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August 24, 2005

アジアMANGAサミット:連帯か同床異夢か

 関口シュン・秋田孝宏編著「アジアMANGAサミット」(子供の未来社、寺子屋新書)が発売されてます。

 アジアMANGAサミットは、マンガジャパンが中心に1996年第1回日本大会から始まり、以後ソウル・台北・香港で開催され、2002年第5回は再度横浜で日本大会。この本は、第1章が1回から4回大会までの歴史。第2章が第5回横浜大会のレポート。第3章が世界のマンガ事情、という構成です。

 もともとが国境を越えたマンガ家の交流を目指して始まったものですが、第1回の起草文が、「手塚治虫が作ったストーリーマンガ」「アジアの海賊版」から書き始められてるんですね。その後の大会の変化を考えると、なかなかに違和感を感じます。

 英語での表記もいろいろで、

第1回日本(1996年):EAST ASIAN MANGA SUMMIT '96
第2回ソウル(1997年):ASIAN COMICS CONFERENCE '97
第3回台北(1999年):1999 ASIA MANGA SUMMIT TAIPEI
第4回香港(2000年):THE 4TH MANGA SUMMIT 2000 (WORLD CONGRESS)
第5回日本(2002年):THE 5TH ASIAN MANGA SUMMIT YOKOHAMA CONVENTION

 そして第6回北京(2004年)が、THE 6TH WORLD CARTOON CONFERENCE。もはや「アジア」でも「ストーリーマンガ」でも「サミット」でもない表記でした。

 この本でやはり興味深いのは第2章、横浜大会での関口シュンによるレポート、というか苦労話。マンガ家主宰の大会だから、なんせ組織がない、金がない。マンガ家への呼びかけは日本漫画家協会と漫画集団の協力をとりつけ、金のほうは出版社に協賛金を。ところが、大手の出版社の編集部門はいい顔をしても、宣伝部門が口は出す、金は渋る(当初の1/5に)。そんななかで松文館がぽんと200万円出してくれたと。えらいぞキシ社長。

 企業主導じゃない手作り、しかも大がかりのイベントの開催が、いかに大変か。ご苦労様でございました。大会の性格が、市民参加型にするのか、あくまでマンガ家対象にするのかもむずかしいところなんでしょう。

 これまでの大会アピールは、表現の自由と著作権問題らしい。ただし、各国の状況があまりに違いすぎて、どうなんでしょう、議論はかみあっているんでしょうか。

 さて、この本で奇妙なのは、第6回北京大会に関する記述がまったくないところ。

 北京大会はSARS騒動のため予定より1年遅れで2004年に開催されました。横浜大会の分科会のとき、中国代表がやーな感じだったという、山本夜羽音の文章がコチラ。実際に北京に行った志賀公江のレポートがコチラ

 ほんとのところ、どんな大会だったんでしょ。今年9月には韓国で第7回大会が開催されるそうですが、参加者の誰かが、きちんとレポートしてくれるとうれしいんですけどね。

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Comments

中国の一方的官製大会だったようですね。
日本のマンガ家ゲストたちも、さすがに
ム~ッとしたようですよ。

川崎市民ミュージアム学芸員の細萱さんから
会場で堂々と売られていたというマンガ
「教科書」なる本を見せてもらいましたが、
全ページが単に、日本のマンガ作品の
かっこいい場面集にすぎないもの!
海賊本もいいところの、著作権無視本。

国際会議で、臆面もなくこれを並べる
意識の低さには驚かされます。
著作権シンポなんてやったって、これでは
どうにもなりません。

Posted by: 長谷邦夫 | August 25, 2005 04:37 PM

やっぱりそうでしたか。アニメだけじゃなくてマンガにおいても中国問題は難しそうですねえ。

Posted by: 漫棚通信 | August 25, 2005 09:39 PM

「一堂に会する」必要が無いと思います。
参加者限定BBSがあればいいんじゃないの。
考えてみると国会の議論というのも
アナログで、BBSでやったほうがずーーっといい。発言者が明瞭だからヤジを飛ばすこともできないし。

Posted by: 砂野 | August 26, 2005 09:43 AM

以前、知り合いの外資系ビジネスマンは会議をするため「だけ」に海外出張してて、空港でとんぼ返りなんてこともあったそうです。TV会議のシステムが発達した現在はどうしてるんでしょうかね。学会みたいに一同に会するのも気分が変わってなかなかいいもんですから、あの形式はなくならないかも。

Posted by: 漫棚通信 | August 26, 2005 08:58 PM

近頃自分のブログは台湾からのアクセスが増え、自分の立場を考えて、そこではこういうことを提起するのをできるだけ避けたいですけど、この場を借りて少し語りたいと思います。漫棚通信さん、すみません。

今年韓国でのサミットについては、台北漫画家工会(漫画家組合)うちも二回に渡って招待状(及びイラスト募集要項)が送られてきましたが、皆と相談した結果、ボイコットすることにしました。原因が三つあります。

一つは昔サミットに参加した漫画家や編集者は、その後やたらそれを肩書きにして講演や漫画技術講座とかで稼いでいますが、台湾漫画のためになる実質的な行動が全く見えません。また中国大会の後、台湾政府の援助を受けて作られた雑誌に「台湾漫画の未来は中国大陸にあり、大陸に行かなければ」と残し、漫画工会の前会長は何人かの漫画家をつれてそのまま大陸へ「発展」しに行きました。やってることの意味が分かりません。

二つ、同人即売会でパロディ漫画を描いている現役高校生や大学生の同人作家をつかまって、会員(会費)勧誘をする漫画家工会という組織にはもう信用できません。ちなみに、うちの作家は同人出身の子が多く、ほとんど勧誘された経験があって、わけ分からないうちに会費も払って会員になった人も居ます。

三つ、デビューしたばかりのひよこが、そんなお祭り大会に行く暇があったらまず作品作りに励みなさい。作品が日本語版、韓国版でも出た暁に、胸を張って行けばいいです。

実際、日本の言う「漫画家」というのは、少なくとも台湾や中国では、意味はかなり違っています。こちらは絵本作家も、イラストレーターも、アニメーターも、ただの模写屋もひっくるめて全部「漫画家」と呼んだりするのです。これはその国の慣わしとか文化とかの問題ではなく、ただの定義不明確です。そんなのと真面目に「理解し合いましょう」と向かい合っても到底理解し合えません。彼らが知りたいのが「どうやって日本漫画家のように漫画で儲けられるのか」ということであって、「日本漫画はこんな流れでこうなったよ」ではありません。

よって、「台湾漫画はこんな歴史があってこうなったよ」とも教えられません。誰一人も把握していませんから、ぜいぜい「私は昔~」のような、自分のおぼろげな記憶に辿って断片でしか語れないのですが、それが「台湾漫画である」として紹介されると思うとぞっとします。

そんなじゃ交流なんて成り立てません。だいだい今年のあのイラスト募集、漫画家に「イラスト二枚ください」というのはなんでしょう。「交流展示用で30P以下の作品を二作提供してください」とかじゃないの?漫画家でしょう?

故石ノ森章太郎先生も、こんな思想も主張もないアジア人の集まりを見たくないと思います。ですので今のまま続けていけば、私個人もアジアMANGAサミットをずっとボイコットします。

Posted by: elielin | September 01, 2005 01:10 PM

コメントありがとうございます。現行のマンガサミットに対する否定的ご意見ですね。確かに、権威、商売、政治など、いろんなものがくっついてきてますし、たんなる友好、交流のお題目だけのお祭りに意味がないというのは理解できます。学会形式のシンポジウム中心に開催されるほうがいいのかもしれません。地味になっちゃうでしょうけど。

Posted by: 漫棚通信 | September 01, 2005 09:55 PM

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