひことか、田村信がそうなんじゃないかなあ。テキトーなこと書いてますけど。
なんにせよ、ショートギャグ75連発の作品集、こういう本が今やめずらしく、マジメにギャグマンガを描こうとする態度が立派。ここ10年で発売された上野顕太郎の作品集のうち、現在入手できるのは新刊のこの本だけであります。買っとかないと、あとで後悔しますよ。
Comments
コメントありがとうございます。読み直してみました。なあるほど、吾妻ひでおの言葉として、山上、吾妻、とり、江口、コンタロウ、唐沢はわかるけど、鴨川つばめはわからない、と。それを受けてとり・みきが「理数系ギャグマンガ家の系譜」って言ってるんですねー。わたしもこれが頭の隅にあったから理系・文系って書いたのかしら。
Posted by: 漫棚通信 | March 04, 2006 10:21 PM
はじめまして。
ギャグを理系・文系に分けるという操作は、「マンガ家のひみつ」(とり・みきがホストとなって、マンガ家9人と対談した本)で、吾妻ひでおとの対話で出ているので、ご参考までに(対談は1995年、本の出版は1997年。徳間書店刊)。
山上・コンタロウ・江口寿史などは理数系なので、とり・吾妻にとって理解しやすかったけど、鴨川つばめは理解しがたかったという会話がされています。
Posted by: MT | March 03, 2006 10:32 PM