マンガとタバコ
いろんな作家が「ブラック・ジャック」を描く企画の総集編、秋田書店の「ブラック・ジャック スペシャル」を読んでおりましたら、ブラック・ジャックがタバコやパイプを持ってるシーンが複数描かれてて。そうだったっけと手塚版を読み直してみると、あらら、けっこうタバコやパイプ吸ってるシーンがあるものですね。
かつて日本映画では男女問わずタバコどんどん吸ってました。それに影響されたのか、日本マンガでもオトナはタバコを吸うのがあたりまえ。間を持たす演出でもあったし、何よりカッコいい感じがしてたし。あの星一徹でさえ吸ってましたからね。それが普通だったの。かつてタバコの吸い方をじっくりレクチャーしてくれたのは、ちばてつや「のたり松太郎」でした。
喫煙者の肩身がずいぶん狭くなってる最近はどうなんでしょう、以前よりはマンガの喫煙率って減ったのかな。もしかすると作者が禁煙すると、登場人物もタバコ吸わなくなったりして。日本のマンガではっきり喫煙を描かないと宣言したのは、秋本治「こち亀」が有名ですね。
最近読んだ作品で言うと、イラン女性、マルジャン・サトラピは「ペルセポリス」の中で、「初めてのタバコと共に、少女時代に別れを告げた」「今、私は大人になったのだ」と書いています。これがイラン・イラク戦争のさなか、12歳のとき。現在の自画像でも彼女はタバコを手にしています。
アート・スピーゲルマンの「消えたタワーの影のなかで」は、9.11を描いた作品ですが、自画像は「マウス」と同じでやっぱり「タバコをくわえたネズミ」でした。変わりませんな。アーチストは禁煙しないものだ、というイメージがあるけど、実際はどうなのかしら。
ハードボイルド作品の「ブラックサッド」や「シン・シティ」では、当然のように主人公はタバコを吸ってます。というか、もし吸ってなけりゃ、それについての説明がなきゃ、ってくらい、ハードボイルドとタバコは切っても切れないでしょ。でもこれもいずれ、タバコ吸わない主人公があたりまえになるのかなあ。
最近の日本マンガでタバコをじっくり描いたのが、幸村誠「プラネテス」。宇宙空間でタバコを吸うために苦心惨憺する登場人物。ま、実際にはスモーカーを宇宙に出すことは絶対ないでしょうけど。
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