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October 28, 2005

マンガにビニール

 久世番子「暴れん坊本屋さん」によると、マンガ単行本にかけてあるビニールのことをシュリンクというらしい。しかも、これをキレイにかけられると、書店員はうれしいらしい。ほほう。

 今ではあまりにアタリマエの光景になってますが、マンガにビニールがかかってると、買うマンガは、(1)雑誌で内容を知ってるモノか、(2)レビューを読むか友人にすすめられてねらって買うものか、(3)いわゆる「ジャケ買い」か、になっちゃいますね。読者は決まったマンガしか買わなくなり、売れるマンガはますます売れ、売れないマンガとの格差は広がるばかり、なんじゃないかしら。現在一般的にマンガのビニールは、好ましくはないけど立ち読み防止にはしょうがない、と必要悪として受け入れられているのかな。

 マンガにビニールがかけらるようになったのって、いつだったっけ。

 (以下の文章の根拠はわたしの記憶だけです。地域によっても違うかもしれません)

 かつて1966年以後、新書版ブームが始まり、マンガ単行本の棚が書店にできたとき、この棚はレジのすぐ隣とか、レジの後ろにありました。まあ、マンガ全部でもそのぐらい量だったのですよ。

 おばちゃーん、その本とって、と言って本を出してもらいます。あるいは、白い目でにらむおばちゃんの横でつま先立ちになって、自分で本を引っ張り出す。ぱらぱらめくった上で(長々と立ち読みすることなどできません)、買うかどうか決めるわけです。すばやい決断力が必要でした。

 マンガの出版点数がどんどん増えて、マンガの棚は次第にレジから遠くなっていきました。するとどうしても立ち読みが増加する。マンガの棚がレジから死角になってたりしたら、それこそ読み放題。

 第一次マンガ文庫ブームも始まると、マンガ出版点数はさらに増加。マンガ棚の面積もどんどん増加し、それに連れて立ち読みも増加しました。見ててあまり気分の良い光景じゃなかったなあ。

 そんなとき、わたしの通ってた書店で、ある日突然、マンガにビニールがかけられてしまいました。これが、わたしの記憶では1977年のこと。当時わたしが住んでいたのは、京都市です。

 この習慣は、あっという間に全国の書店に広がり、マンガの立ち読みの光景は一変しました。店によっては新刊マンガ単行本だけはビニールかかってないから、立ち読みはそこと雑誌コーナーに集中。

 マンガが売れなくなったと言われ始めてもう長くなりましたが、このシュリンクてのは、これからもずっと続いていくのかどうか。

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Comments

コメントありがとうございます。
なるほど、書店にとっては他店との競争のためにシュリンクがある、と。さらにはマンガ流通の構造的な問題も存在するのですね。これは確かに難しそう。

Posted by: 漫棚通信 | October 29, 2005 09:09 PM

はじめまして。
いつも楽しく拝見しています。
今回、書店員の立場から、コメントさせて頂きます。
マンガのシュリンクは立ち読み防止と言うより、お客様が汚れた本を定価で買いたがらないので、仕方なく。というほうが近いと言われています。
A書店はシュリンクがかかっていない→
A書店で立ち読み、面白い。買いたい→
でも、A書店の本は皆に立ち読みされて汚れているから、B書店で買おう。
単純に顧客を取られるだけではありません。汚れた本を返品するさいにも、書店側にリスクが生じます。
コミックは多くの場合パターン配本と言って、前回売れた分の実績がそのまま次巻の配本に反映される仕組みになっています。この仕組みには、新刊の返品率が高くなると、配本数を減らされる、というルールが組み込まれております。
業界全体の長期的見通しでは、シュリンクはないほうがいい、かもしれません。けれど、書店の人間は他所の店より売らなければ生きていけないのですから、よほどの変革が起こらない限りコミックのシュリンクは続くと思います。
一方で最近は自店のお勧めを試し読み用見本としてあけておく書店も出てきていますね。
私も、コミック担当時(一ヶ月だけですが)にときどきやっていました。
山崎さやかの「東京家族」をヤングユーコミックスなんかの並びに積んで、一巻だけ見本に出しておく、とか。まとめ買いしてくれる方がいらっしゃるとすごく嬉しく感じました。
ご参考までに

Posted by: ae1 | October 28, 2005 11:59 PM

ペットボトルや壜飲料に巻かれている商品デザインの印刷された包装もシュリンクといいます。製壜業界では、シュリンク加工とかシュリンク包装と呼びます。参考までに。

Posted by: 小笠原功雄 | October 28, 2005 10:07 PM

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