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May 20, 2005

オタクとセックス(というかオナ○ー)

 本田透「電波男」読み終わりました。オタクの勝利宣言は岡田斗司夫がすでに書いていましたが、それを世間一般の女性相手に対しておこなったもの。感動の書といっていいでしょう。

 ただ、著者のオタクのとらえかたが、ちょっと引っかかる。わたしもいい年してマンガばっかり読んでるんで、オタクと呼ばれることにはもう抵抗ないんですが、わたしの考えるオタクとずれてきてるなあ。

 オタクの定義はひとそれぞれでしょうが、わたしとしては、(1)ある年令以上になっても、(2)子供っぽい趣味を持ち続け、(3)蒐集や言動が過剰になりやすい人。てなふうに理解してました。対象となるのは、アニメ、マンガ、子供向け特撮番組など。

 のつもりだったのですが、いつのまにやら、軍事オタとか、パソコンオタクとか、古書オタクとか、そういうのは立派なオトナの趣味で、オタクとは言わんやろっ、てなジャンルまで、オタクの言葉をあてるようになってしまいました。以前なら、全部マニアって言ってましたよ。

 最近ではさらに変化して、萌えやエロがないと、オタクとは言わないのかしら? つまり2次元でオナ○ーできるのが、オタク。この場合の“2次元”は「電波男」で述べられているように“アンリアル”という意味ね。

 つまり、(イイトシノオトナガ)怪獣の名前をいっぱい覚えてても、オタクとは言わない。小美人でオナ○ーできる奴だけがオタクなのだ(あるいは巨大化した桜井浩子とか、十字架にかけられたセブンとか)。

 「電波男」で代表的オタクとして例に出されているのは、エロゲーやギャルゲーオタクですし、論としても恋愛の話ですから、萌えが重要になります。だったら、マンガのキャラにあまり「萌え」ることのないわたしは、すでにオタクじゃなくなってるのか。

 「電波男」で言及されている、小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」だって、オタク代表とされてるけど、求めるものはエロ。木尾士目「げんしけん」の連中だって、コミケで買ってるのはエロ。阿部川キネコ「辣韮の皮 萌えろ!杜の宮高校漫画研究部」に登場する同人作家が描いてるのは、男はもちろんエロ。女もBLというエロ。

 たしかに原初のオタクも、2次元に萌えてたし、オナ○ーもしてたでしょうが、エロばっかり求めてたわけじゃない、と思うんだけどなあ。これは言葉の意味が変わってきたのか、実際のオタクの行動様式が変わってきたのか、あるいはたんにわたしが年とって枯れてきちゃったのか。

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Comments

コメントありがとうございます。みなさまのコメントを踏まえて歴史を考え直してみましたが、(1)オタクの発生→(2)キャラクター人気→(3)萌えとやおいの発生→(4)オタクの主たる行動が萌えとやおいになる→(5)オタク=下半身と認識されるように変化。という流れでどんなもんでしょ。

Posted by: 漫棚通信 | May 21, 2005 11:58 AM

僕はこれ『オタク』という単語の解釈の問題だろうと思います。この言葉がどういった人々、どういった傾向を指すかは話者によっても違うだろうし、あるいは話の内容にも拠るんじゃないか、と。
最大公約数的な『オタク』とは主に、『イコール「マニア」』の意味と『(アキバ系)』との二種類に集約されるんじゃないでしょうか。『オタク』という単語をめぐってズレが生じる場合というのは、この二種類の意味のどちらを採っているかが原因になっているように思います。

Posted by: 池本 | May 21, 2005 04:50 AM

初めましてこんにちわ。以前から興味深く拝読させて頂いておりました。

突然の不躾なレス申し訳ありません。扱われていた問題が個人的に興味を引かれる問題だったのでコメントさせて頂きます。

オタク(もしくはオタク像)の行動様式の変遷に関連してですが、オタクの街として有名な秋葉原は既にオタクの街ではなくてオナニーの街になっていってるような感じがしてならないんですよね。
それでこそ街が住人の(オタクの)行動様式の変遷にあわせて、その姿を変えているかのように。
表通りにアダルトビデオ専門店やアダルドグッズ専門店が立ち並んでるところにもその傾向は伺えます。

つまり、オタクの聖地である秋葉原の変遷にも見て取れるように、オタクの性質は明らかに変わっていっていると思います。

Posted by: 経理 | May 21, 2005 03:48 AM

斎藤環がマニアとヲタの違いを述べていましたが、
1)虚構コンテクストに親和性がある、
2)虚構に愛欲を感じる、
3)多重見当識を生きる(リアルも虚構も等価値)、
などをあげていました。
漫棚通信さんのは1)と3)でしょうけど、
ワタシ的には、ぶっちゃけた話、二次元虚構でヌケるかどうかは、
ひとつのメルクマールではないかと思っています。
いやヌケるなんてもんじゃなく、二次元でなければ無理、とか。

Posted by: 紙屋研究所 | May 21, 2005 12:59 AM

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Tracked on February 14, 2006 04:06 PM

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