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March 22, 2006

人名表記のモンダイ

 大森望のエッセイ「特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話」が面白くて面白くて。翻訳についての本とはいえ、結局は日本語の話なんですよね。

 わたしは意識して文章修行したことがないのですが、ネット上の駄文とはいえ、自分も日本語の文章書いてるわけだし、こういう本を読みますと、そうかそうかと膝を叩きっぱなし。英和や日本語の辞書も買い直そうかしら。

 この本に、海外人名表記の話題も出てくるのですが、おおそうだ、マンガ関係でもひとつ。

 ロドルフ・テプフェール Rodolphe Töpffer という人物がおりまして、マンガの祖と言ってもいい有名人(のはず)。どういう人かといいますと、くわしくはコチラをどうぞ。

 わたしがこの人の名を知ったのは、ジェラール・ブランシャール「劇画の歴史」です。そのときは「ロドルフ・テプフェール」と記載されていました。ドイツからスイスに移住した画家の息子ですから、原音主義的に日本語で記載するなら、やっぱドイツ語ふうに読むべきでしょう。

 ドイツ語とはいえ、いくらなんでも「テプフェール」はなあ、というわけで、「ロドルフ・テプファー」という日本語をあてる文章も見かけました。こっちのほうが原音に近いかな。そこへ1993年、この人の著書を日本語訳した本が出版されまして、これが「アルプス徒歩旅行 テプフェル先生と愉快な仲間たち」という日本語タイトル。著者は「ルドルフ・テプフェル」。うーむ、3番目はこうきたか。

 ところがその後1998年に出版されたスコット・マクラウド「マンガ学」では「ルドルフ・テファー」の表記をあてていました。英語ならこう発音するのでしょうか。でもこれはちょっとどうかと思われる訳で、「ロドルフ・テプフェール」「ルドルフ・テプフェル」とは離れすぎ。アルファベットでどう書くかも表示してないし、同一人物とはわかりにくい。それまで日本語でどう表記されていたかを調べるくらいのことはしてほしいなあ。

 昨2005年8月に出版された秋田孝宏『「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画』では、「ルドルフ・テプフェル」が使用されていました。著者もきっと迷ったのでしょうが、なんといってもその名で著書が出版されてると強い。

 どっちにしても自分で文章書くとき日本語表記が決まってないと大変困ります。別に私自身にこうでなきゃ、という意見があるわけじゃなくて、多数決に従いたいわけですよ。こうなったら「ルドルフ・テプフェル」で決まりかな、と思ってた。

 ところがどっこい、2005年の11月に発行された小野耕世「アメリカン・コミックス大全」で、なんと「ロドルフ・トプファー」の表記がっ。

 確かにドイツ語でウムラウトつきの「ö」は、「え」やら「おぇ」やらわからん発音でありますから、「トプファー」でもいいとは思うんですが、これでまたフリダシにもどって、混沌状態に。頼むからだれか統一してくださいよー。

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Comments

人名表記は出版社毎に微妙にルールが違いますからね。
逆に言えば本来は同一出版社の本では統一されているはずなんですが、校正者によって変わったり、訳者が表記をこうしてほしい、となるとその表記になったりも。

促音長音拗音などがある場合もまた色々と問題が出てきます。
ル=グィンなんか何種類表記があるんだか分からないくらい。

「オズの魔法使い」のライマン・フランク・ボームも、ボーム、バウム、ボウムとか色々です。

Posted by: soorce | March 23, 2006 11:36 PM

コメントありがとうございます。ギヨエテ、ゲーテの時代から悩ましいことですね。日本人がカナを使い続ける限り、どうしようもないことなのでしょう。ベティ・ブープも戦前はすべて「ベテイさん」と「イ」を大きく表記してましたから、時代でかなり変化するみたい。今は「コンピューター」→「コンピュータ」、「モニター」→「モニタ」の時代ですから、そのうちフランク・ミラーもフランク・ミラになったりするかも。

Posted by: 漫棚通信 | March 24, 2006 07:13 PM

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Tracked on March 26, 2006 08:23 AM

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