谷口ジロー「シートン」第2章
谷口ジロー「シートン 旅するナチュラリスト」の第2巻「少年とオオヤマネコ」が発売されました。
以前にも書きましたように、この作品、谷口ジローが1975年、「谷口治郎」名義で描いた、集英社「学習漫画シートン動物記」第10巻「少年とオオヤマネコ」のリメイクであります。
シートンのこの作品、白土三平も1961年にマンガにしていますが、白土版は、はっきり申し上げて、ヤマネコの造形がもうひとつ。頬にたれたヒゲが難しかったようです。
谷口ジローの「学習漫画」版も、実は、このヤマネコがあまりカッコよく描けてませんでした。表紙のカラーのヤマネコはなかなかいいんですが、マンガ内の白黒のヤマネコはけっこうスンヅマリでして。あれだけ動物のうまい谷口ジローにして(オオカミとかネコは1975年でもお見事でした)、ヤマネコは悔いが残ってたんじゃないかな。
で、今回のこの作品、谷口ジローとしては、人間と自然というテーマをさらに深く掘り下げるだけじゃなくて、全編、ヤマネコの造形への再挑戦となっております。
とくに「シートン」第2巻のクライマックス、231ページ下の、シートンとヤマネコがにらみ合うコマ。この構図は、1975年の「学習漫画」版に描かれたものとまるきり同じです。かつて描いた絵をもう一度描いてみようというのは、うーん、やっぱり谷口ジローは絵の人ですねー。
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