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December 02, 2005

ピアニカをひく少女

 ↑は、出てきません。何のことかといいますと、衿沢世衣子の初作品集「おかえりピアニカ」であります。

 著者も自ら語っていますが、もうすぐ大人になろうとする子供たちの物語。中学生になってピアニカをひく(吹く?)ことは、ま、あんまりありませんから、登場人物の多くは小学生です。

 「COMIC CUE」のドラえもんトリビュートの号は、今をときめく福島聡とか羽海野チカとか小田扉が寄稿してたのですが、衿沢世衣子が描いた、タケコプターマンガも注目作品でした。タケコプターで空を飛ぶことができるのは、子供だけ。成長するとある日突然、飛べなくなってしまう、という小品佳作でした。

 今回の作品集でダントツにすばらしいのは、その「鳥瞰少女」と、「夏坂」。よしもとよしとも原作の「ファミリー・アフェア」も、いいコラボレーションでした。

 とくに「夏坂」でドッジボールを評して、「人にボールぶつけて喜ぶゲーム」「生きていれば逃げつづけ、死ねば狙いつづける、殺せば生き返る! 輪廻転生がこんなんだったら怖いなあ」と喝破したのはお見事。

 自分にも空を飛べなくなる日が来ること、ドッジボールは残酷なゲームであること、ブルマは正しい体操服ではないこと、を知ることは、ちょっとだけ成長するということ。

 大人と子供の中間、どっちつかずのふわふわした時を生きている彼らは、いろいろ考えるんだけど、結論は出るはずもない。読者は著者から、あなたはその時代何を考えてましたか、と問われています。

 そのころ、わたし自身(♂)はなーんも考えずにへらへらと生活してたような気がします。でも、オッサンになってこういうマンガを読んで、なーんも考えてなかった小学校高学年男子も、もしかしたらいろいろ考えてたのかもしんないと思いめぐらすわけで、それを教えてくれるこの作品集は、わたしにとって、まちがいなく「少女」マンガなのです。

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Comments

買ってしまいました。タケコプターの話に引かれて。
「失踪日記」と同じイースト・プレスで、四六判という判型まで一緒。

絵柄はどこかでみたような気が。
思い出せない・・・・

感想は、面白かった、です。
視点がなかなか良いですね。

Posted by: トロ~ロ | December 09, 2005 03:09 AM

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