さらに人名のモンダイ
次は日本人作家名のお話。
諸星大二郎がモロホシ・ダイジロウであることはすでに周知徹底しているのでしょう。1970年代の単行本奥付からずっと変わらずモロホシであるぞと主張されていました。なんせ強力なライバル、モロボシ・ダンと諸星あたるがいましたからねー。これに対抗するのは大変だ。
手塚治虫にしてから、最初、小國民新聞で紹介された時は、テヅカ・ハルムシさんでした。ま、これをオサムと読ませるのはちょっと無理なのですが、そこはそれ、巨匠になれば大丈夫。
田河水泡の本名は高見澤仲太郎。田河水泡をタカミザワと読ませたがっていましたが、だれもそうは読んでくれない。しょうがなくてタガワ・スイホウとなった、という話は有名です。
マンガ家でありかつ日本アニメーション草創期のひとりであった下川凹天を、シモカワ・オウテンと読むかシモカワ・ヘコテンと読むか。これについては秋田孝宏によって『「コマ」から「フィルム」へ』の中でレポートされています。
呉智英はクレ・トモフサでもゴチエイでもどっちでもいいことになってるそうですが、これも豪快な話ですなあ。でもさすがに紀伊國屋書店のかな検索では、「ご ちえい」で検索できません。
ちなみに紀伊国屋書店の検索はかなり昔の本まで表示してくれるので、けっこう重宝してます。でも諸星大二郎の読みはモロホシとモロボシが混在しててダメダメです。ネット上での大きな間違いのひとつが「山岸涼子」さん。検索するときには注意が必要です(正しくは凉子ね)。
困るのが改名や別名でして、これは冗談じゃないよってくらい多いです。このような「同一作家の別ペンネーム」というページもありますので参照させてもらっています。大御所でも名をなしてから改名する人も多く、上田としこ→上田とし子→上田トシコとか、石森章太郎→石ノ森章太郎、矢代まさこ→睦月とみ、竹宮恵子→竹宮惠子とか。狩撫麻礼にいたっては何が何やら。
文章中で名前を記載するとき、どの名を使うべきかいつも迷うところであります。
Comments
有ったり無かったり~なるほど。
ここで書いていただいて初めて知りました。
無意識に見ているので、いざとなると
正確に言えない人が多いわけですね。
Posted by: 長谷邦夫 | March 28, 2006 01:43 AM
コメントありがとうございます。
ナカグロ問題はかなり複雑で、書影で判断するのもあれですが、さいとう・たかをはデビュー作の1955年「空気男爵」では「さいとうたかを」の表記でしたが、翌年の第三作「修羅の舞」でナカグロ入り。その続編「剣狂」でまたナカグロ抜き。その後はほとんどナカグロ入りみたいです。
モンキー・パンチは初期からナカグロ入りでしたが、たまーに手書きレタリングのときナカグロ抜きの表記があるようです。
真崎・守は普通はナカグロ入りなんですが、決定版といえるブロンズ社の選集からはナカグロ抜きの真崎守になっちゃったみたい。
またダーティ・松本みたいに比較的最近もナカグロあったりなかったりする人もいますし、ああムズカシイ。
漢字の読み方は存命なら自分で主張できるし、著書のある人は奥付で確認できるからありがたいことです。
Posted by: 漫棚通信 | March 27, 2006 09:29 PM
>ミヤサキ
ミヤサキハヤオとは余り言われていませんね。
川崎のぼる・はカワザキじゃない(笑)
>ナカグロ
とり・みきサンもいましたね。
Posted by: 長谷邦夫 | March 27, 2006 09:27 PM
絶望した!!さよなら絶望先生で、「ペリーなのぺリルなの?」を思い出しました。ビートルズで言えばジョージ・ハリソン なのか ハリスンなのか。「ハリスンの方が発音に近い」
野球場で有名なシェイ・スタディアムはビートルズ・ファンの中では「シェア・スタディアム」でSHEAの表記通りに長い間まかり通っていました。釣りバカ日誌のハマちゃんは「はまざき」と言われて「ハマサキッす。九州じゃにごらない。」って言ってましたね。宮崎だったけ?と言うことで「江崎」と言う姓は私の友人はみんな「えさき」ですが、グリコは「エザキ グリコ」ですね。でも「みやさき」県ではないみたいですね。
Posted by: not a second time | March 27, 2006 06:52 PM
真崎守のように後にナカグロを入れた
真崎・守のような例もありますね。
U・マイア(三人合作PN)
いずみ・あすか(赤塚・石ノ森)
藤子・F・不二雄(2個もある)
さいとう・たかお先生はいつごろから
ですかね。
MOO・念平さんも居ますね。
古くは、まつやま・ふみお
モンキーパンチさんは無い。ですよね。
Posted by: 長谷邦夫 | March 25, 2006 02:50 PM