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January 03, 2006

八犬伝をめぐっての雑談

 あけましておめでとうございます。

 本日は雑談で。元日は飲んだくれてましたが、二日は仕事、それでも夜はだらだらとTVなど見ておりますと、ドラマ「里見八犬伝」などやってました。

 真剣に見るようなものではないのですが、TV化にあたって原作からの大きな変更がふたつ。ひとつは、犬の八房が出てこないっ。

 八房の登場しない八犬伝なんてあり? 馬琴の原作では、伏姫の父・里見吉実が八房にむかって、敵将を倒せば婿にしてやろう、とたわむれに言ってしまう。この妖犬・八房、ホントに敵将の首をくわえて帰って来てしまいます。

 伏姫は泣く泣く、ひとり山中で八房と暮らすことになりますが、ある日、妊娠している事がわかる。彼女は純潔のまま、懐胎したことになってますけど。江戸時代の人々はこのような異類婚姻譚に日常的に接してたそうですが、それにしてもやっぱ引いちゃうようなお話ではあります。でもこのオープニングがあるからこその、八「犬」伝じゃないですか。

 もひとつの変更は、主人公・犬塚信乃の許婚、浜路の話。原作の浜路は、実は犬山道節の異母妹で、悲恋のうちに悪役に切り殺されちゃいます。TVでは全編を通したヒロインが必要なんでしょう、生き残って、実は里見の姫という設定になってました。

 さて、この八犬伝、当然、後年の小説やマンガにも影響を与えているわけですが、そのひとつが、飛び散った八つの玉を持った犬士が集合するところ。もちろん元ネタは、水滸伝、伏魔殿から飛び散った百八つの悪星から誕生する百八人の豪傑です。

 直接設定をいただいてるのは「アストロ球団」や「群竜伝」ですが、運命に導かれたグループの集合なら、いろんなものがありそうだなあ。「運命的な出会いであった」なんてね。集団ヒーローという意味では、009や戦隊モノの元祖かもしれません。

 八犬伝のもうひとつの特徴は、因果と偶然(=運命)に導かれたストーリー展開です。実は親子だった、実は兄弟だった、なんてのがいっぱい出てきます。このあたりは戦前の大衆小説、吉川英治「宮本武蔵」あたりに直接影響を与えてるようですね。

 伏線はりまくって、きっちりおさめる所におさめるという作劇法は、最近のマンガじゃあんまり見かけない気がするなあ。先のことは考えない、なんて公言する作家もいますから。そう考えると永井豪「デビルマン」「手天童子」なんて奇跡的な作品ですね。

 本年もよろしくお願いします。

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