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August 04, 2005

まんが道もいろいろ:あすかあきおの場合

 あすかあきお=飛鳥昭雄といえば、アッチ方面のアレな人ととして、一部で有名なかたですが、実を言いますと、スミマセン、マンガは一作も読んだことありません。飛鳥昭雄名義の文章のほうは、少しだけ読んだことがあるんですけど。

 で、飛鳥昭雄「漫狂画人 飛鳥昭雄の漫画家人生」という自伝が発売されてます。著者は1950年生まれ。マンガ家、平行して「サイエンス・エンターテイナー」として文章の仕事も。もちろん有名なのは、超科学とか、超古代とかのアレな仕事です。マンガ家になるのだと決心して本当にそれを実現し、現在まで活躍されているのですから、成功者の自伝ですね。

 この本の何がスゴイかというと、自身の幼少期からの習作を数多く収録してあるところ。

 ふつう、自分の過去の作品てのは、なかなか人に見せられるモノじゃありません。手塚治虫くらいの天才になると、幼少期の習作も研究対象になるくらいですから、見せてくれなきゃ困るんですが、通常、プロの作家でも、自分の子供時代の作品は明らかに未熟だから見せるのをいやがるみたい。

 ところが著者はこの本に、これがもう、小学生時代の落書きから高校時代の壁新聞形式のマンガまで、これでもかというくらいなんでも詰め込んであります。

 現代はアマチュアの絵のレベルが上がってますから、今の目から見ると、はっきり言って、ヘタです。投稿しても落選ばかり。それでもマンガを描き続け、初志貫徹してマンガ家になってしまうのですから、エライ。「月刊OUT」などへの掲載を経て、ついに1982年、32歳でコロコロコミックの第4回藤子不二雄賞に佳作入賞。

 いやあ、なせばなるってのはホントですね。著者の思いこみというか、ポジティブ・シンキングというか、これが良い方に働いたのでしょう。

 たとえば、投稿作品が賞に落選しても、作品のデキが悪かったからとは考えない。諸作品に対する反省は以下のとおり。

「悲しいかな応募規約や常識面でミスを犯してしまっていた」
「それにしても日系アメリカ人の大人の主人公は、さすがに少年マンガには不適格だった」
「当時は低年齢層を狙った少年誌で、そこへドイツ青年を主人公にしたマンガで応募しても、最初からツボを外していたと言える」
「ストーリー的には完成度が高かったが、出てくる登場人物をアメリカ人で固めたのがよくなかったかのかもしれない」

 ポジティブだなあ。

 いちばんスゴイのは、1964年中学1年の時、第1回講談社新人漫画賞に投稿して落選した作品について(このときの入選者が里中満智子です)。その作品は「チップピーター」というタイトルの、アトムのパチモンみたいなマンガだったのですが、

 そんなある日、私のマンガは不可解な現象を起こしはじめる。
 手塚氏の『鉄腕アトム』の中に「地上最大のロボットの巻」があるが、その中で、宿敵プルートウを倒した「ボラー」というロボットがいた。
 じつはこのボラーのデザインは、『チップピーター』に出てきた生体ロボットのデザインそのままだったのである。

 さらに、同じ『チップピーター』に登場したポカネ親分の顔が、「少年ブック」の『新選組』に登場し、さらにピーターの耳飾りをそのまま黒色に変えただけの『ジェッター・マルス』が手塚作品に登場した。

 ボラーのときは偶然かもと思ったが、『新選組』でほぼ間違いないと思い、『ジェッター・マルス』で確信へと変わった。(略)

 天下の手塚氏が、まだ中学1年生にすぎなかった私を叩きつぶそうとしたことは、考えてみれば非常に光栄だったことになる。

 うーんポジティブ。ちなみに、第1回講談社新人漫画賞の発表が1964年の半ば。「地上最大のロボット」は1964年作品で、「ジェッターマルス」は1977年ですが、飛鳥センセイ、「新選組」は1963年の連載ですよー。

 著者は、吾妻ひでお、いしかわじゅん、すがやみつる、夏目房之介、さらには24年組の少女マンガ家たちと、ほぼ同世代になります。同時代を生きててもいろいろなヒトがいるもんだ。

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