« 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その1) | Main | 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その3) »

March 08, 2005

「20世紀少年」をきっちり読み直す(その2)

■ 本年度最大の話題作にして、発売早々にまったく手に入らないらしい、吾妻ひでお「失踪日記」。わたしは近所の書店にはないことを確認した後、3月4日にアマゾンに注文入れたら3月6日に届きました。

 そのあたりに置いておいたら、同居人のほうが先に読んじゃって、しくしく泣いてるじゃないですか。

 ネットでは、いしかわじゅんの書いた文章が感動的です。


■ 以下、「20世紀少年」について、前回からの続きです。思いっきりネタバレします。未読のかたはご遠慮ください。

(2)1969年、小学4年生:よげんの書

 1969年夏の大きな事件は、まず、ケンヂたちの秘密基地建設です。オッチョが“ともだち”マークをデザインしました(1巻1話、2巻2話)。

 続いて、「よげんの書」の制作。「よげんの書」の内容は以下のようなものです(5巻4話)。

・20せいきのおわりに、悪のそしきがせかいせいふくにうごきだしました。
・【宇宙船が都会を攻撃する絵】 かれらはさいしょに、おそろしいさいきんへいきでサンフランシスコとロンドンをおそいました。
・【宇宙船が太陽の塔を攻撃する絵】 次にかれらがさいきんをばらまいたのは、1970年、バンパクで有名な大阪です。日本中がきょうふにふるえあがりました。
・【破壊される空港の絵】 そして悪のそしきの次のねらいは……羽田空港でした!! 東京は、にげ場のないきょうふをあじわうことになりました。
・しかし、ほんとうのきょうふはこれからなのです!! せかいめつぼうののろしがあがり………【破壊される国会議事堂の絵】
・【鉄人28号型巨大ロボットの絵】 2000年12月31日!! ズーンズーンとおそろしい地なりとともに、ついにそのきょだいなかげは、東京にすがたをあらわしました。原子りょくきょだいロボット!! さいきんをばらまきながらはかいのかぎりをつくす!! はたして21せいきはくるのでしょうか!! 東京の…いや、世界のうんめいやいかに!!
・【“ともだち”マークの絵】 そこに……9人の戦士がたちあがったのです!! 地球の平和のため、かれらはどうたたかうのでしょうか!!
・【破れたページ】

 1巻3話で「何が何でも、俺は戦う!!」とケンヂがリキんでいます。この後、彼らは戦うべき敵をつくることになりました。

 2巻11話で、世界征服を目的とする悪の組織が、細菌兵器を使うことにしました。言い出したのはオッチョですが、実はヤマネ君のアイデアでした(12巻4話)。

 あれ、ちょっと待ってくれ。ヤマネ君はどうして「よげんの書」のことを知っていたのでしょう。ヤマネ君は、フクベエ=ともだち、サダキヨと3人のグループでした。ヤマネ君は「よげんの書」のことを友達から聞いたと。友達とは当然フクベエのことです。でも、フクベエが見た「よげんの書」はもうできあがっていたはず。あれれ? 「よげんの書」が完成するのと、フクベエが見るのとどっちが先なの?

 そして、誰もが気づくヘンな点。なんで1969年に書いた「よげんの書」に、1970年の大阪万博、しかも太陽の塔が登場するんだ?

 わたし、最初、この太陽の塔の絵は、1970年になって描かれたものと考えていました。でもねー、子供の遊びって1年かけてはしませんよね。あっという間にあきちゃうもの。それに、フクベエが秘密基地にはいって「よげんの書」を見たとき、平凡パンチやら、サンデー、マガジンやらがありました。これは秘密基地をつくったとき、みんなが持ち寄ったもの。こんなものが1年後まであるわけがない。だから太陽の塔の絵も1969年に描かれたものです。(この点は、のちに16巻でクルシイ説明があります。後述します)

 そのあとのページ、空港の爆破を考えたのはオッチョでした(3巻7話)。

 さらに巨大ロボットのデザインは、ケンヂです(8巻2話)。「やっぱり鉄人28号のマネッコだ」

 1巻10話、2巻6話で、大きなロボットの顔が出てきたとき、だれもが悪の巨大ロボットの顔と思ったはずです。だってまるきり鉄人28号のパロディでしたもの。とがった鼻、中世鉄カブトふうの口、そして“ともだち”マークの目。でも8巻2話で登場したこの顔は、太陽の塔の腹の部分でした。あらー。

 おそらくは、巨大ロボットの目が“ともだち”マークじゃ、バレバレなのに気づいての設定変更じゃないかしら。

 追記:お茶の水工科大学に金田正太郎くんがいて、そこの敷島教授が巨大ロボットを設計するのだから、初期設定では、やはり巨大ロボットは鉄人28号型だったはずですね。(2005/3/15)

 破られたページについて。10巻9話、16巻1話に出てくる「よげんの書」には、レーザー銃の絵があります。これが破られたページなのか。

 さて、こうして1969年にできあがった「よげんの書」ですが、秘密基地にはいったフクベエ=ともだちと、サダキヨが見てしまいます。すべての始まりともいえる重要なシーンですが、さて、サダキヨ。

 サダキヨは5年生の1学期に転校してきて、夏休みの終わりにはもう別の学校に転校したはず(3巻7話、9巻1話、10巻9話、11巻4話)。1969年にはまだみんな4年生だよ。なんでサダキヨがここにいるんだ? (実はこれも16巻にクルシイ説明があります。後述ね)

 以下次回。

|

« 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その1) | Main | 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その3) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その2):

« 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その1) | Main | 「20世紀少年」をきっちり読み直す(その3) »