アトムのパンツ
前回のエントリは、わたし自身のマンガ的ヰタ・セクスアリスと申しますか、二次元で何がエロかったかの思い出であります。普遍性に乏しい話題で申しわけありませんが、「あばしり一家」からさらにさかのぼると。
手塚治虫が意識して描くエロはちっともうれしくなくって、むしろ人間以外のモノこそ色っぽい、てなことがよく言われます。古いものになると、「メトロポリス」の人造人間、性別を自由に変えられるミッチイとか。「ロスト・ワールド」で悪役ランプに食べられちゃう植物人間の『あやめ』と『もみじ』とかね。
ただし、わたし自身が二次元のエロを意識したのは、これはもうアトムであります。女性じゃなくて、少年、しかもロボットであったというのが、自分でもなんともですが。
かつてわたしは、アトムそのものというより、シチュエーションに興奮したようです。アトムのエネルギーがつきちゃって、手足を縛られちゃうのね。アトムは力をこめて抜け出そうとしますが果たせない。どうもこれがよかったらしい。なんかドキドキしたっす。今で言うなら、ソフトSMでしょうか。
もちろん、アトムの造形そのものが、エロい。だって半裸の少年ですよ。天馬博士が、できるだけ人間に近く造ろうとしたという設定ですから、限りなく人間に近いはずですが、そこはそれ、やはり人間じゃない。
まず、頭がかたそう。光を反射する素材ですから、少なくとも毛ではなくてつるりんとしてる。皮膚の色は肌色。おそらくは黄色人種ふうの色をしてるのでしょう。硬さはどうか。私のイメージではぷにぷにじゃなくて、プラスチック程度じゃないかと。ここには異論もございましょう。
足元はブーツを履いたり、初期にはサンダルのようなものを履いたりします。サンダル履きの、足首のないアトムの足は、いかにも女の子っぽい。
アトムの造形上、最大の疑問はベルトと黒パンツ、あれはなんでしょ。これもきらきら輝いて光を反射する素材。衣服じゃなくて、アトム本体のデザインのように見えますね。
おそらく、マンガ内でアトムのパンツが着脱できるものとして表現されたのは、悪名高い「アトム二世」(1975年文藝春秋デラックス)だけでしょう。この作品でアトムはパンツをずらして、アクビしながら歯をみがいてました。パンツが脱げるなら当然、その下には性器があったはずで、この作品のみ、アトムは女の子とホテルに行ったりしてます。
これを例外として、アトムのパンツは脱げるものではなかったはず。つまり、あのパンツそのものが肌です。お尻からマシンガンが出てくる構造みたいだし。アトムの全身の皮膚がプラスチック様の硬さじゃないかと思うのは、頭、体、パンツが同じような物質でできてるような気がするからです。
さて、寒さを感じないロボットに衣服は必要ないとはいえ、アトムは、普段の生活では服を着てました。やはりもともとが人間らしく作られてるわけですし。ただしそのうちに、年中、ハダカになりたがるようになります。
初期「アトム大使」でも、サーカスに出演するときや、空を飛び活躍するときはハダカになってます。敵と戦うときに服を着てたら汚れたり破れるから、服を脱ぐのはしょうがないとしても、とくに後半、アトムはほとんどハダカで通すようになります。ウランちゃんやアトムの父母がきちんと服を着ているのと対称的。
これはもう、服がキライなのか、ハダカが好きなのか。もちろん、アトムというより手塚治虫の変化です。
実はアトムがこまめに小学校に通ってたころは、きちんと服を着てることが多かったのですが、そのうち学校のシーンがなくなってからは、ずぼらになって、ほとんど服を着なくなります。浦沢直樹「PLUTO」の原作「地上最大のロボット」のアトムも、すっかり服を着なくなったころ、年中ハダカのころのアトムですね。
でもねー。服を着なくなってからのアトムは色気がなくなった。やっぱりずっとハダカじゃダメ。いざというときに脱ぐのじゃなくっちゃ。後半のアトムが面白くなくなったのも、学校生活が描かれなくなり、アトムが服を着なくなって、未来世界の日常描写に手を抜き出してからじゃないかな。
さて、浦沢版アトムはもちろん服を着ており、イマドキの小学生の格好をしてます。彼は、いつ脱いでくれるのか。そして、彼のパンツはどうなっているのか。ちゃんと見せてもらいたいものです。
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