戦記ブーム以後の戦争マンガ
まだ考えがまとまっていないので、ちょっとしたメモです。
戦記ブーム以後の戦争マンガはどんな展開をするかの分類。
1)過去−娯楽:戦記マンガの流れにあるもの。松本零士の戦場マンガシリーズ、バロン吉元の「昭和柔侠伝」「どん亀野郎」など。架空戦記モノも含まれるかな。
2)過去−告発:テーマとしてはっきり戦争反対を打ち出したもの。悲惨な描写が展開します。中沢啓治「はだしのゲン」、新里堅進の諸作品など。
3)現在−娯楽:ゴルゴ13が代表的作品でしょう。娯楽作品の背景としての戦争。
4)現在−告発:ベトナム戦争をテーマにしたものはこれ。樹村みのりの作品など。ベトナム戦争終了後の日本マンガにはなかなか例がありませんが、世界に目を向けると、Joe Sacco「Palestine」「Safe Area Gorazde」などの戦場ルポマンガ。実は買ったけどまだ読んでません。
5)未来−娯楽:未来のものを告発するというのはちょっとムリなので、このパターンは娯楽が主体となります。バリエーションは多い。
5−a)ポリティカル・フィクション:「沈黙の艦隊」ですな。「気分はもう戦争」もそうかな。現代の政治状況下での戦争を仮定したもの。舞台は未来というより、現代に限りなく近い時代ですが。
5−b)人類同士の戦争:もちろん「ガンダム」ですね。「ナウシカ」や「未来少年コナン」も。映画「マッドマックス」やその影響下にある「北斗の拳」もそうか。「AKIRA」もこの分類でどうでしょうか。
5−c)宇宙戦争:「ヤマト」がそうです。「エヴァンゲリオン」もここに入れましょう。宇宙人侵略モノはすべてこれ。あえて言うなら「ケロロ軍曹」まで。
敵がヒューマノイドの場合、(5−b)と(5−c)を分けることに意味があるのか、という疑問が出てきますが、(5−c)の場合、戦争開始にこまかい理由が必要なくて、すべて「地球侵略」で片付くところがちょと違うかと。
Comments
光る風の設定は「10年後、1980年」です。
初出冒頭のナレーションは
「明日起こることか10年後かはわからない。
確かなのはキミがこの作品を今読むということだ」であり(単行本では「過去・現在・未来、この三つの言葉の組み合わせは~」に差し換えられている。これは短編「回転」のものと同じ)
藻池村事件は「戦後まもなく、今から32年前、朝鮮戦争の少し前」なので。
弦が家を出るときは未来型のバスに乗るんだけど帰るときは現在型になっているのは
ミスなのかシーンの雰囲気を優先したのかは不明。
なお、この作品は打ち切り説があるけど
山上のシリアス期にさかんに使われたパターン「激しいエピソードが続いて主人公が廃人のような状態になって終り」であり絶妙なタイミングで忘れていた謎解きを行ないそのあと少し
あって終りというみごとな構成なので、
打ち切りとは考えられません。
Posted by: 砂野 | June 22, 2005 03:10 AM
なるほど「光る風」。多くの場面が田舎や下町だし、ベトナム戦争は継続中だし、てっきり現代という設定のように思ってたんですが、読み直してみたら、都会には非現実的な超高層ビルが林立してて、微妙に近未来だったんですね。
Posted by: 漫棚通信 | June 19, 2005 02:43 PM
「光る風」を4に入れてほしいなあ。
大別としては「実録あるいはそれっぽいムードのもの」てのもありますね。
水木の「ヒットラー」はこれ。
Posted by: 砂野 | June 18, 2005 07:22 AM
うーん、やっぱり娯楽・告発で分けるのは無理がありますね。手塚の「アドルフに告ぐ」とか水木しげる「総員玉砕せよ!」みたいな作品をどうするか困っちゃうし。分類はもっと単純で形式に沿ったものにしないとだめか。
Posted by: 漫棚通信 | June 17, 2005 11:19 AM
語感の問題ですが、「告発」てえとなんか違う感じがしませんか? 「告発」といわれると『はだしのゲン』やジョー・サッコより『ゴーマニズム宣言』や『戦争中毒』を思い浮かべてしまうんですが。
Posted by: boxman | June 16, 2005 10:42 PM