大学漫画物語
わたしの同居人は、自称、日本で6番目のお嬢様女子大を卒業したことになってまして、しかもバブル絶頂期の女子大生だったもんで、一応、ボディコンでぶいぶい言わしとったわけですな、これが。
ところが、彼女は間違いなくその大学で、ナンバーワンの貧乏人だったので、当時の話がおもろくてねー。同級生に何やらイベントに誘われたとき、金が無いから行けへんわ、と断ると、「○○さん、意地をはらずにお父様におっしゃればよろしいのに」
そのお父様からして貧乏人なんじゃー、とはツッこめず、おほほと笑っておったそうです。このように、ヒトの学生時代の話はオモロイ。とくに自分の知らない世界のことは。
最近、大学マンガが増えてきてませんか。「もやしもん」と「げんしけん」を連続して読んだからそう思うのかしら。「もやしもん」が農業大学。「げんしけん」が大学のオタク部。文系の学部かな? 「ハチミツとクローバー」が美大。「のだめカンタービレ」が音大。どれも知らない世界で、しかも大学生という、まだ何者にもなっていない連中の話だから、基本的にお気楽で楽しい。
かつて1960年代、加山雄三の映画「若大将」シリーズが能天気な大学生活を描いていた時、これに対応して大学生活を描くようなマンガは存在しませんでした。おそらくは、少女マンガのうち、アメリカを舞台にしたマンガが大学生活を描いていたんじゃなかったっけ。本村三四子「おくさまは18歳」は、TV版とは違ってアメリカの大学のお話でした。
少年・青年マンガでは、ぎりぎり浪人生活までは描かれてました。松本零士「男おいどん」とか。青年マンガでの大学は、学生運動の場だったり、ドロップアウトすべき場所で、勉強や生活が描かれていたわけではなかった。
青年マンガで大学生活をちゃんと描いたのは、まず、どおくまん「嗚呼!!花の応援団」。続いて、いしいひさいち「バイトくん」。関西・ギャグ・大学は親和性が高いのかしら。
西村しのぶ「サード・ガール」が1984年。わたしは少女マンガにくわしくないのですが、きっといっぱいオシャレ系大学マンガってあったに違いない。江川達也「東京大学物語」が1992年。ねじくれた大学マンガと言えなくもない。
佐々木倫子「動物のお医者さん」(1988年)こそ、現在にいたる大学マンガの元祖でしょう。読者の知らない特殊な分野を専行する学生たち。彼ら、あるいは彼らの教師たちも浮世離れしており、ある種この世の楽園を形成しています。ハチクロ、のだめ、もやしもんは、すべてハムテルとチョビの子供たちであります。
Comments
戦前の大学生は盲点でした。旧制高校を含めてこれも少女マンガ方面にありそうですね。
堀田清成についてはコチラをどうぞ。↓
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2005/01/post_1.html
Posted by: 漫棚通信 | June 28, 2005 11:13 PM
つりたくにこが大学生(と思われる)を描いた
短編があるんだけど80年ぐらいで
バイトくん登場のあとですね。
画学生の荒い素描風の絵で、
同種の大学生漫画は堀田清成も同時期に
描いていて、これはなかなかヨカッタ。
そんな漫画家知らんとお思いでしょうが
この人はアマチュアで、
名古屋の即売会イベントの中心人物で
ありました。
話はぜんぜん変わるけど「柔侠伝」では
明治大正の早稲田大学がかなり
描かれてますね。
Posted by: 砂野 | June 27, 2005 11:53 PM