のびてちぢんで
青池保子「エロイカより愛をこめて」31巻と、「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」が同時に発売されてます。
後者は、先日NHKBSで放送された「THE少女マンガ!」の青池保子インタビューの部分をふくらませたようなつくりで、著者の自伝に加えて、エロイカ中心に自作を語る楽しい本。大島弓子、おおやちき、樹村みのりらとの合作マンガもオマケで掲載。
で、エロイカ31巻の表紙なんですが、あー、エロイカもここまで来たか。って何のことかというと、顔の長さ。のびたなー。どこまでいくねん。
青池保子自身も「THE少女マンガ!」や「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」で語ってますが、
・絵はその時その時の完成で描くものだ。昨日描いた絵が今日は気に入らなくて描き直す場合もある。絵はなまものだ。10年前の絵を冷凍保存して今チンしても、「なんじゃこりゃ!?」になるだけだと思う。
著者にとって、この長さの顔が、今、気持ちよく描けるのだ、と。いや、それにしてものびたのびた。
長期連載で絵が変わるのは必然なんでしょう。野間美由紀「パズルゲーム☆はいすくーる」もけっこうな長期連載ですが、これも顔、のびましたねー。作家にとって顔がのびたほうが描きやすいのか?
古くは「あしたのジョー」だって、どんどんのびましたからね。髪の毛のびる、鼻高くなる、背はのびる。でも、これは少年から青年への成長であるといえなくもない。ところが、ちばてつやの次作「おれは鉄平」では逆に、背がどんどんちぢんでいきました。ちばてつやがいつのまにか身につけてしまった「あしたのジョー」タッチを、脱ぎ捨てるリハビリを見ているようで、これはこれで気持ちよかった。
ちぢむ主人公といえば魔夜峰央「パタリロ」。どんどんちぢむだけじゃなくて、太る太る。服装は同じですがベルトの長さはおそらく3倍。最初はぱっちりした目がデフォルトで、ときどき線目になってたのが、いつのまにやら変形「の」の字がデフォルトの目として描かれるようになりました。
長期連載なのに、主人公の顔がほとんど変わらないという作品があります。そう、美内すずえ「ガラスの仮面」。1巻と42巻で、ペンタッチの変化はあれど、マヤの顔はほとんど同じ(ちなみにいうと、構成や演出も同じ)。スゴイというか何というか。
The comments to this entry are closed.
Comments