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June 19, 2005

「卓球社長」の先進性

 マンガ分野にも2007年問題というのがあるそうで、中野晴行「マンガ産業論」によりますと、1947年生まれのベビーブーマー第一陣が、定年を迎えるのが2007年。60歳を越えた彼らはマンガ雑誌を買わなくなっちゃうんじゃないか、という問題。

 自分がひとよりはマンガを買う人間なもんで、これって予測がつかんです。マンガに限らず、面白そうなモノを見のがしたくないっ、という欲求があってこそ、いろんな分野を覗いていくんでしょうが、社会からリタイアしてからもそういう欲求が残るのかどうか。年取ると新しいマンガが読みにくくなってくるのは確かですね。

 いっぽう、雑誌を作る側からは、高齢者向けのマンガ制作が始まっております。高齢者向けのマンガというと、枯れた人情話か、逆にギンギンにアブラぎって、若い者に負けんぞーという話か。島耕作シリーズも高齢者向けになってきてますな。

 ひとつのサンプルが、島本和彦「卓球社長」です。主人公は会社社長。普通に人格者ですが、趣味が卓球。温泉卓球のレベルでは、無敵です。で、この社長が、社員や取引先と卓球で「勝負」する話。ちゃんとしたスポーツマンガで、かつ、島本和彦ですから、燃えます。

 卓球というのが微妙。ゴルフみたいに金と時間をかけたら何とかなる(かも)というスポーツとは違います。若い方がもちろん有利とはいえ、メジャースポーツじゃない分、鍛錬した高齢者が勝つ事も可能。

 主人公の年令設定が、昭和23年に高校一年生というから、このマンガが最初に描かれた1997年には、66歳。この主人公で、スポーツマンガで、ギャグになってる。こういうのも先進性というのじゃないか。


 追記:ここまで書いたあと書庫を覗いていたら、さらに先輩、水島新司「野球狂の詩」の岩田鉄五郎がいましたね。初登場時は50歳で現役投手でした。30年以上前の作品なのに、水島新司は変わらんなあ。この作品は子供向けだったはずなんですが、最近の作風と一緒。あぶさんって今いくつになってるんでしたっけ。

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